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「7 権力の魔性と生活世界の民衆理性」

投稿者: usagigamemaimai 投稿日時: 2004/05/23 01:53 投稿番号: [1154 / 7270]
  「あとがき」の最後の部分です。
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  7   権力の魔性と生活世界の民衆理性

コミンテルンは、「世界革命」のための「世界共産党」だった。だが、それを方向づけ、基本的決定にあたったのは、コミンテルン頂点での、ひとにぎりの「政治家」や「理論家」たちだった。

  無論、底辺には、数百万人の共産主義者たちがいた。国崎定洞も、その1人だった。その底辺の共産主義者たちの圧倒的多数にとって、ファシズムの本質が「大資本のテロル独裁」(コミンテルン綱領)なのか、「ボナパルティズムと共通」(タールハイマー)であるのかは、おそらく大きな問題ではなかった。世界恐慌による失業・生活苦と、眼前に迫るワイマール民主主義の危機と、世界戦争の危険こそ、多くの人々の心を動かし、行動にかりたてたものであったろう。

  その人たちの想いは、フィンランドのS君や、ボンのA君や、父の生死もしらずに「苦役としての労働」とたたかってきたタツコさんの生活世界と、そんなにかけはなれたものではなかったはずだ。頂点近くにいたH氏でさえ、「悪夢」からさめてみれば、生活者としての自分を、再発見できた。

  本書『コミンテルンの世界像』で対象としたのは、コミンテルン頂点の「権力」の世界である。そして、「権力」の本質とは、どうやら、生産関係とか経済体制で決定されるとはいえないようだ。

  9月末に日本へ帰国してみると、感動的な文章が目についた。89年の「ビロード革命」で、望むことなく「権力」におしあげられたチェコスロヴァキアの抵抗の文学者、いまでは、チェコ・スロヴァキア共和国大統領である、バーツラフ・ハベルの言葉である。ハベルは、「人間は、なにゆえに政治権力を願望するのでしょうか。そして、なにゆえにこの権力を――いったん手に入れると――手放したがらないのでしょうか?」と自問して、告白する(「死にいたる権力」『世界』1991年10月号)。

  「われわれは心ならずも、自分たちが排撃していた前任者たちに、しばしば深刻なまで   に似通い始めているのです。……私は、特典、例外、コネの世界にいるのです。市街電   車の乗車券やバターが幾らするか、コーヒーの入れ方、自動車の運転や電話のかけかた   さえ、もはや知らないことになり始めている、名士の世界にいるのです。つまり、私が   生涯批判し続けた、あの共産党的上流階級そのものの世界の入口に立っているのです。」

  ――言葉を大切にする人の言葉、また、現に「権力」にある人の言葉だけに、胸に迫るものがある。

  「権力」とはまた、権力関係である。ミシェール・フーコーを引くまでもなく、「国家権力」だけが権力ではない。あらゆる社会領域に遍在し、地球大でも存在している。「多国籍企業」や「セクシャル・ハラスメント」や「教師の権力」や「党指導部の権力」のようなかたちでも。

  たぶん、19世紀の思想・運動としての「社会主義」が、「国家権力の奪取」をめざしたとき、すでに、20世紀に現出するレーニン=コミンテルン型共産主義、「国家主義的社会主義」のわなに、1歩をふみだしていた。

  無論、「権力」なしで社会は動かないし、人々の人権や福祉の保障もないことも事実だ。「権力」に関わるものは、その魔性を自覚し、自己抑制しなければならない。「政治にはことさら用心深い人達が従事すべきです。政治のもたらす、存在の自己確認のあいまいな勧誘に対して、とくに感受性の強い人たちが」と、ハベルはいう。

  コミンテルンは、「資本主義の権力=悪」「社会主義の権力=善」という教義を極限におしすすめ、「プロレタリアートの世界独裁=世界ソヴェト社会主義共和国連邦」を夢みた組織であった。「国家権力=階級支配の道具」説を、忠実に信じ込み、実践した組織だった。

  その長くにがい実験の終わったいま、「各人の自由な発展が万人の自由な発展の条件となるような共同社会」をめざす人々は、「自由」の概念を改めて再考し、コミンテルンとはちがった意味での「インタナショナリズム」=地球市民主義を、構想しなければならないであろう。「頂点から」ではなく「底辺から」の眼を大切にし、生活世界からの社会形成=市民社会主義の途を、探らずにはいられないであろう。

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>その長くにがい実験の終わったいま

  「地球市民主義」もなにやら「変質」してきたような・・やな予感。

  ユーロは大きくなりました。
  鉄鉱石と石炭は高騰しているそうです。   石油の高騰より気になるなぁ・・・やな感じ。
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