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空母キエフは、ミサイル巡洋艦

投稿者: inakamonodemisawa 投稿日時: 2003/08/31 22:37 投稿番号: [84617 / 232612]
http://www.eurus.dti.ne.jp/~freedom3/kiev.htm

<特徴>

1、ソ連初の空母である
  搭載航空機が貧弱であったとはいえ、ソ連で初めて固定翼の戦闘機を運用できる艦

  を保有したことは海軍戦略の幅を広げる意味でも評価できることである。

  さらに、限定的な海外への兵力展開も可能となり、ソ連海軍がいよいよアメリカに匹敵

  する外洋艦隊に成長しつつあることを世界にアピールした。



2、大型の対艦ミサイルを搭載
  ソ連海軍の空母の特色として大型の対艦ミサイルを搭載していることがあげられる。

  キエフ級はその先例で、艦の前部に非常に大型のSS−N−12サンドボックスの

  発射筒8基を持ち、その外観はまるで旧日本軍の航空戦艦を連想させる。ソ連では

  航空重巡洋艦と呼ばれており、有事には米機動部隊に大型対艦ミサイルを集中発射

  し敵を飽和状態にさせ壊滅させるという艦隊決戦思想が反映されている。

 

<開発>

モスクワ級の後継艦として、プロジェクト1143という計画番号が与えられた対潜巡洋艦

の開発が始まったのは1967年のことであった。研究開発はA. Marinichの管理下で進め

られ、最終的に36機のYak−38フォージャーVTOL戦闘機と25機のカモフKa−25

ホーモンヘリコプターを搭載することになった。船型はモスクワ級と大きく異なり、船の

上部構造は右側に移され、前部に各種兵装が配置され、そして左側に小さな飛行甲板

が取り付けられた空母型となった。途中、より大型のOryel級空母プロジェクトがキャン

セルされたので、3番艦が1973年に急遽起工された。

キエフ級の特徴としてはP−15Mバザルト(SS−N−12サンドボックス)対艦ミサイルの

発射筒8基を艦の前部に搭載していることで、敵の艦船への攻撃は対艦ミサイルで行い、

搭載する航空機は主に艦隊上空の制空権の確保、敵の対潜哨戒機の撃破、限定的な

上陸作戦支援などに使用されることになっていた。

このSS−N−12サンドボックスは非常に射程の長い(550km)ミサイルで、目標の

データは人工衛星からか艦の探索レーダーで収集し、OTH(水平線より向こう)の目標に

対しては搭載するKa−25ホーモンBヘリコプターを中間誘導機として利用した。

キエフ級の欠点としては搭載するYak−38VTOL戦闘機の能力があまりにも貧弱なこと

で、レーダーを搭載していないため制空任務に使用するには無理があったし、かといって

爆弾搭載能力も貧弱なため対地攻撃にもあまり効果がなかった。そのため、ソ連では

Yak−38に代わる新たなVTOL戦闘機としてYak−141フリースタイルの開発を始め

た。Yak−141は世界初の超音速VTOL戦闘機で、能力的にはMiG−29並となったが

直後に冷戦が終結してしまい、Yak−141の開発は中止され、キエフ級も全艦スクラップ

となってしまった。

そのため、キエフ級は最後まで有力な艦載機を搭載することができず、ソ連初の空母で

あるが、まだ対潜空母の域を抜け出せず敵の機動部隊の存在しない海域でのゲリラ的

な活動しかできなかったと考えられる。

その後、ソ連はバクー(キエフ改)を経て、トビリシ級正規空母(アドミラル・グズネツォフ)

を保有するが、それでもまだアメリカのような本格的空母ではなくソ連名称の航空重巡洋

艦が表すように、第二次世界大戦の航空戦艦のような運用思想であり、カタパルトも装備

していなかった。本格的な機動部隊を創設するには莫大な金と、海軍戦略に精通する

指導者、海外の本格的根拠地などが必要であり、たとえ冷戦が続いていたとしてもソ連

がアメリカ並の機動部隊を保有することは経済力の面から見ても、外交政策の面から

見ても恐らく不可能だったと考えられる。

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