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(財)DRC研究専門委員 藤本昌士氏の論文

投稿者: t2daiisuki48 投稿日時: 2003/02/08 20:53 投稿番号: [48567 / 232612]
北朝鮮軍特殊部隊の能力分析

はじめに

北朝鮮軍特殊部隊の実態には不明な部分が多い。本報告においては、各種の資料から一般的な軍事常識に基づいて判断し、その実態の一端を整理する。まず、特殊部隊の地位、編制・装備・能力等を判断して提示したのちに、予想される特殊部隊運用の概要を推測し、部隊運用計画の形式で提示する。



1.特殊部隊の地位

ゲリラ浸透作戦、山岳戦等の作戦行動は、北朝鮮軍の基本原則、基本戦略及び先制・奇襲南進計画において、基本的な作戦行動の一つに位置付けられている。したがってこれらの作戦を実行する北朝鮮軍特殊部隊は、世界通念上のいわゆる特殊部隊ではなく、正規部隊と肩を並べる作戦基本部隊の地位にある。

北朝鮮軍特殊部隊は、編制と指揮統制系統においても、陸・海・空の正規部隊と並列して重要な地位におかれているばかりでなく、特殊部隊のうちでも最も精強な一部は国家最高指導者・金正日の直接指揮下に実質的におかれている。

(1)北朝鮮軍の基本原則

北朝鮮軍の基本原則は、現在においても「正規・非正規戦配合」である。これは、北朝鮮軍のルーツが、金日成の抗日武装闘争のための非正規戦部隊にあるからである。

(2)北朝鮮軍の基本戦略

北朝鮮の基本戦略は、「立体戦略」といわれる戦略である。立体戦略とは、正規戦とパルチザン戦(ゲリラ戦)、大部隊と小部隊、近代兵器と在来兵器とをそれぞれ組み合わせ、朝鮮半島の地形を巧みに利用しようとする「立体戦」と呼ばれる混合戦略である。この基本戦略は、旧ソ連軍の正規戦戦略(速攻機動戦と包囲殲滅戦)、毛沢東の非正規戦戦略(大規模ゲリラ戦により敵を各個撃破)を組み合わせ、これに朝鮮戦争の教訓を取り込んだ戦略である。

(3)北朝鮮軍の先制・奇襲南進計画における特殊部隊の任務

「南進は、先制・奇襲をもって、単独で遂行する」とされている。先制・奇襲を達成するために、特殊部隊には、①南進トンネルを利用してDMZ戦線の南側に第2戦線を形成、②空挺・空中機動作戦、上陸作戦、ゲリラ浸透作戦を行い韓国全土を同時に戦場化、③まず特殊部隊がゲリラ浸透を開始し、韓国兵または民間人に偽装して韓国全土で内乱を発生させ、北朝鮮に支援を求めることにより南進を合法化する、という三つの任務が付与されているといわれる。

(4)北朝鮮軍の編制


北朝鮮軍の編制を図-1に、特殊部隊と関連する組織を図-2に示す。図-1に示すように、いわゆる特殊部隊は特殊軍団と特殊大隊の2種類の部隊から構成される。

           図-1   北朝鮮軍の編制の概要

図-2北朝鮮特殊部隊関連組織に示すように、総参謀本部が直轄する特殊軍団は軽歩兵教導指導局の指導を受ける。一方で、8個の偵察局特殊大隊は形の上では総参謀本部偵察局の指揮下にあるが、実質的には金正日の直接指揮を受け、かつ労働党の対外情報調査部(35室)の指導を受けることになっていて、韓国をはじめ、その他の外国に対する各種の地下工作を実行する部隊である。


図-2   北朝鮮特殊部隊関連組織



労働党の海外情報調査部(35号室)は、韓国その他の国において工作員を長期間潜伏させ、政治、経済、軍事、社会に関する情報収集とテロ活動、拉致等の謀略・破壊活動を行わせる。1987年のベンガル湾上での大韓航空機の空中爆破事件は海外情報調査部の仕事であった。

総参謀本部偵察局は人民武力省の中にある謀略・破壊組織である。金正日総書記の直接の指揮下に置かれている。偵察局は、武装ゲリラを養成し、韓国に派遣して、韓国政府の要人暗殺、主要施設の破壊、拉致等の活動を行うとともに、韓国に関する軍事情報の収集を行っている。1983年のビルマでの韓国閣僚爆殺事件、1996年の韓国東海岸で座礁したスパイ潜水艦の派遣は、偵察局の仕事であった。
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