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三・一運動論3

投稿者: yusura_sdhk 投稿日時: 2004/06/24 12:09 投稿番号: [1375 / 7270]
争の反動として、極端な人道主義を主張する少数派のあった事をも看過してはならない。露西亜(ロシア)のトルストイ、否、世界のトルストイは、確かにこの一面を代表するものと云っていい。予輩は、我国に必ずしも一人のトルストイ無かったことを苦としない。けれども、御多分に洩れず、国際競争の渦中に投じた我国が、独りその多少の成功に得々として未だ曾て少しの煩悶の色をも示さなかったのは、果して喜ぶべき現象であろうか。今や時勢は一変せんとしつつある。面してこれに応ずべきなんらの準備なくして、漫然として新国際関係に入るは、我国の将来にとって、予輩は一種の不安を感ぜざるを得ない。



  予輩はこれまで道義的立場から、内外各般の政治問題を評論してきた。殊に最近一両年、この立場から支那ないし西比利亜(シベリア)の問題に痛激なる批判を加え来った事は読者の記憶せらるるところであろう。面して近時朝鮮暴動の勃発するに及び、これに関する朝野の言論を見て、更に従来の感を深うした。朝鮮問題と前後して又、日支軍事協定発表の問題(*)がある。人種的差別撤廃の問題(**)がある。これらの問題に関する各方面の言説の上に又同一の感想を繰り返さざるを得ない。外の問題はとにかく、少くともこれらの問題、殊に朝鮮の問題の如きは、国民がこれを鋭敏なる道徳判断の鏡に照らすを非ずんばとうてい解決の緒に就くものでは無い。畢意(ひっきょう)あのような大事件も、我が国民が従来対外問題に対する良心の判断を誤ったから起こった問題ではないか。

*   日本は、一九一八(大正七)年五月■■■政権と日華陸軍共同防敵軍事協定を、ついで海軍についても同様の協定を結び、中国軍隊を日本の支配下におこうと試みた。五・四運動の一因である。
**   パリ平和会議で、日本全権は、国際連盟規約の中に移民の自由と移民に対する差別撤廃を意図する人権平等主義をもりこむことを提議したが、おもにオーストラリアの反対で否決された。



  朝鮮の暴動〔三・一独立運動〕は、言うまでもなく昭代の大不祥事である。これが真因いかん、又根本的解決の方策いかんに就ては、別に多少の意見はある。ただこれらの点を明かにするの前提として、予輩のここに絶叫せざるを得ざる点は、国民の対外的良心の著しく麻痺して居る事である。今度の暴動が起ってから、いわゆる識者階級のこれに関する評論はいろいろの新聞雑誌等に現われた。しかれどもなお少しも覚醒の色を示さないのは、いかに良心の麻痺の深甚なるかを想像すべきである。かくては、帝国の将来にとって至重至要なるこの問題の解決も、とうてい期せらるる見込はない。
  一言にして言えば、今度の朝鮮暴動の問題に就ても、国民のどの部分にも「自己の反省」が無い。凡そ自己に対して反対の運動の起った時、これを根本的に解決するの第一歩は、自己の反省でなければならない。たとい自分に過ち無しとの確信あるも、少くとも他から誤解せられたという事実に就ては、なんらか自ら反省するだけのものはある。誤解せらるべきなんらの欠点も無かった、かくても鮮人が我に反抗すると言うなら、併合の事実そのもの、同化政策そのものに就て、更に深く考うべき点は無いだろ
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