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文化人類学5

投稿者: ditgtedgbbdc 投稿日時: 2002/07/27 15:44 投稿番号: [60875 / 99628]
VI 近年の文化人類学研究の動向 1960年代は構造主義が全盛であり、文化人類学は理論面で大きな飛躍をとげた。このころから日本でも海外でのフィールドワーク研究がおこなわれるようになり、研究者の数も多くなってきた。70年代以降は、社会構造の分析(→ 構造分析)にかわって、儀礼の研究が盛んになり、とくに象徴研究や文化理論研究がすすんだ。しかし、これらの研究の発展は、いわば古典的、あるいは伝統的な文化人類学の枠組みでの発展というべきだろう。近年の文化人類学は急速に変化しつつある。

1980年代以降、文化人類学はしだいに応用的な学問になってくる。研究者は保健衛生や教育、環境保護、都市開発などの現実の社会問題に関心をむけはじめた。とくにアメリカでは、多くの人類学者が行政機構や調査機関、保健所や病院などに勤務し、学校の現場、都市における衛生システム、大規模な農業開発計画、多元化した農村社会などさまざまな分野でフィールドワークを実施している。この傾向は日本の文化人類学者の間でもみられるようになった。

多くの文化が共存する複雑な社会に研究の主眼がむけられ、数量的な調査方法がとりいれられると、どうしても共同研究が必要になる。かつて文化人類学の調査といえば、単身で調査地におもむき、外部の社会とは隔絶された村で数カ月にわたって暮らすというのがふつうだった。しかし、今ではフィールドワークに統計分析の専門家や生物学者、社会学者などもくわわり、調査を補助する学生もふくめた共同プロジェクトとしておこなわれることも多い。

もうひとつの重要な動向は、コミュニティの人々との緊密な連携である。民族集団が独自に結成する組織、移住労働者の団体、女性団体、あるいは地元の診療所を中心とした組織などは、自分たちの運動のために、最新の統計資料や細かな情報を必要としている。人類学者はしばしば、これらの組織のメンバーと連携して調査をすすめることになる。たとえば、ある言語学者は民族団体と協力して、学校教育のための多言語教材の開発をすすめている。

人類学者は、もともと調査対象と緊密な関係をたもつことを心がけてきたが、調査する側と調査される側の区分ははっきりしていた。それが1980年代から、パートナーとしての関係にかわりつつある。調査対象となる人々の側にも、研究成果が利用されたり、還元されるようになってきたのである。
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