以前ザ・コーヴをめぐる岡田外相の記者会見で、低能な捕鯨ナショナリズムの
新聞記者が地中海の伝統的なマグロ漁、マッタンザ(Mattanza)を
引き合いに出して狩猟、漁獲倫理にかんするヨーロッパ人の
ダブスタを問題にしようとしていたけど、あまりの軽薄さに
うんざりした記憶があります。
イタリア、スペインのマグロ定置網への追い込み漁は季節限定、
地域限定で、900年ぐらい前から規模もかわらず、アラスカイヌイットの
ホッキョククジラ漁に似ていますね。
それに対して、19世紀、20世紀に近代化したカナダ、グリーンランド
では問題が出ています。16世紀に大規模国際商業化したフランス南西、
スペイン北岸のバスク捕鯨は大西洋セミクジラ東部系群を壊滅
させましたね。
漁のやりかたが商業的に大規模化すると、成長の遅い海洋生物は
すぐに「商業的絶滅」状態になる。「商業的絶滅」は漁場や漁獲対象を
フレキシブルに変えることの出来る遠洋漁業や総合商社水産部門に
とっては経済的に合理的でさえあるが、沿岸小規模漁民には
致命的であり、将来世代の各地の住民にとっても害悪である、
というのは遅くとも1970年代に数学的に定式化された知見で(C.W.Clark)、
一般に良く知られていることなのだけれど、日本では全然考慮に入れ
られていないようですね。
英国のフィナンシャル・タイムスに、要領よく論点をまとめた
記事があったので貼っておきます。
http://www.ft.com/cms/s/0/10ad0a66-564a-11df-b835-00144feab49a.htm
l文中で、「ヨーロッパ人が日本の支持する ICCAT捕獲枠
提案の等閑視に手を貸す一方で、Citesでの禁止にキャンペーンを張り、EU域内
での取引を許可したままに残そうというスタンス」
と言っているのは2018年末の ICCAT総会で、日本が
米国に同調してタイセイヨウクロマグロ全面禁漁案を支持した
のに対して、イタリア、スペインなどの歴史的に持続性を実証している
マッタンザのような季節限定マグロ漁を保持しておかなければ
ならない欧州がこれに反対して低めではあるけれど捕獲枠を
設定したことをさしています。この日米クロマグロ禁漁案は
日本のグリーンピースも評価してましたね。