近代産業の野生生物利用不能論
投稿者: aplzsia 投稿日時: 2009/07/25 08:26 投稿番号: [36714 / 62227]
(ルートヴィヒ、ハイルボーン、ウォルタース1993年サイエンス誌論文つづき)
環境にかかわる立法化は、行動を起こす前にしばしばその環境や経済に
ついての影響アセスメントを要求する。このような影響アセスメントは科学的
合意にもとづくものと想定されている。
上に挙げたような理由でそのような合意が達成されることは稀であり、
たとえ資源崩壊が起ったあとでも合意は得られないことがある。
何年にもわたって最大持続可能収量(MSY)というコンセプトが水産管理の
努力で主導的だった。現在ではこのコンセプトが不幸なものであったというのが
衆目の一致するところである。
ラーキン(1)は水産科学が漁獲努力の技術、分布、総量を制御することは
できなかったと結論した。実際にニシン、タラ、スズキ、サケ、湖水マス各部分
系群が消滅するという結果になっている。
漁業の歴史的統計を分析して導き出すMSYでは、持続可能な土台が形成されない
というのが彼の結論である。漁業の歴史に関する多くの研究がラーキンの見解を
支持している(2)。魚介類の数量が安定的である漁業というのはほとんど
存在しない(3)。
人間が資源を管理していると考えるよりも、資源が人間を管理していると
考えるほうが適切である。
利得の量と即効性が大きければ大きいほど、無制限の開発収奪を助長する
ために利用できる政治力が強まる。
古典的な例はゴールドラッシュである。
巨大で手っ取り早い利益が見込まれれば、政治家と政府は開発収奪を容易に
するための特殊利害と連合を組むことに走る。
世界じゅうの森林は無駄の多い近視眼的な林業実践により破壊された。
ある地域の木材産出が不調になったり伐採、製材が採算割れした場合、
多くの政府は失業の発生を遅らせるために林業製品の輸出に補助金を
付けた(4)。
このような林業が実践することは、古く大きく成長した森林の急速な伐採
であり、このことは将来の木材供給が不可避的に減少するということを意味した。
不規則な資源、あるいは変動する資源を収穫するという事柄はラチェット
効果にさらされる(3)。
比較的安定した時期には、収穫率は定常生物経済理論が予測する点で
安定する傾向がある。このようなレベルはしばしば過剰である。
ここで好漁の年が続くと船舶や加工能力に追加投資が行われる誘因が
働く。その次に普通あるいは普通以下の収穫年が訪れると、産業は
政府に援助を求める。これに政府は直接あるいは間接の補助金で
応えるというのが典型的な対応である。
これらのことははじめは一時的なことと考えられている。しかし
その効果は過剰捕獲を励ますことになる。一方へ偏るラチェット効果
は、豊漁年に投資を抑制しないことによっても起ると同時に、
不漁期間に資本縮減をしないという強い圧力が働くことによっても
生ずる。
長期タームで出てくる結果は、重度に補助を受けている産業と、資源の
過剰収穫である。
------
(1) P. Larkin, Trans. Am. Fish. Soc. 106, 1 (1977).
Transactions of the American Fisheries Society
Article: pp. 1–11 | Abstract | PDF (216K)
An Epitaph for the Concept of Maximum Sustained Yield P. A. LARKIN
Institute of Animal Resource Ecology, University of British Columbia, Vancouver, British Columbia V6T 1W5
DOI: 10.1577/1548-8659(1977)106<1:AEFTCO>2.0.CO;2
Transactions of the American Fisheries Society 1977;106:1–11
(2) Pelagic stocks are described by A. Saville, Ed., Rapports et
Proces-Verbaux des Reunions [Cons. Int. Explor. Mer 177 (1980)].
A general survey is given by W.F. Royce, Fishery Development
(Academic Press, New York, 1987), and tropical fisheries are reviewed
by D. Pauly, G. Silvestre, I.R. Smith, Nat. Res. Model. 3, 307 (1989).
(3) J. Caddy and J. Guiland, Mar. Policy 7, 267 (1983).
環境にかかわる立法化は、行動を起こす前にしばしばその環境や経済に
ついての影響アセスメントを要求する。このような影響アセスメントは科学的
合意にもとづくものと想定されている。
上に挙げたような理由でそのような合意が達成されることは稀であり、
たとえ資源崩壊が起ったあとでも合意は得られないことがある。
何年にもわたって最大持続可能収量(MSY)というコンセプトが水産管理の
努力で主導的だった。現在ではこのコンセプトが不幸なものであったというのが
衆目の一致するところである。
ラーキン(1)は水産科学が漁獲努力の技術、分布、総量を制御することは
できなかったと結論した。実際にニシン、タラ、スズキ、サケ、湖水マス各部分
系群が消滅するという結果になっている。
漁業の歴史的統計を分析して導き出すMSYでは、持続可能な土台が形成されない
というのが彼の結論である。漁業の歴史に関する多くの研究がラーキンの見解を
支持している(2)。魚介類の数量が安定的である漁業というのはほとんど
存在しない(3)。
人間が資源を管理していると考えるよりも、資源が人間を管理していると
考えるほうが適切である。
利得の量と即効性が大きければ大きいほど、無制限の開発収奪を助長する
ために利用できる政治力が強まる。
古典的な例はゴールドラッシュである。
巨大で手っ取り早い利益が見込まれれば、政治家と政府は開発収奪を容易に
するための特殊利害と連合を組むことに走る。
世界じゅうの森林は無駄の多い近視眼的な林業実践により破壊された。
ある地域の木材産出が不調になったり伐採、製材が採算割れした場合、
多くの政府は失業の発生を遅らせるために林業製品の輸出に補助金を
付けた(4)。
このような林業が実践することは、古く大きく成長した森林の急速な伐採
であり、このことは将来の木材供給が不可避的に減少するということを意味した。
不規則な資源、あるいは変動する資源を収穫するという事柄はラチェット
効果にさらされる(3)。
比較的安定した時期には、収穫率は定常生物経済理論が予測する点で
安定する傾向がある。このようなレベルはしばしば過剰である。
ここで好漁の年が続くと船舶や加工能力に追加投資が行われる誘因が
働く。その次に普通あるいは普通以下の収穫年が訪れると、産業は
政府に援助を求める。これに政府は直接あるいは間接の補助金で
応えるというのが典型的な対応である。
これらのことははじめは一時的なことと考えられている。しかし
その効果は過剰捕獲を励ますことになる。一方へ偏るラチェット効果
は、豊漁年に投資を抑制しないことによっても起ると同時に、
不漁期間に資本縮減をしないという強い圧力が働くことによっても
生ずる。
長期タームで出てくる結果は、重度に補助を受けている産業と、資源の
過剰収穫である。
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(1) P. Larkin, Trans. Am. Fish. Soc. 106, 1 (1977).
Transactions of the American Fisheries Society
Article: pp. 1–11 | Abstract | PDF (216K)
An Epitaph for the Concept of Maximum Sustained Yield P. A. LARKIN
Institute of Animal Resource Ecology, University of British Columbia, Vancouver, British Columbia V6T 1W5
DOI: 10.1577/1548-8659(1977)106<1:AEFTCO>2.0.CO;2
Transactions of the American Fisheries Society 1977;106:1–11
(2) Pelagic stocks are described by A. Saville, Ed., Rapports et
Proces-Verbaux des Reunions [Cons. Int. Explor. Mer 177 (1980)].
A general survey is given by W.F. Royce, Fishery Development
(Academic Press, New York, 1987), and tropical fisheries are reviewed
by D. Pauly, G. Silvestre, I.R. Smith, Nat. Res. Model. 3, 307 (1989).
(3) J. Caddy and J. Guiland, Mar. Policy 7, 267 (1983).
これは メッセージ 36713 (aplzsia さん)への返信です.
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