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南氷洋ミンククジラ個体数推定の思い出

投稿者: r13812 投稿日時: 2012/11/12 09:07 投稿番号: [59817 / 62227]
http://fsf.fra.affrc.go.jp/nanatsunoumi/nanaumi3.pdf

中央水産研究所   資源管理研究センター   資源管理グループ長
(外洋資源部   鯨類資源グループ併任)   岡村寛

  2012年6月にパナマで行われたIWC/SCで、OK、
SPLINTRによる2つの結果が提示された。SPLINTR
の結果は、別の方法を用いたg(0)よりかなり低いg(0)
推定値を与え、群れサイズが大きいときにより低い
g(0)を予測するなど、信頼性が低いと判断された。一
方で、OKは、別の方法を用いたg(0)と似たg(0)推定
値を与えた。推定値の群れサイズによる変化なども特
におかしなところはなかった。診断の結果不十分なと
ころはあったが、それが推定値に深刻な影響を及ぼす
とは考えられなかった。基本的に、OKからの結果を
使うことが合意されたが、バイアス要因として、調査
線(トラックライン)のランダム配置の不足が大きい
と考えられた。OKモデルは、トラックラインのラン
ダム配置を仮定している。一方、SPLINTRは、空間
モデルを利用して、トラックラインの偏りの影響を補
正することを試みていた。SPLINTRのハザード確率
モデルを利用した結果は信頼性が低いので、トラック
ライン独立性を仮定したモデルの結果を使うことに
なった。その結果、2回目の南極周回調査(1985/86-
1990/91)では15%個体数を過大推定し、3回目の南極
周回調査(1992/93-2003/04)では3%個体数を過大
推定するということが分かり、OKで得られた推定値
をこの割合で補正したものを個体数推定値とすること
が合意された。
  南極海全体は非常に広いため、個体数を一度に知る
ことはできない。そこで、毎年一部だけを調査して、
数年をかけて全体を調査することになる。このとき、
クジラの回遊による不確実性が生じる。この不確実性
を考慮した誤差の推定値を利用して、全体の個体数と
その信頼性を推定した結果、2回目の周回調査の個体
数推定値は72万頭、95%信頼区間は[512千頭,100万
頭]となった。3回目の周回調査の個体数推定値は51
万頭、95%信頼区間は[361千頭,733千頭]となった。
1回目の周回調査では、g(0)を推定するための独立
観察者実験が行われなかったため、1回目の周回調査
の個体数は推定されなかった。
  かくして、10年に及ぶ南極海のクロミンクジラの
個体数推定値の議論は決着し、OKモデルからの結果
を調整した個体数推定値は、IWC/SCによって信頼に
足るものとして合意された。2回目と3回目の周回
調査による個体数の比率は(比較可能な範囲に推定
値を制限した場合)およそ69%、95%信頼区間[43%,
113%]となった。これは、Branch and Butterworth
(2001)の比率よりかなり大きなものだった。
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