喫茶室「一服汁」

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街道を逝く 台湾奇行 12

投稿者: toapanlang 投稿日時: 2006/07/23 18:06 投稿番号: [8587 / 19672]
  台中でとまった次の日は、さらに北上した。
  次にゆく新竹は、台湾のシリコンバレーとよばれるほど先端工業のすすんだ土地である一方、ビーフンの産地としても有名である。
「ってことは、ウリナラの下請けね」
  勝ち誇ったようにチャングムはいった。

  今回は鉄道である。
  台中駅の窓口で朴やんが切符を購入した。
「給我三張去新竹車票、九点一刻発車的自強号」
  自強号とは特急の名前である。九時十五分発のそれにのるという。
  列車は時刻どおりにホームに来た。
「東南アジアの後進国って時間にいい加減じゃなかったの」
  チャングムがおどろいた。こういった点でも台湾は日本をまねているらしい。
  乗車券にしるされた指定席に着くと、朴やんは前の席の背についているホルダーに乗車券の控え――日本の鉄道の切符ほどの大きさ――をいれた。
「もし、わたしたちが寝ている間に車掌が改札にきた場合、これをみてくれるんです」
  そうすればおこされる心配はない。まことに気のきいたことであるが、ウリナラの列車には不要であろう。
  KTXの後ろ向きの座席で眠れるような人間はいないからである。

  しばらくして女性車掌があらわれた。改札ではなく、両手に何かがはいったビニール袋をさげ、
「便當、便當」
  といっている。「便當」は「ビェンタン」であり、ようは車内弁当である。これも日本文化の影響であるという。
  前の席の客が買っていた。ふたを開けたのをのぞきこんでみると、豚肉をあげた「排骨」や野菜を煮たものがはいっている。
「どうしてキムチがないの!」
  じつに残念なことといわざるをえない。

  新竹についたときには昼前であった。
  チャングムは車内で弁当をみたせいで空腹をおぼえているようだ。駅の北出口からすこし西のほうに歩くと猥雑な一角があった。アーケードのような屋根もあり、ちょっとした屋台村である。
「関帝廟ですか」
  朴やんがいった。ここの中には多くのビーフン屋台もあるというのではいってみた。やや薄暗いなかを歩き、一軒の店に腰掛け、ビーフンを注文した。
「おいしいけど、やっぱり冷麺(ネンミョン)が最高ね」
  チャングムは、三杯もたいらげてからそういった。

  腹ごなしにアーケードのなかを歩いた。ここの関帝廟も他の廟とおなじく原色をふんだんに使用しているため色彩がどぎつい。
「ウリナラのおだやかさにはとうていかなわないわよね」
  チャングムのいうとおりである。韓国の色彩感覚は調和を特徴としているため、最近、そのファッションが世界でも人気が出てきた。中華文化のようなどぎつさをそのまま受けいれず、ウリミンジョクにあうようにうまくつくり変えたのがよかったのであろう。
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