中国の民主主義 後編
投稿者: aki_kaze_u_ru_ru 投稿日時: 2009/11/27 21:13 投稿番号: [1362 / 3699]
一方、その中で、現政権の神経を尖らせる傾向もくっきり現れている。その一つは、多くの地域で村民委員会と共産党支部委員会との間で軋轢(あつれき)が生じ、共産党支部書記と村民委員会主任が権限をめぐって争うようになったことである。もう一つは、選挙をめぐる不正行為の多発である。選挙民の買収、投票箱の随意増減や毀損、被選挙人への人身攻撃、上級政府からの干渉などは、どこでも一般化している。
2003年4月、内陸の山西省では第6期村民委員会選挙が行われた。河津市のある村の選挙において、村民委員会主任と副主任の候補者がそれぞれ有権者に金をばらまいた。そのうち、主任に当選した人が有権者に1人あたり1800元、合わせて194万元(現在日本円にして約2716万円)を与えた。副主任に当選した2人もそれぞれ有権者に14万5000元(約203万円)をばらまいた。この不祥事はやがて暴露され、全国で大論争を巻き起こしたが、その後、改善の兆しは一向に見られない。
昨年12月、筆者は中国の現地調査を行った際、ちょうど3年に一度の村民委員会の選挙にあたり、いくつかの村を回り、その様子を見学した。現地の関係者などの話が裏付けていたように、選挙民の買収は普遍的に行われており、主任候補者はおよそ20万元を使っているという。
また、やり直し選挙も見学させてもらった。ある村民委員会の選挙は投票途中で、劣勢と分かった候補者側がむりやりに投票箱を奪い取って中の票をめちゃくちゃにした。双方の支持者が一触即発の状態となったところへ、鎮の共産党委員会書記が駆けつけて、ようやく事態を鎮静化させた。
結局、無効となった選挙はやり直すこととなった。今回、鎮の共産党委員会書記が当初から数名の幹部および鎮警察署の警察十数人を連れて現場に鎮座したため、投票は何事もなく終了した。そして開票は鎮政府の中で行われた。その日、開票作業の安全を確保するために、玄関の鉄扉を閉めたうえ、警察を配備した。筆者は特別ゲストとして招き入れられ、一部始終を目撃した。
さすがに鎮政府が厳重な監督監視体制を敷いたため、すべてが順調に進み、2時間後に終了し、結果が出た。続いて当選者へ赤い色の当選証書が手渡され、皆の拍手で幕を閉じた。
ところで、こうした中国で現在行われている選挙は決して日本の地方選挙のようなものではない。村民委員会にしても、都市部の居民委員会にしても、どれも政府の行政機関ではなく、あくまでも住民自治組織にすぎない。それにしても、中国では従来、その構成員を政府が任命していたのだから変革は変革である。全国範囲での直接選挙は1990年代を待たなければならなかったが。
現在、村民委員会の選挙は「草の根の民主主義」と謳われ、内外から高い関心を寄せられているが、真の民主主義は住民自治組織の選挙に止まっていてはありえない。真の民主主義は政府の行政レベルまでの選挙を実施しなければならない。まずは農村の末端行政である郷・鎮政府の幹部を住民の直接投票で選ぶべきだ。
一方で、もし郷・鎮政府のレベルで選挙を行えば、間違いなく社会の動乱を招くとも言われている。その際、金銭の授受、選挙民の買収、結託などでは済まず、ひいては暴力の横行、殺人事件にまで発展する、というのだ。これは政府関係者か一般住民を問わず大方の見方である。
はたしてそうなるのだろうか、筆者は大きな疑問を持っている。
中国は「試行」を好む。全国的な制度や政策はほとんどまず一部の地域において試行してから、その経験を総括したうえで全国へと普及していくといった政策決定のプロセスを踏む。ならば、もし本気で直接選挙を行政まで拡大しようとすれば、郷・鎮政府の選挙もまず試行すればよい。
例えば、県の中でまず一つの郷や鎮において試行する。その際、全県の警察を動員してあたれば、事態は十分に掌握できるはずだ。かりに騒動や暴力行為が発生したとしても、すぐさま力で抑えればよい。試行を成功させた後、別の郷や鎮へ徐々に普及させていけばよい。
ただし、繰り返しになるが、要は共産党政権が権力の開放をする意思があるかどうかである。カギは決して国民側に握られているわけではない、これだけは確かである。(
2003年4月、内陸の山西省では第6期村民委員会選挙が行われた。河津市のある村の選挙において、村民委員会主任と副主任の候補者がそれぞれ有権者に金をばらまいた。そのうち、主任に当選した人が有権者に1人あたり1800元、合わせて194万元(現在日本円にして約2716万円)を与えた。副主任に当選した2人もそれぞれ有権者に14万5000元(約203万円)をばらまいた。この不祥事はやがて暴露され、全国で大論争を巻き起こしたが、その後、改善の兆しは一向に見られない。
昨年12月、筆者は中国の現地調査を行った際、ちょうど3年に一度の村民委員会の選挙にあたり、いくつかの村を回り、その様子を見学した。現地の関係者などの話が裏付けていたように、選挙民の買収は普遍的に行われており、主任候補者はおよそ20万元を使っているという。
また、やり直し選挙も見学させてもらった。ある村民委員会の選挙は投票途中で、劣勢と分かった候補者側がむりやりに投票箱を奪い取って中の票をめちゃくちゃにした。双方の支持者が一触即発の状態となったところへ、鎮の共産党委員会書記が駆けつけて、ようやく事態を鎮静化させた。
結局、無効となった選挙はやり直すこととなった。今回、鎮の共産党委員会書記が当初から数名の幹部および鎮警察署の警察十数人を連れて現場に鎮座したため、投票は何事もなく終了した。そして開票は鎮政府の中で行われた。その日、開票作業の安全を確保するために、玄関の鉄扉を閉めたうえ、警察を配備した。筆者は特別ゲストとして招き入れられ、一部始終を目撃した。
さすがに鎮政府が厳重な監督監視体制を敷いたため、すべてが順調に進み、2時間後に終了し、結果が出た。続いて当選者へ赤い色の当選証書が手渡され、皆の拍手で幕を閉じた。
ところで、こうした中国で現在行われている選挙は決して日本の地方選挙のようなものではない。村民委員会にしても、都市部の居民委員会にしても、どれも政府の行政機関ではなく、あくまでも住民自治組織にすぎない。それにしても、中国では従来、その構成員を政府が任命していたのだから変革は変革である。全国範囲での直接選挙は1990年代を待たなければならなかったが。
現在、村民委員会の選挙は「草の根の民主主義」と謳われ、内外から高い関心を寄せられているが、真の民主主義は住民自治組織の選挙に止まっていてはありえない。真の民主主義は政府の行政レベルまでの選挙を実施しなければならない。まずは農村の末端行政である郷・鎮政府の幹部を住民の直接投票で選ぶべきだ。
一方で、もし郷・鎮政府のレベルで選挙を行えば、間違いなく社会の動乱を招くとも言われている。その際、金銭の授受、選挙民の買収、結託などでは済まず、ひいては暴力の横行、殺人事件にまで発展する、というのだ。これは政府関係者か一般住民を問わず大方の見方である。
はたしてそうなるのだろうか、筆者は大きな疑問を持っている。
中国は「試行」を好む。全国的な制度や政策はほとんどまず一部の地域において試行してから、その経験を総括したうえで全国へと普及していくといった政策決定のプロセスを踏む。ならば、もし本気で直接選挙を行政まで拡大しようとすれば、郷・鎮政府の選挙もまず試行すればよい。
例えば、県の中でまず一つの郷や鎮において試行する。その際、全県の警察を動員してあたれば、事態は十分に掌握できるはずだ。かりに騒動や暴力行為が発生したとしても、すぐさま力で抑えればよい。試行を成功させた後、別の郷や鎮へ徐々に普及させていけばよい。
ただし、繰り返しになるが、要は共産党政権が権力の開放をする意思があるかどうかである。カギは決して国民側に握られているわけではない、これだけは確かである。(
これは メッセージ 1361 (aki_kaze_u_ru_ru さん)への返信です.
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