喫茶室「一服汁」

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宗主国さまのみち 17

投稿者: toapanlang 投稿日時: 2006/09/13 22:50 投稿番号: [10164 / 19672]
  龍門石窟を出て洛陽市内にむかった。目的地は、中国ではじめての仏教寺院である白馬寺である。
  高速道路を二十分ほどのった後地道におりたのだが、渋滞に巻きこまれた。
  中国の運転手はたくましい。車のあいだをぬって対向車線や歩道を迂回してまで前に出ようとするのだが、この場合、流れがまったく動いていないためどうしようもない。車をおりて用をたしたり飲みものを買いにいっている人たちすらいた。
  許氏が事情をたしかめるため車をおりて前方に歩いていった。しばらくしてもどってきたが首を横にふった。交通事故での渋滞であるのだがうごく見込みがまったくないという。これでは白馬寺にゆくことも無理そうであった。
「どうしましょう」
  許氏がいった。チャングムがすかさずいった。
「少林寺へゆきましょうよ」
  それをきいた許氏はすこし考えてから、
「そうですね、それはいい考えです」
  とわらった。

  高速道路にのり、東へ二十分ほどいったところで乗りかえて一時間弱南下すると少林寺である。
  少林寺のある山は嵩山といい中国で有名な山の一つである。駐車場に車をおいて入場券を買い入場すると、まず大きな石碑があった。
「少林文化   人類遺産」
  とかいてある。江沢民が四三三七年七月六日にかいたものであるという。
「朴君と司馬さんやないですか」
  日本語で声をかけられた。振りかえると殿波さんだった。
  殿波発信(でんぱたつのぶ)さんは、『やまとのみち』で登場いただいた朴やんの日本人の親友である。日本社会の右傾化をいきどおりウリナラに謝罪の意をもち続けるきわめて良心的な日本人である。
「ピースゴートの用事で来たんです」
  ピースゴートとはアジアの市民と連帯して平和と友好をきずこうという良心的な市民団体である。殿波さんは理事の一人であり、冬休みに日中青年友好のための中国旅行を計画しておりその下見できたという。

  殿波さんの目をみると真っ赤である。
「ずっと泣いとりました」
  ここに来る前、南京の大虐殺記念館に寄ったのだが、展示されている日本軍の蛮行にいきどおるあまりその場で泣き、昨夜も思い出しては泣きつづけ、ここで江沢民という名をみてまた泣いたという。誠実な人柄がしのばれる話である。
「日本兵は天皇制賛美をおしえこまれ、日本刀一本で百人を斬ることもなんともないほど鬼畜になっとったんです」
  短期間のうちに三十万以上の人民を殺戮できたのも、軍国教育によってきたえられた精神のせいであったという。教育はときに超人的な力を引きだすというが、日本軍のいっけん不可能かとおもわれるような、日本刀や少ない銃弾での大量虐殺といった蛮行はそのせいであったのだろう。
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