資源を枯渇させることの「合理性」2
投稿者: aplzsia 投稿日時: 2010/05/09 23:44 投稿番号: [43829 / 62227]
(つづき)
Papastavrou, V. & Cooke, J. (2006) "Sustainable Use of Oceanic Wildlife: What lessons can be learned from commercial whaling?"
【海洋野生動物の持続的利用 /商業捕鯨から何を学ぶか?】
ワシリー・パパスタヴロウ&ジャスティン・クック
...
国際捕鯨委員会は鯨ストックの状態について助言するための
科学委員会を持っていたが、本委員会自身でさえ科学委員会が
客観的助言をするにはあまりにも政治的すぎるということを
認めるような状態だった。
科学委員会はしばしば合意を形成することができず、本委員会は
これを何もしないことの言い訳に利用した。
誠意のある科学者たちは、捕鯨レベルがストックを持続
させておくようなレベルを大きく越えていると認識して
いたが、捕鯨をどれだけ削減する必要があるのかということ
について、曖昧さを含まない助言をすることはできなかった。
1961年に、捕鯨委員会は3人(後に4人)の科学者から成る
特別委員会を選任し、独立レポートを作成するよう委任した。(9)
このグループはシロナガスクジラが当初の数に比べて
ほんのわずかな割合しかいないほどに枯渇しており、少なく
とも50年間の完全保護(=禁漁)が必要であると確認した。
またザトウクジラも完全に保護せねばならないと確証した。
特別委員会はまた、ナガスクジラの生物的持続可能性のためには
捕獲を約3分の2削減する必要があると推定した。他の鯨種が
希少になるにつれて拡大したイワシクジラの捕鯨は、データが
より多く入手できるまで監視下に置くこととした。
この頃にはほとんどの国々がこの産業から撤退し、1960年代末には
日本とソ連だけが南極海で捕鯨を続けていた。この当時、主要に
捕鯨されていたのはマッコウクジラとイワシクジラだった。
1970年代末期には、それまで捕鯨船に無視されていたミンククジラ
が主要ターゲットになった。
これは産業が、規制の努力より常に一歩先を行っているという
例である。
3人委員会はナガスクジラとシロナガスクジラに焦点を絞るように
と指示されていた。しかしちょうどこの時、産業は低緯度地方で
イワシクジラの漁をはじめていたのである。
はやい話が、捕鯨業界はそれが長期的に必要とする系群鯨類個体数
に気をまわすよりも、業界自身の面倒を見るというふうになって
いたのである。
多くの著者がコリン・クラーク(10)を引用するが、彼は1973年
に野生生物資源を採取する場合の利潤最大化コンセプトを検討して
いた。#(10)Clark, C.W. 1975. Mathematical Bioeconomics; The
Optimal Management of Renewable Resources. New York, John Wiley
K選択種(鯨のように少子で成長率の遅い生物種)では持続可能な
収量が低いが、そういう種ではなぜ鉱山採掘型の、商業的には
絶滅レベルに至らしめるような獲り方が、最も儲かる選択肢に
なるのかということをクラークは説明した。
獲得した収益金が銀行で増殖するほうが、生物種の再生産より早い
という簡単な論理である。
(つづく)
Papastavrou, V. & Cooke, J. (2006) "Sustainable Use of Oceanic Wildlife: What lessons can be learned from commercial whaling?"
【海洋野生動物の持続的利用 /商業捕鯨から何を学ぶか?】
ワシリー・パパスタヴロウ&ジャスティン・クック
...
国際捕鯨委員会は鯨ストックの状態について助言するための
科学委員会を持っていたが、本委員会自身でさえ科学委員会が
客観的助言をするにはあまりにも政治的すぎるということを
認めるような状態だった。
科学委員会はしばしば合意を形成することができず、本委員会は
これを何もしないことの言い訳に利用した。
誠意のある科学者たちは、捕鯨レベルがストックを持続
させておくようなレベルを大きく越えていると認識して
いたが、捕鯨をどれだけ削減する必要があるのかということ
について、曖昧さを含まない助言をすることはできなかった。
1961年に、捕鯨委員会は3人(後に4人)の科学者から成る
特別委員会を選任し、独立レポートを作成するよう委任した。(9)
このグループはシロナガスクジラが当初の数に比べて
ほんのわずかな割合しかいないほどに枯渇しており、少なく
とも50年間の完全保護(=禁漁)が必要であると確認した。
またザトウクジラも完全に保護せねばならないと確証した。
特別委員会はまた、ナガスクジラの生物的持続可能性のためには
捕獲を約3分の2削減する必要があると推定した。他の鯨種が
希少になるにつれて拡大したイワシクジラの捕鯨は、データが
より多く入手できるまで監視下に置くこととした。
この頃にはほとんどの国々がこの産業から撤退し、1960年代末には
日本とソ連だけが南極海で捕鯨を続けていた。この当時、主要に
捕鯨されていたのはマッコウクジラとイワシクジラだった。
1970年代末期には、それまで捕鯨船に無視されていたミンククジラ
が主要ターゲットになった。
これは産業が、規制の努力より常に一歩先を行っているという
例である。
3人委員会はナガスクジラとシロナガスクジラに焦点を絞るように
と指示されていた。しかしちょうどこの時、産業は低緯度地方で
イワシクジラの漁をはじめていたのである。
はやい話が、捕鯨業界はそれが長期的に必要とする系群鯨類個体数
に気をまわすよりも、業界自身の面倒を見るというふうになって
いたのである。
多くの著者がコリン・クラーク(10)を引用するが、彼は1973年
に野生生物資源を採取する場合の利潤最大化コンセプトを検討して
いた。#(10)Clark, C.W. 1975. Mathematical Bioeconomics; The
Optimal Management of Renewable Resources. New York, John Wiley
K選択種(鯨のように少子で成長率の遅い生物種)では持続可能な
収量が低いが、そういう種ではなぜ鉱山採掘型の、商業的には
絶滅レベルに至らしめるような獲り方が、最も儲かる選択肢に
なるのかということをクラークは説明した。
獲得した収益金が銀行で増殖するほうが、生物種の再生産より早い
という簡単な論理である。
(つづく)
これは メッセージ 43827 (aplzsia さん)への返信です.
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