Re: 訂正:毛髪中のメチル水銀は直接測定で
投稿者: aplzsia 投稿日時: 2010/05/26 17:30 投稿番号: [44313 / 62227]
>ガスクロを使うなら、前処理して溶液にしているはず。
>そうでないならヘッドスペースを使っていると明記しなければ変だ。
>つまり、その論文はメチル水銀をガスクロで分析しているだけで、
>「毛髪中のメチル水銀を直接測定した」論文じゃない。
なんだかガスクロマログラフィーについてのひどく初歩的で粗雑な
理解で、中国の研究にケチをつけようとしているようですね。
実験方法については前記論文の著者が別の論文で詳述しています。
====== =
2.5. Hair digestion and Hg analysis
One mL of HNO3/H2O2 was added into all of the above hair samples.
The hair samples were left to stand for 24 h for pre-digestion. Afterwards,
the hair samples were heated in oven at 150 °C for 10 h. Then 0.5mL of the
digestion solutions was diluted to 10mL using 0.1% (v/v) ME. The
standard mercury solutions were also prepared using 0.1% (v/v) ME. ME
was used here to reduce the memory effect of mercury in ICP-MS (Li
et al., 2006). Internal standard containing 10 ngmL^-1 In (indium) was
used with the ICP-MS samples. The detailed operating conditions for
mercury analysis are shown in Table 1.
==== =
2.5毛髪の温浸蒸解と水銀分析
上記のすべての毛髪サンプルすべてに硝酸/過酸化水素を1ミリリッター
加える。毛髪サンプルは温浸蒸解下準備として24時間この状態で放置する。
この後、毛髪サンプルはオーヴンで10時間、摂氏150度に熱せられる。
温浸蒸解溶液を0.1%(容積比)の2−メルカプトエタノール10ミリリッター
で希釈する。ここで2−メルカプトルエタノールを使用するのは
誘導結合プラズマ質量分析中での水銀のメモリー効果を低減させる
ためである。誘導結合プラズマ質量分析サンプルには、1ミリリッター
あたり10ナノグラムのインディウムを含む内部標準が使用される。
水銀分析の操作条件詳細は表1に表示した。
=====
ガスクロマトグラフィーthermo elemental X7 ICP-MSの運転操作条件
は14項目でシンプルなものですが、こういうデータは一応礼儀として
ここには貼付けません。
必要ならば原論文’Scalp hair as a biomarker in environmental and occupational
mercury exposed populations: Suitable or not?’ by Yu-Feng Lia, Chunying Chena, Bai Lia, Jiangxue Wanga, Yuxi Gaoa, Yuliang Zhaoa,
Zhifang Chaiaを15ドルかそこらでお買い上げになるべきでしょう。
掲載雑誌はEnvironmental Research 107 (2008) 39-44頁で、第8回グローバル
汚染としての水銀国際会議特集号です。この特集には水俣、九州の
病院の先生方も論文を提供しているので、知っている人は日本にも
多いはずです。
この会議から雑誌掲載された15の論文のうちの一つであるわけで、
分析手法としてはそれなりの新しさをもったものなのでしょう。
発想法としては、特に外部からの空中塵埃としての水銀の毛髪への
付着、浸透が多いサンプルで、外生的な水銀を洗い落とそうとしてもIAEA
(国際原子力機関)の推奨するアセトン洗浄法では十分に落ちなかった
というのがそもそもの発端です。
内生的な総水銀量と外生的(ゴミ)水銀を分離するというのではなく、
発想を変えて、サンプルの下準備で外生も内生も含めて無機水銀を
全部落とし、残った有機水銀(ほとんどがメチル水銀)だけを蒸解
して計量するというストラテジーにしたわけです。
従ってサンプルの下準備にものすごく手間がかかっているわけで、
訳文冒頭の「上記のすべての毛髪サンプル」というのは、8種類の
濃度の異なるスパイク溶液(塩化水銀)に最長1ヶ月浸し、洗浄する
というやり方をしています。雑誌に批判されたから途中で急いで
実験項目を付け加えるなんてことはできないやりかたですw
下準備で無機水銀を落としているから直接測定じゃない、というのは
言いがかりでしょうね。
毛髪内メチル水銀の間接的測定というと、全水銀量を測って、
それに経験的に知られている通常の体内有機水銀/無機水銀比、
たとえば8:1という係数をかけて有機水銀の数値を出すという
やりかたです。2000年前後に米国で行われた歯科用アマルガムの
大規模な調査もこれでやってます。
>そうでないならヘッドスペースを使っていると明記しなければ変だ。
>つまり、その論文はメチル水銀をガスクロで分析しているだけで、
>「毛髪中のメチル水銀を直接測定した」論文じゃない。
なんだかガスクロマログラフィーについてのひどく初歩的で粗雑な
理解で、中国の研究にケチをつけようとしているようですね。
実験方法については前記論文の著者が別の論文で詳述しています。
====== =
2.5. Hair digestion and Hg analysis
One mL of HNO3/H2O2 was added into all of the above hair samples.
The hair samples were left to stand for 24 h for pre-digestion. Afterwards,
the hair samples were heated in oven at 150 °C for 10 h. Then 0.5mL of the
digestion solutions was diluted to 10mL using 0.1% (v/v) ME. The
standard mercury solutions were also prepared using 0.1% (v/v) ME. ME
was used here to reduce the memory effect of mercury in ICP-MS (Li
et al., 2006). Internal standard containing 10 ngmL^-1 In (indium) was
used with the ICP-MS samples. The detailed operating conditions for
mercury analysis are shown in Table 1.
==== =
2.5毛髪の温浸蒸解と水銀分析
上記のすべての毛髪サンプルすべてに硝酸/過酸化水素を1ミリリッター
加える。毛髪サンプルは温浸蒸解下準備として24時間この状態で放置する。
この後、毛髪サンプルはオーヴンで10時間、摂氏150度に熱せられる。
温浸蒸解溶液を0.1%(容積比)の2−メルカプトエタノール10ミリリッター
で希釈する。ここで2−メルカプトルエタノールを使用するのは
誘導結合プラズマ質量分析中での水銀のメモリー効果を低減させる
ためである。誘導結合プラズマ質量分析サンプルには、1ミリリッター
あたり10ナノグラムのインディウムを含む内部標準が使用される。
水銀分析の操作条件詳細は表1に表示した。
=====
ガスクロマトグラフィーthermo elemental X7 ICP-MSの運転操作条件
は14項目でシンプルなものですが、こういうデータは一応礼儀として
ここには貼付けません。
必要ならば原論文’Scalp hair as a biomarker in environmental and occupational
mercury exposed populations: Suitable or not?’ by Yu-Feng Lia, Chunying Chena, Bai Lia, Jiangxue Wanga, Yuxi Gaoa, Yuliang Zhaoa,
Zhifang Chaiaを15ドルかそこらでお買い上げになるべきでしょう。
掲載雑誌はEnvironmental Research 107 (2008) 39-44頁で、第8回グローバル
汚染としての水銀国際会議特集号です。この特集には水俣、九州の
病院の先生方も論文を提供しているので、知っている人は日本にも
多いはずです。
この会議から雑誌掲載された15の論文のうちの一つであるわけで、
分析手法としてはそれなりの新しさをもったものなのでしょう。
発想法としては、特に外部からの空中塵埃としての水銀の毛髪への
付着、浸透が多いサンプルで、外生的な水銀を洗い落とそうとしてもIAEA
(国際原子力機関)の推奨するアセトン洗浄法では十分に落ちなかった
というのがそもそもの発端です。
内生的な総水銀量と外生的(ゴミ)水銀を分離するというのではなく、
発想を変えて、サンプルの下準備で外生も内生も含めて無機水銀を
全部落とし、残った有機水銀(ほとんどがメチル水銀)だけを蒸解
して計量するというストラテジーにしたわけです。
従ってサンプルの下準備にものすごく手間がかかっているわけで、
訳文冒頭の「上記のすべての毛髪サンプル」というのは、8種類の
濃度の異なるスパイク溶液(塩化水銀)に最長1ヶ月浸し、洗浄する
というやり方をしています。雑誌に批判されたから途中で急いで
実験項目を付け加えるなんてことはできないやりかたですw
下準備で無機水銀を落としているから直接測定じゃない、というのは
言いがかりでしょうね。
毛髪内メチル水銀の間接的測定というと、全水銀量を測って、
それに経験的に知られている通常の体内有機水銀/無機水銀比、
たとえば8:1という係数をかけて有機水銀の数値を出すという
やりかたです。2000年前後に米国で行われた歯科用アマルガムの
大規模な調査もこれでやってます。
これは メッセージ 44286 (legal_guardian01 さん)への返信です.
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