喫茶室「一服汁」

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宗主国さまのみち 9

投稿者: toapanlang 投稿日時: 2006/08/25 10:55 投稿番号: [9580 / 19672]
  翌日、河南省歴史文物研究所の所長である衛躍進(ウェイ・ユエジン)先生の家をおとずれた。許氏が手配してくれたのである。
  広大な敷地にマンションがたちならび、敷地内にはいるには門番のいる門を通過しなくてはならない。
「高陽(コヤン)あたりの新築マンションみたいですね」
  おもわず朴やんにそういった。朴やんは笑ってうなずいた。
「みちもきれいだわ」
  チャングムのいうとおり、このあたりは路上にごみも少なくでこぼこもほとんどない。立ちならぶ商店もきれいである。

  先生の家に入ると、見るからに古そうな家具がならんでいる。卓やいすは清代のものだという。
「ほんものでしょうか」
  チャングムがそっとつぶやいた。だいたいこういう場合はにせものであると相場がきまっている。
「すべて本物です。衛先生が発掘されたものが多いんです」
  許氏はわらった。衛先生の父親も歴史学者であり、親子二代で多くの文物を発掘して家で管理するばかりか、じっさいに使用しているというからおおらかなものである。むろん許可は得ているらしい。卓上の青銅製の香炉は漢代、花瓶は宋代のものであるという。
  衛先生が棚からむぞうさに紙箱を持ってきた。もとはワインが入っていたようだが、ふたを開けるとなかには青銅の刀や剣、鏡がはいっている。
「刀は商代、剣は戦国期、銅鏡は漢代のものです。わたしが発掘しました」
  衛先生はいった。青銅剣をさわらせてもらうと、鋭利な刃がまだあった。戦国期にはすでに熱処理技術があったため錆はおどろくほど少ない。
「ローレシアの王子はこの剣を持って旅立ったのね」
  チャングムはしきりに感心している。
  衛先生が銅鏡をとり出したあと箱のなかになにかが入っていた。のぞきこんでみると十元札をなんまいも折りかさねたものであった。まことにおおらかというか、歴史文物に対してふまじめというべきか。

  先生の家を辞したあといったん宿舎にもどり、それから開封市内中央部にむかった。
  まちの中心部は、宋代と同じなわばりにつくられた内城の城壁にかこまれており、いくつか大門がある。私たちの車は西の大梁門をくぐり、宋都を再現したという龍亭で車をおり、三十五元の入場料をはらって中にはいった。
  なかは広大な公園のようになっている。通路をすすむとみちの両側には大きな池があり、右側を潘家湖といい、左側を楊家湖という。宋代を舞台にした小説『楊家将演義』にちなんでいる。
  この物語では、主人公である楊一家に対して潘仁美という悪役が設定されており、それを模して水が濁ったほうを潘家湖、きれいなほうを楊家湖というのである。
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