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合理性と神話と天然資源保全

投稿者: aplzsia 投稿日時: 2009/04/03 07:12 投稿番号: [32975 / 62227]
1971年、ダニエル・パウリーがドイツのキール大学で修士論文を書いていた頃、
5ヶ月間西アフリカでデータを集めたのだそうだけれど、その時に見聞きした
ことがタイトルの由来だそうだ。

ガーナのサクモ・ラグーンというところで、村人たちがパートタイムか
フルタイムで漁師をやっているのだけれど、誰も一日4時間ぐらいしか
働かないというのだね。

捕っているのはほとんどティラピアの一種(Sarotherodon melanotheron)で、
だいたい一人3−5kg獲ると街道を通る車のドライバーに売るのだそうだ。
4kg売ったとして1971年10月の段階で約1ニューセディ、米ドルにすると
1ドルの売上げだ。

当時のガーナの勤労者平均日収が0.75米ドル相当だからまあいいほうだ。
なぜ彼らがもっとたくさん魚を獲って、手にした金でより良い漁具や船を
手に入れようとしないのかというのがパウリーの疑問で、もちろん水産
学的に見ると、設備投資は必ず乱獲になるというのは彼にはわかっている
のだけれど、それを地元の漁師がどのように自己了解しているのか、
というのがパウリーの本当の疑問だったのだね。

これはすぐ推察がつくように、合理主義的ではない因習のルールなわけだ。
1)カヌーをつかってはいけない(船を使わずに漁ができるほどラグーンは
浅く、しかしこのような漁法を行うにはぬかるんでいて十分に骨が折れる)。
2)金曜日には漁をしてはいけない(この日には漁師はラグーンの端にある
祠に貢ぎ物を捧げる)。
3)1月から4月まで、雨期の前から雨期の期間中は禁漁シーズン。
etc.etc...

この掟を守る理由というのは、訊いてみると神話的な説明しか返ってこない
のだそうだ。

Sakumoというのがこのラグーンの祠に奉られている守り神のようなもので、
その妻がWulormo。その大昔のウロルモ以来、代々漁師たちが終身ウロルモ
というのを選挙で選んでいるそうなのだね。そしてこれが掟を司ると、
そういうことらしい。ダニエル・パウリーが5ヶ月間ここにいた時に、
掟を破ったものは誰もいなかったということだ。

(Daniel Pauly<1994>, On the Sex of Fish and the Gender of Scientists
第14話   On reason, mythologies and natural resource conservation. pp118-122)
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