喫茶室「一服汁」

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街道を逝く 台湾奇行 14

投稿者: toapanlang 投稿日時: 2006/07/28 17:02 投稿番号: [8759 / 19672]
  チャングムの願いをいれて、部屋に荷物をおいたあとすぐロビーで集合した。
「こっちです」
  チャングムの先導にしたがって中山北路を南にゆき、最初の角を左に曲がって南京東路を東へ歩く。
「あれですぅ」
  チャングムが指さす方向は、林森北路との交差点であり、ちょうど対角にファストフードらしきものがみえた。モスバーガーであった。モスのケーキというのは寡聞にして知らない。
「ちがいます。さぁ、いきますよ」
  どうやらちがったらしい。交差点に設けられた地下道に降りて進んだ。階段をあがると南京東路の南側に出た。さっき見たモスバーガーは交差点の南東であるが、ここは南西の角である。そばには交番があった。
「あそこです」
  チャングムの指示にしたがって南北に通る林森北路を南にすこしゆくと、
「李製餅家」
  という店があった。
「日本のケーキ屋みたいですね」
  朴やんがいうように、ガラスばりのウィンドウがはり出しておりケーキが展示されている。
  といっても、種類はひとつしかない。「鳳梨酥」というパイナップル風味のバタークッキーである。
  この店は手づくりの鳳梨酥で、台湾どころか日本にも知られており、チャングムの読んでいたガイドブックにも紹介されていたのである。
「チャングムさん、どれほど買いますか」
  朴やんがたずねた。
「んーとねぇ、いっぱぁーいっ」
  だらしなく頬をゆるめているチャングムをとがめるのはやぼというものであろう。
  チャングムは二十四個入り(二百二十元)の箱を三つ買った。結果からいえば、そのうちの二箱はチャングムがたいらげてしまったのだが。

  そのまま、林森北路を南下した。
  このあたりは飲み屋が多い。ちょうど開いている店があったのではいった。
「両杯生[口卑]酒」
  朴やんが指を二本つき出していった。チャングムがほおをふくらせる。
「わ、わたしだって飲むもん」
  あわてて朴やんが「給我們三杯[口卑]酒」と言いなおした。
  あては、ホタテの刺身、豚の冷しゃぶと青菜いためである。
  ふと見あげると、テレビでは野球中継をやっていた。なんとNHKである。阪神タイガース対広島東洋カープの試合であるが、解説がみょうに軽薄な調子であるのが気になった。
「この声は広澤克実ですね。かれはサービス精神があるのですが、ここまでうかれた調子なのははじめて聞きます」
  朴やんがうなった。わたしは広澤という人がどんな人かは知らぬが、そのゲームでウリミンジョクの選手が活躍しているせいで昂奮しているのだろうとおもった。
「うんうん。日本プロ野球選手の八割はウリミンジョクですしねぇ」
  ビールのせいなのかチャングムが大声でいった。
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