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Re: 小松正之著「世界クジラ戦争」55頁

投稿者: aplzsia 投稿日時: 2010/07/01 08:50 投稿番号: [45380 / 62227]
>|そこで私は、IWCの科学委員会がこれまで仮説として合意してきた
>|この計算方式が「正しくない」と証明することから始めようと提案した。
>小松さんは一応はその当事RMPを理解していたようなのですが
>上記は余りにも勇み過ぎって感じですね。


ほんとうには理解してないですね。

良くわかって実際に使ってるのはノルウェーで、たとえば
チューニングレベル(おおまかに言って100年後の対自然値)
を70%から65%に下げると2割ほど余計に捕れるとか、
100年後という期間を200年後に延ばすとまた何割か余計に
捕れるとか、RMPの挙動をよくわかった勝手な手直しをしてます。

一応理論的には、こういう細かい選択肢の調整を科学委員会で
議論して交渉するというのも十分ありなのですが、小松氏、森下氏
をはじめ、日本側にはそういう発想は無いですね。

小松氏の基本的な考え方は、

1)捕鯨操業プランを系群、回遊経路ごとに細かく分散させられると
捕獲枠はほとんど肉片レベルになる。

というそれ自身は正しいRMP理解から、

1−1)こういうRMPは悪い。悪いから別の捕獲枠算定方式を作れ。

1−2)系群、小海域に分断されないよう、日本付近のミンククジラは
太平洋側(O系群)と日本海側(J系群)の二つだけしか無く、きっかり
別れていて混合、混獲は無い、ということにしてしまおう。

という二つの矛盾した同時戦略を打ち立てるのですね。

1−1)なら1−2)の嘘をつく必要は無いし、1−2)で
押し通すなら1−1)は必要ないのです。

こういう矛盾した戦略を思いつくというのは、基本的に論理性の
欠陥じゃないですかね。安全のために二面作戦というのは、
企業経営みたいに経営資源を市場からいくらでも調達出来る
という場合や、戦争みたいに国民をいくらでも徴兵できる
(かもしれない)高揚状態という場合には有りえないこともないけど、
相手が限られた天然資源に関する科学論争だったらだめです。

こういう人が国際交渉の場に出てくると、アメリカの
ジャパンハンドラーというんですか?、そういう人たちは
「タフネスネゴシエーターだ!」とか、態よくおだてて
うまくあしらうようですが、科学の世界じゃそれでは
通じないですね。

それで、1−1)の選択肢の場合、「単一種、単一系群管理の
RMPはもはや古い」と流行の主張をし、かわりに生態系管理=
エコシステム・マネージメントなんて方向に興味を示したのだな。

だけど根が下品だから、エコシステムの理解がひどく卑しくて、
鯨をほっておくと増えすぎる。水産業や食糧安全保障に有害と
なるから鯨は捕らなきゃいけない、というトンデモな「生態系理解」
になってしまったのでした。

これポーリー、クリステンセン&ウォルタースのECOPATH
with   ECOSIMを使って証明しようとして、何度も破綻し、
モデル作成者自身からも批判されてるという曰く付きの恥さらし
なんだけどね。(ポーリーだけじゃなく数理的作業を中心的に
やってるクリステンセンも日本会議の「魚のいない海」ゼミナール
に来て発言するみたいですね)

1−2)のほうは(a)かつて1980年代に和田&沼地が遺伝子分析
で見つけた太平洋側うんと沖合のW系群というのを無かったこと
にする。

2002年、2003年頃にはこのW系群論争でいんちきな統計学
使って議論を紛糾させ、

(b)沿岸捕鯨業者にはもっと切実な問題、太平洋沿岸の近場に
日本海系群(Jストック)がかなり混じっているということに関し、
DNA情報を出さないという作戦をとったわけです。

小松政之さんが鯨以外の漁業について、ポーリー、クリステンセン&
ウォルタース的な資源保護政策に転換して水産庁主流と対立し、
上級公務員の姥捨て山へ追いやられてからも、水産庁の基本線は
この小松路線で変わってないですね。破綻が見えてます。
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