Re: セミ鯨枯渇原因1986年大村論文
投稿者: aplzsia 投稿日時: 2009/08/30 00:12 投稿番号: [37592 / 62227]
>で、大変でしたけれど全部読みました。
>貴方の結論を聞かせてくださいな?。
>読んでるなら、分かりますよね(苦笑)。
制度的、形式論的には結論は簡単ですよ。
「日本沿岸セミクジラ激減の主要因は米国、外国捕鯨のせい」説を、唯一
国際的に発表している1986年大村論文は、IWCの国際会議で発表され、
IWCの論文集に掲載されているとはいえ、これはプロシーディングであって
査読学術論文ではないです。(#)
それに対してIWCが1999年以来発行している『JOURNAL OF CETACEAN
RESEARCH AND MANAGE』は国際査読論文誌ですから、同一テーマに
関して異なった表記があれば、後者が「現段階における最良の知見」と
なります。
NHKのような公共放送の教養、教育番組だったら、まず最初にこの前提を
第一次接近として認めなければなりません。異論があればそれが学界の
定説に対する異論であることをはっきりことわらなければなりません。
その「後者」、前回和訳をしてなかったと思うので改めて翻訳しておきます。
=======
「19、20世紀の捕鯨および目視に示された北太平洋セミクジラ(Eubalaena
japonica)の分布」フィリップJ.クラパム他
.....
<Western North Pacffic/西部北太平洋>
大村(1986)は西部北太平洋に明瞭に二つの個体群があるという
立場をとっている。「日本海」系群と「太平洋」系群である
(ここでは個体群を「下位個体群/sub-populations」の意味ととっておく)。
日本の沿岸集落による歴史的捕獲データは両個体群とも、秋には
南方へ、春には北方へ移動することを示しており、それぞれ
ピークとなる月は9月から12月、2月から4月である。
..........
北太平洋西部に明瞭な二つの下位個体群があったのか(あるいは
現在もあるのか)ということについては不明確なままである。
川尻(日本海側の山口県の捕鯨村落)での日本式網取り捕鯨による
セミクジラ捕獲は1859年以後急激に低下しており、大村(1986)
はこの状況を「アメリカ(式)捕鯨船の操業」に起因するものとして
いる。これはやや単純化した解釈であろう。日本海でのセミクジラ
の消滅はおそらくヤンキー捕鯨と沿岸捕鯨のコンビネイションに
よるものであり、20世紀の回復が、どの程度の寄与率になったの
かははわからないが、ソ連によるオホーツク海摂餌海域での違法
捕鯨のために抑制されたと推定される。
(ソース:JOURNAL OF CETACEAN RESEARCH AND MANAGE. 6(1):1-6, 2004
'Distribution of North Pacific right whales (Eubalaena japonica)
as shown by 19th and 20th century whaling catch and sighting
records' by PHILLIP J. CLAPHAM, CAROLINE GOOD, SARA E. QUlNN,
RANDALL R. REEVES, JAMES E. SCARFF AND ROBERT L. BROWNELL, JR.)
=======
内容的な違いに少し触れとくと、1980年代の大村報告が北太平洋全体
のセミクジラ分布状況に関しては、有名な1935年タウンゼント鯨チャート
だけに依存しているのに対して、クラッパム他は1850ー53年の
モーリー鯨チャートとその元になった各捕鯨船のログブックの検証
成果をベースにしているという違いがあります。
詳しくはいずれ触れますが...
(#)プロシーディングと査読学術論文の違いは
http://www5d.biglobe.ne.jp/~hasumi/doc2/mono160.html
に簡潔に書いてあります。サンショウウオ類に関する国際的業績評価は
抜群の人なのだけれどねえ...
>貴方の結論を聞かせてくださいな?。
>読んでるなら、分かりますよね(苦笑)。
制度的、形式論的には結論は簡単ですよ。
「日本沿岸セミクジラ激減の主要因は米国、外国捕鯨のせい」説を、唯一
国際的に発表している1986年大村論文は、IWCの国際会議で発表され、
IWCの論文集に掲載されているとはいえ、これはプロシーディングであって
査読学術論文ではないです。(#)
それに対してIWCが1999年以来発行している『JOURNAL OF CETACEAN
RESEARCH AND MANAGE』は国際査読論文誌ですから、同一テーマに
関して異なった表記があれば、後者が「現段階における最良の知見」と
なります。
NHKのような公共放送の教養、教育番組だったら、まず最初にこの前提を
第一次接近として認めなければなりません。異論があればそれが学界の
定説に対する異論であることをはっきりことわらなければなりません。
その「後者」、前回和訳をしてなかったと思うので改めて翻訳しておきます。
=======
「19、20世紀の捕鯨および目視に示された北太平洋セミクジラ(Eubalaena
japonica)の分布」フィリップJ.クラパム他
.....
<Western North Pacffic/西部北太平洋>
大村(1986)は西部北太平洋に明瞭に二つの個体群があるという
立場をとっている。「日本海」系群と「太平洋」系群である
(ここでは個体群を「下位個体群/sub-populations」の意味ととっておく)。
日本の沿岸集落による歴史的捕獲データは両個体群とも、秋には
南方へ、春には北方へ移動することを示しており、それぞれ
ピークとなる月は9月から12月、2月から4月である。
..........
北太平洋西部に明瞭な二つの下位個体群があったのか(あるいは
現在もあるのか)ということについては不明確なままである。
川尻(日本海側の山口県の捕鯨村落)での日本式網取り捕鯨による
セミクジラ捕獲は1859年以後急激に低下しており、大村(1986)
はこの状況を「アメリカ(式)捕鯨船の操業」に起因するものとして
いる。これはやや単純化した解釈であろう。日本海でのセミクジラ
の消滅はおそらくヤンキー捕鯨と沿岸捕鯨のコンビネイションに
よるものであり、20世紀の回復が、どの程度の寄与率になったの
かははわからないが、ソ連によるオホーツク海摂餌海域での違法
捕鯨のために抑制されたと推定される。
(ソース:JOURNAL OF CETACEAN RESEARCH AND MANAGE. 6(1):1-6, 2004
'Distribution of North Pacific right whales (Eubalaena japonica)
as shown by 19th and 20th century whaling catch and sighting
records' by PHILLIP J. CLAPHAM, CAROLINE GOOD, SARA E. QUlNN,
RANDALL R. REEVES, JAMES E. SCARFF AND ROBERT L. BROWNELL, JR.)
=======
内容的な違いに少し触れとくと、1980年代の大村報告が北太平洋全体
のセミクジラ分布状況に関しては、有名な1935年タウンゼント鯨チャート
だけに依存しているのに対して、クラッパム他は1850ー53年の
モーリー鯨チャートとその元になった各捕鯨船のログブックの検証
成果をベースにしているという違いがあります。
詳しくはいずれ触れますが...
(#)プロシーディングと査読学術論文の違いは
http://www5d.biglobe.ne.jp/~hasumi/doc2/mono160.html
に簡潔に書いてあります。サンショウウオ類に関する国際的業績評価は
抜群の人なのだけれどねえ...
これは メッセージ 37577 (nobu_ichi95 さん)への返信です.
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