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新華社のABM条約の見解

投稿者: ahoahoahocham6 投稿日時: 2003/02/27 21:56 投稿番号: [52336 / 232612]
2.ABM条約と国際軍事情勢

  アメリカがABM条約を脱退することは、国際軍事情勢にどのような影響をもたらすか。中国の新華社が読者に提供した資料(2001年12月14日付)によれば、軍縮および核不拡散にかかわる32の国際条約がABM条約と関連をもっている。新華社資料は、「ABM条約は国際社会の戦略的安定の礎石」と性格づけているが、それは決して誇張ではない。

  そもそも1972年に米ソがABM条約締結に合意したのは、際限のない核軍拡競争をくい止めたいという点で認識が一致したためだった。相手側の核攻撃をくい止めるミサイル防衛の領域に踏み込めば、互いに相手側が保有するミサイル防衛能力を上回る攻撃力を増強しなければならない。果てしのない核軍拡競争になるのは目に見えている。

  アメリカの核戦力の脅威にさらされるのはソ連だけではなく、中国も含まれる。しかし中国は、ABM条約に基づいてアメリカがミサイル防衛能力の開発を進めないことを前提にした核戦略を行ってきた。アメリカに対して先制核攻撃を行わないことをアメリカ側に確信させるため、中国は自らの核戦力(とくにアメリカに到達するICBM)の保有数をきわめて抑制した規模にとどめる。しかし、アメリカが中国に対して先制核攻撃する意思を思いとどまらせるのに必要十分なだけの報復核攻撃能力は確保する(最小限核抑止戦略)。

  話はこれで終わらない。インドは中国の核戦力を警戒し、これに対抗する核戦力を開発した。パキスタンはインドの核戦力を警戒し、これに対抗する核戦力を開発した。同じ状況が中東にもある。周りをアラブ諸国に囲まれたイスラエルは、軍事的優位性を確保する一環として核兵器を開発保有している。イスラエルに脅威を感じる国々は、自ら核兵器開発の関心を持つことになる。

  ABM条約は、こうした動きを止める力はない。しかし、部分的核実験禁止条約(1963年発効)、核不拡散条約(1970年発効、1995年延長)などとともに、世界的な核拡散という最悪の事態を防いできたことの意義を軽視することもまた誤りである。とくに中国が最小限抑止戦略を採用して、自制を示してきたことの国際的な意義は、国際的に認識が広がっているわけではないが、大きいものがある。
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