咸錫憲『苦難の韓国民衆史』
投稿者: bosintang 投稿日時: 2002/10/20 00:10 投稿番号: [1267 / 3669]
われわれがまず明らかにしなければならないことは,この解放が盗人のように不意に訪れたということだ。
解放後の腹立たしいこと,醜いざまは一つ二つではないが,その中でもほんとうに腹立たしいのは,この解放を盗もうとするやつらが多いことだ。彼らは,自分たちだけはこのことを早くからわかっていたと宣伝する。それは彼らがこの盗人のようにやってきた解放を,さも自分が送り込んだようにして盗もうとするためである。
それは嘘だ。もし彼らがあらがじめわかっていたなら,それほど先見の明があったなら,どうして八月十四日までへりくだって服従していたのか。その時一言でも予告して民衆を慰め,勇気をひきしめさせていたなら,いまになってことさら宣伝しなくても民衆は指導者としてお迎えしたことだろう。
そういうことはやめて率直になろう。
君も僕もみな知らなかったのだ。みんな眠っていたのだ。神社参拝しろといわれれば腰が折れんばかりに拝み,姓を改めろといわれると競い合って改め,時局講演といえばありったけの才能を傾けて語り,米英を罵倒し,転向しろといわれれば実にアッサリ転向し,よく見られようと聖書も直し,教会も売り,信用が得られるとなると四つん這いになり,犬の鳴き声もしてみせた。
この国の志士思想家・宗教家・教育者・知識人・文人に,また海外流浪何十年と格好はよいが,その実,互いに博士派・先生派・なになに派・なになに系・なになに団と,ハワイやサンフランシスコではアメリカ人の召使いをしながら勢力争いをし,重慶・南京ではとうもろこし粥をもらって食いながら地位争いをしていた人たちが,なにをあらかじめわかっていたというのか。思想はなんの思想で,政治はなんの政治運動をしたというのか。
この国が解放されるとあらかじめわかっていた人など一人もいないのだ。
咸錫憲『意味から見た韓国史』(日本語版『苦難の韓国民衆史』新教出版社,1980年)
これは メッセージ 1266 (bosintang さん)への返信です.
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