喫茶室「一服汁」

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宗主国さまのみち 12

投稿者: toapanlang 投稿日時: 2006/08/30 01:51 投稿番号: [9648 / 19672]
  やがて鉄塔の前に出た。
  十三層とまことに高いものであるのだが、中はせまそうである。
「のぼってみますか」
  許氏がいった。私は遠慮したのだが、チャングムと朴やんがのぼることにした。ふたりは十元の入場料をはらって中にはいった。
「これだけ高いと、てっぺんから黄河がみえますかね」
  許氏にきいてみた。許氏は即答した。
「みえません。黄河は高い土地にあるので堤防がようやくみえる程度でしょう」
  黄河は天井川であるうえに底があさいため、いったん堤防が決壊するとまちの一つや二つは簡単に飲みこむという。
  太古より黄河はしばしば氾濫し、ときには河流まで変えた。日本軍の進撃を遅滞させるため国民党軍が堤防を切って人工的に洪水をおこしたこともある。これによって日本軍は三ヵ月足止めを食らったという。

  氾濫した黄河は大量の土砂をはこぶため、まちがそのまま埋まってしまうこともある。じつをいえば、龍亭にしても鉄塔にしてもほんらいのものはすべて地下十数メートルにうまっているのである。
「この足もとには宋代の開封がまるごと埋まっているのです」
  そのため、地面を掘るとどんな遺跡や文物が出てくるかわからない。開発がすすみませんよと許氏はわらった。
「もし地上の市街を保全したまま、地下をほって過去の開封市街を再現できるならすばらしいのですが」
  さらに許氏はそういった。むろん現実には不可能だとわかっている。
  ウリナラのように過去の文物をたいせつにする国でさえ、歴史遺産の維持管理は難問である。いまの中国にはとてもその余裕や技術はないであろう。

  チャングムと朴やんが降りてきた。みごとなほどに汗だくである。
「中はせまかったですよ」
  汗をぬぐいもせず朴やんがいった。螺旋状の階段はひと一人がやっと通れるほどのせまさですれ違いもままならず、各層にひとつずつある窓の部分には壁がないぶんすこし幅があり、そこで体を半身にしてやっとすれちがえるという。
「暗いし、階段は急だし、もうたいへん」
  チャングムはペットボトルの水を飲みほしていった。鉄塔は八角形であるため階段は四十五度ずつ折れ曲がって螺旋をえがいているが、一段の傾斜は急でありしかもつま先がはみ出そうになるほど奥行きがせまいという。

  鉄塔公園を出て、宿舎の開封大学へかえることにした。タクシーをつかまえる前に水を買った。
  まちをゆく中国人はほとんど水のペットボトルをもっている。水道水は飲料に適していないためである。また、中国には自動販売機がない。路上にパラソルをたて営業用の冷蔵庫をおいてペットボトルを売っている。
  中国人はものをわざわざ冷やして飲食する習慣がなく、ビールなどもぬるいのがあたりまえであり、保管のために冷やすだけであった。最近ようやくビールを冷やして飲むことが普及してきたらしい。
  ペットボトルの水は一本一元であるから百六十ウォンほどであろうか。炭酸飲料などのジュースだと三元もする。
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