中島岳志・朝日新聞書評
投稿者: r13812 投稿日時: 2011/07/19 19:34 投稿番号: [55078 / 62227]
解体新書「捕鯨論争」
[著]石井敦
http://book.asahi.com/review/TKY201107190302.html[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2011年7月17日
出版社:新評論
価格:¥ 3,150
■推進・反対の構図を超えて
「鯨肉は日本の食文化」と言われる。しかし、実際に鯨肉を食べる機会はほとんどない。「日本の文化」と言う割に、日本人は伝統的にも日常的にも鯨肉を食べていない。なのに、なぜ繰り返し「日本の食文化」というフレーズが使われるのか。
本書は捕鯨問題の論点と国際的な歴史を詳述し、外国からの批判を「日本文化に対する攻撃」と捉えてきた「反・反捕鯨」のあり方を問う。
日本政府は調査捕鯨にこだわるが、これは「概して鯨の管理とは無関係」で、「科学研究の質も低」い。むしろ科学目的ならば、皮膚サンプルの回収や写真識別などによる「非致死的調査法」の方が効率的だ。にもかかわらず調査捕鯨が行われてきたのは、合法的に鯨肉を供給し、その売り上げによって調査費用を補填(ほてん)する意図があると指摘する。
「推進派」対「反対派」という構図を超えるにはどうすればいいのか。本書は事実を踏まえた冷静な捕鯨論争を促す重要な一冊である。
これは メッセージ 55066 (r13812 さん)への返信です.
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