D.ポーリーとR.マイヤース
投稿者: aplzsia 投稿日時: 2010/07/02 15:36 投稿番号: [45396 / 62227]
カナダの水産学者、ダニエル・ポーリーとランサム・マイヤースは
かなり学風が違うように見えるけど、2007年にマイヤースが脳腫瘍で
早逝した時に、ポーリーがネーチャー誌に追悼文を書いてますね。
http://www.nature.com/nature/journal/v447/n7141/full/447160a.html
Ransom Aldrich Myers (1952–2007)
Chronicler of declining fish populations.
D. ABRIEL/DALHOUSIE UNIV.
NATURE|Vol 447|10 May 2007
ロンサム・オルドリッチ・マイヤース(1952-2007)
減少する魚類個体群の年代誌家
ロンサム・マイヤースの働く科学者としての生涯は、
ちょうど古典的な水産学が道を失った時機と重なる。
応用科学として一世紀前に成立した水産学は基本的に
水産業を補助する学問として、魚の系群の位置を特定
したりモニタリングし、漁獲量を最適化することに
貢献してきた。「持続可能な」というレッテルは
うんと遅れて、魚群ストックが次々に崩壊した後に
貼られたものにすぎない。
今日では水産業は大きく分裂している。一方は水産業の
利益に忠実な水産学者たちであり、他方は彼らの役割を
海洋生物多様性の研究と考え、これを現在地球上に残る
最大の狩猟から守ることだと考える水産学者たちである。
マイヤースはこの亀裂を作った人々のリーダー格にあたる。
彼はあまりにも早くこの世を去ったので、その解決を見通す
ことは無かったのだろうが、和解は訪れなければならない。
彼の職歴は、1984年に十分人畜無害にはじまる。
カナダ、ハリファックスのダルハウジー大学で取得した
ばかりの博士号を手に、マイヤースは世界の多くの水産学者が
そうするように、政府の研究所で職を得る。この場合、カナダ
水産海洋省(DOF)に属するニューファウンドランド、セント
ジョンズのラボであった。当時普通であったように彼はここで
商業的に重要な魚類ストックの調査、評価を手がける。
これとまったく同じように典型的に、もう一つの筋道として
彼は水産学最大の謎に答えを見いだそうとする作業に加わる。
親魚のストックが明日をも知れぬ荒海に、膨大な数の小さな
卵を放出するという与件からはじまって、何が幼魚の成魚個体群
への参入数を決めるのかという疑問である。
この「ストック加入」問題に対する取り組みは典型的なもの
ではなかった。この当時好まれていた相関性の研究を彼は
避けたのである。
この手の研究だと、通常加入の変動を何らかの環境パラメータ
と結びつけるのだが、こういう論文は発表された次の年に
かならず破綻している。
この問題へ取り組むにあたり、彼はその初期の学位で身につけた
強力な数学的スキルを使用した。テキサス州ヒューストンにある
ライス大学で習得した物理学士とダルハウジー大学の数学修士
である。
この分野で多くの仕事がつまずく原因である単一種データで
研究をするということを避け、マイヤーズは多数の商用魚に
関する500以上の産卵群とこれにひき続く加入の時系列データで
メタ分析を構築したのである。
数人の同僚とともに、彼は世界中の何百という水産庁レポート
からこれら時系列データを集めるという骨の折れる作業を行った。
マイヤースはデータを「くりこみ理論」*で産卵群時系列と
加入時系列として繰り込むことに成功し、これらを単位元
とすることで、それぞれの系群内部、複数系群間、複数種間の
関係を記述することが可能になった。
===(つづく)===
(* renormalization:物理―>システム論の専門用語。ネットに平易な
説明あり。)
かなり学風が違うように見えるけど、2007年にマイヤースが脳腫瘍で
早逝した時に、ポーリーがネーチャー誌に追悼文を書いてますね。
http://www.nature.com/nature/journal/v447/n7141/full/447160a.html
Ransom Aldrich Myers (1952–2007)
Chronicler of declining fish populations.
D. ABRIEL/DALHOUSIE UNIV.
NATURE|Vol 447|10 May 2007
ロンサム・オルドリッチ・マイヤース(1952-2007)
減少する魚類個体群の年代誌家
ロンサム・マイヤースの働く科学者としての生涯は、
ちょうど古典的な水産学が道を失った時機と重なる。
応用科学として一世紀前に成立した水産学は基本的に
水産業を補助する学問として、魚の系群の位置を特定
したりモニタリングし、漁獲量を最適化することに
貢献してきた。「持続可能な」というレッテルは
うんと遅れて、魚群ストックが次々に崩壊した後に
貼られたものにすぎない。
今日では水産業は大きく分裂している。一方は水産業の
利益に忠実な水産学者たちであり、他方は彼らの役割を
海洋生物多様性の研究と考え、これを現在地球上に残る
最大の狩猟から守ることだと考える水産学者たちである。
マイヤースはこの亀裂を作った人々のリーダー格にあたる。
彼はあまりにも早くこの世を去ったので、その解決を見通す
ことは無かったのだろうが、和解は訪れなければならない。
彼の職歴は、1984年に十分人畜無害にはじまる。
カナダ、ハリファックスのダルハウジー大学で取得した
ばかりの博士号を手に、マイヤースは世界の多くの水産学者が
そうするように、政府の研究所で職を得る。この場合、カナダ
水産海洋省(DOF)に属するニューファウンドランド、セント
ジョンズのラボであった。当時普通であったように彼はここで
商業的に重要な魚類ストックの調査、評価を手がける。
これとまったく同じように典型的に、もう一つの筋道として
彼は水産学最大の謎に答えを見いだそうとする作業に加わる。
親魚のストックが明日をも知れぬ荒海に、膨大な数の小さな
卵を放出するという与件からはじまって、何が幼魚の成魚個体群
への参入数を決めるのかという疑問である。
この「ストック加入」問題に対する取り組みは典型的なもの
ではなかった。この当時好まれていた相関性の研究を彼は
避けたのである。
この手の研究だと、通常加入の変動を何らかの環境パラメータ
と結びつけるのだが、こういう論文は発表された次の年に
かならず破綻している。
この問題へ取り組むにあたり、彼はその初期の学位で身につけた
強力な数学的スキルを使用した。テキサス州ヒューストンにある
ライス大学で習得した物理学士とダルハウジー大学の数学修士
である。
この分野で多くの仕事がつまずく原因である単一種データで
研究をするということを避け、マイヤーズは多数の商用魚に
関する500以上の産卵群とこれにひき続く加入の時系列データで
メタ分析を構築したのである。
数人の同僚とともに、彼は世界中の何百という水産庁レポート
からこれら時系列データを集めるという骨の折れる作業を行った。
マイヤースはデータを「くりこみ理論」*で産卵群時系列と
加入時系列として繰り込むことに成功し、これらを単位元
とすることで、それぞれの系群内部、複数系群間、複数種間の
関係を記述することが可能になった。
===(つづく)===
(* renormalization:物理―>システム論の専門用語。ネットに平易な
説明あり。)
これは メッセージ 44971 (r13812 さん)への返信です.
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