ワールドカップは終わらない 6
投稿者: chon_no_inai_nippon88 投稿日時: 2003/07/18 17:42 投稿番号: [82419 / 99628]
六月二十五日、いよいよ準決勝のドイツ対韓国。
コメントを求められたドイツのゴールキーパー・オリバー・カーンは「不利
な判定があるかもしれない」と懸念を表明していた。イタリアやスペインとの
試合で韓国に有利な審判の判定が出ていたことに対応するコメントだ。ただし、
このコメントを引き出した質問者の意図がカーンの発言を誘導したものともい
える。
だが、ドイツは強かった。
スタジアムを真っ赤にした韓国の声援を跳ね返す力をもっていた。ボール支
配率こそ数字的にはほぼイーブンだったが、ドイツは時間とともに次第に韓国
を押し込んでいき、ついに後半三十分、バラックが得点を挙げ、ドイツは通算
七回目の決勝進出を果たした。韓国の躍進もここまでだった。
正直なところ、この結果に僕の心は晴れ晴れとした安堵を覚えた。
単純な話、ドイツ、ブラジル、韓国、トルコの四強が出揃ったところで、高
価な決勝戦のプレステージチケットをもっていた僕は、どうしてもドイツ対ブ
ラジルの試合を観たいと思っていた。それはチームとしての強さではなく、強
烈な個性とテクニックをもった天才たちを見たかったからだ。決勝戦のプレス
テージシルバーチケットの価格を試合時間をもとに計算すると、一分あたり五
千円になる。それだけのお金を払う以上、それだけの価値のある試合になって
欲しかった。単にワールドカップの決勝が見たいから高価なチケットを買った
のではない。天才たちのプレーが見たいのだ。決勝戦であるかどうかは僕にと
って実は重要ではなく、おそらくは決勝戦には天才が出揃うと考えて、準々決
勝、準決勝、決勝のチケットをもって、彼らを待っていたのだ。
大会が始まる前、最初に予想した決勝戦は、アルゼンチン対イタリアだった。
どちらにもたくさんの天才がいる。この組み合わせだったらプレステージチケ
ットの値段はまったく正当な価格だと思っていた。他には、ブラジルのほとん
どの選手、それにフランスのジダンやアンリやトレセゲ、スペインのルイス・
エンリケやラウール・ゴンザレス、ポルトガルのルイス・フィーゴやジョアン
・ピント、イングランドのシーマンやマイケル・オーエン、そんな選手たちを
見たいのだ。
日本や韓国には彼らほどの天才はいない。六十四試合のなかからいくつかの
試合を選ぶしかないとすれば、韓国どころか日本の試合だってお金を払ってま
で見たくはない。せっかくなのだからワールドカップらしいワールドカップを
見たい。
そのためにこそ、誰が勝ち上がってくるかわからないまま夫婦で二百万円近
いお金を出して、チケットを買って待っていたのだ。ここでリスクが現実のも
のになってはたまらない。
準決勝ではドイツに勝って欲しい。
心の底からそう思っていた。
それは韓国が隣国だからとか、共同開催国だからとか、同じアジアの国だか
らとか、韓国人の友人がいるからとか、そういうこととはまるで関係のない、
純粋にサッカーファンとしての最大にして唯一の願いだった。
韓国対ドイツの試合は国立競技場でパブリック・ビューイングが行われ、約
六千人がスタジアムの画面で観戦をした。そのうちおよそ千人がドイツを応援
したと伝えられた。それに対し、韓国の通信社・聯合ニュースは「約千人の日
本人サポーターがドイツを熱狂的に応援し共同応援という行事の意図を台無し
にした」と報道した。と同時に、聯合ニュースは、日本テレビの中継にゲスト
として出演したタレントの明石家さんまがドイツのユニフォームを着ていたこ
とを否定的に報道した。
冗談じゃない。
韓国と日本は、世界の多くの人々が人生のなかで大いに楽しみにしているサ
ッカーというスポーツの最高の舞台であるワールドカップを一緒に開催してい
るのだ。日本チームのために、あるいは韓国チームのために、ワールドカップ
があるわけじゃない。世界最高峰のサッカー試合が行われるからワールドカッ
プが素晴らしいのだ。ひとつの出場国として自分のチームを応援するのは自然
であるとしても、世界の素晴らしいチームを見る、そして応援するというワー
ルドカップの本質を離れて、共同開催だというだけで日本人が韓国を応援する
理由にはならない。
コメントを求められたドイツのゴールキーパー・オリバー・カーンは「不利
な判定があるかもしれない」と懸念を表明していた。イタリアやスペインとの
試合で韓国に有利な審判の判定が出ていたことに対応するコメントだ。ただし、
このコメントを引き出した質問者の意図がカーンの発言を誘導したものともい
える。
だが、ドイツは強かった。
スタジアムを真っ赤にした韓国の声援を跳ね返す力をもっていた。ボール支
配率こそ数字的にはほぼイーブンだったが、ドイツは時間とともに次第に韓国
を押し込んでいき、ついに後半三十分、バラックが得点を挙げ、ドイツは通算
七回目の決勝進出を果たした。韓国の躍進もここまでだった。
正直なところ、この結果に僕の心は晴れ晴れとした安堵を覚えた。
単純な話、ドイツ、ブラジル、韓国、トルコの四強が出揃ったところで、高
価な決勝戦のプレステージチケットをもっていた僕は、どうしてもドイツ対ブ
ラジルの試合を観たいと思っていた。それはチームとしての強さではなく、強
烈な個性とテクニックをもった天才たちを見たかったからだ。決勝戦のプレス
テージシルバーチケットの価格を試合時間をもとに計算すると、一分あたり五
千円になる。それだけのお金を払う以上、それだけの価値のある試合になって
欲しかった。単にワールドカップの決勝が見たいから高価なチケットを買った
のではない。天才たちのプレーが見たいのだ。決勝戦であるかどうかは僕にと
って実は重要ではなく、おそらくは決勝戦には天才が出揃うと考えて、準々決
勝、準決勝、決勝のチケットをもって、彼らを待っていたのだ。
大会が始まる前、最初に予想した決勝戦は、アルゼンチン対イタリアだった。
どちらにもたくさんの天才がいる。この組み合わせだったらプレステージチケ
ットの値段はまったく正当な価格だと思っていた。他には、ブラジルのほとん
どの選手、それにフランスのジダンやアンリやトレセゲ、スペインのルイス・
エンリケやラウール・ゴンザレス、ポルトガルのルイス・フィーゴやジョアン
・ピント、イングランドのシーマンやマイケル・オーエン、そんな選手たちを
見たいのだ。
日本や韓国には彼らほどの天才はいない。六十四試合のなかからいくつかの
試合を選ぶしかないとすれば、韓国どころか日本の試合だってお金を払ってま
で見たくはない。せっかくなのだからワールドカップらしいワールドカップを
見たい。
そのためにこそ、誰が勝ち上がってくるかわからないまま夫婦で二百万円近
いお金を出して、チケットを買って待っていたのだ。ここでリスクが現実のも
のになってはたまらない。
準決勝ではドイツに勝って欲しい。
心の底からそう思っていた。
それは韓国が隣国だからとか、共同開催国だからとか、同じアジアの国だか
らとか、韓国人の友人がいるからとか、そういうこととはまるで関係のない、
純粋にサッカーファンとしての最大にして唯一の願いだった。
韓国対ドイツの試合は国立競技場でパブリック・ビューイングが行われ、約
六千人がスタジアムの画面で観戦をした。そのうちおよそ千人がドイツを応援
したと伝えられた。それに対し、韓国の通信社・聯合ニュースは「約千人の日
本人サポーターがドイツを熱狂的に応援し共同応援という行事の意図を台無し
にした」と報道した。と同時に、聯合ニュースは、日本テレビの中継にゲスト
として出演したタレントの明石家さんまがドイツのユニフォームを着ていたこ
とを否定的に報道した。
冗談じゃない。
韓国と日本は、世界の多くの人々が人生のなかで大いに楽しみにしているサ
ッカーというスポーツの最高の舞台であるワールドカップを一緒に開催してい
るのだ。日本チームのために、あるいは韓国チームのために、ワールドカップ
があるわけじゃない。世界最高峰のサッカー試合が行われるからワールドカッ
プが素晴らしいのだ。ひとつの出場国として自分のチームを応援するのは自然
であるとしても、世界の素晴らしいチームを見る、そして応援するというワー
ルドカップの本質を離れて、共同開催だというだけで日本人が韓国を応援する
理由にはならない。
これは メッセージ 82418 (chon_no_inai_nippon88 さん)への返信です.
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