アン・ナ『天国までもう一歩』
投稿者: bosintang 投稿日時: 2002/10/01 11:32 投稿番号: [1232 / 3669]
2002/10/01
(産経新聞朝刊) 書評
天国までもう一歩
米に移民した少女の半生
ヨンジュは韓国の貧しい漁村に生まれた少女。家では、暴力を振るうアパ(父)とオンマ(母)のけんかが絶えない。
しかし、「ミグク」という言葉によって、家族は一転、明るいムードに包まれる。四歳のヨンジュが魔法の言葉だと思ったそれは、一家のミグク(アメリカ)への移住を意味していた。
本書は、作者の半生に基づいて描かれた物語である。ヨンジュの目を通して、移民家族の変遷と別離を追っている。ヨンジュの伯父ティムおじさんが「天国までもう一歩の所」と話したミグクの現実は、韓国と同様、苦しい生活の場所だった。また、家長制度や男性を敬う儒教の教えから、一家は周囲に溶け込めず孤立する。大きな希望は一転、閉塞(へいそく)感と絶望に変わり、再びアパの家庭内暴力が始まる。
何度となく希望の芽を摘み取られながらも、夢を見る力がヨンジュを支えていく。彼女は成長して、やがて大学進学という成功を収めるが、一方でアパの言動を暗に追及し、そのために家族の崩壊を招いていく。
暴力を振るい家庭を顧みないアパは、理不尽で非道な父親だ。しかし同時にその姿は、アメリカ移住に挫折し、家族を抱え途方にくれる孤独な男として痛々しく描かれている。作者は、かつて自分を傷つけた父親の心情をくんでいるようだ。
ヨンジュたちは、確かに自分たちのもとにいた、夢を抱いた優しいアパを心に留めていく。家族それぞれにひそかに息づく、思い出のかけがえのなさが伝わる物語だ。(中学から)
児童書評論家
高宮明央
(アン・ナ著、代田亜香子訳/白水社・1500円)
昨今の移民ブーム,必ずしもうまくいってないみたい。
http://www.hakusuisha.co.jp/current/topics/tenngoku.html
これは メッセージ 1 (violla_21 さん)への返信です.
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