社説
投稿者: masa4618 投稿日時: 2003/01/30 13:20 投稿番号: [45611 / 232612]
■ブッシュ演説――これで戦争とは
なぜいまイラクを攻撃するのか。戦後のイラクをどうするのか。ブッシュ米大統領の一般教書演説は、世界の心配や疑問に答えるにはほど遠いものだった。
ペルシャ湾岸に湾岸戦争以来の大兵力の増強が続いているさなかだ。世界はイラクに対する大統領の一言一言に注目した。
大統領は、イラクが保有していた大量の化学兵器の原料や弾頭の行方を国連の査察に対して明らかにしなかったと、フセイン大統領を激しく非難した。
来月5日の国連安保理でイラクの違法を裏付ける情報を提示するとも述べた。
イラク側は大量破壊兵器を廃棄したとしながらも具体的な証拠を示さない。査察への協力が不十分であるのは事実だ。
生物兵器などをめぐって数々のうそをついてきた前歴がある。いまも大量破壊兵器を隠している可能性がある。しかし、保有が立証されているわけでもないのに、有罪だと決めつけるわけにはいかない。
大統領は、9・11のテロまで多くの人はイラクを封じ込められると思っていたが、状況は変わったと指摘した。テロリストは化学兵器を使うこともためらわないかもしれない。そして「ハイジャック犯がサダム・フセインに武器をもらっていたら、と想像してみよう」というわけだ。
テロとの闘いは正義の戦いであり、イラク攻撃もその一環だという理屈である。しかし、これにも無理がある。
イラクとアルカイダとを明確に結び付ける事実はいまのところない。
差し迫った危険が明らかでないにもかかわらず、将来危険があるかも知れないからという理由で予防的な先制攻撃に打って出る。それが認められるはずはない。
昨年の一般教書演説で大統領は、イラクとイラン、北朝鮮の3カ国を「悪の枢軸」と決めつけた。その後は「初めにイラク攻撃あり」といわんばかりの勢いだ。湾岸周辺に展開する兵力はすでに10万人近い。
振り上げたこぶしに同盟国でさえ戸惑い、不安を募らせている。だが、この日の演説にはその国々を説得しようという積極的な意欲も感じ取れなかった。
米国が目的を達するには、アラブ・イスラム世界からの反発を抑えることが必要だ。それには、パレスチナの和平の進展が欠かせないが、イスラエルの総選挙ではシャロン政権を支えるリクードが大勝し、和平はますます難しくなっている。
それにもかかわらず、大統領は「引き続き平和を求める」の一言で片づけただけだった。中東和平の重要性を米国に説いてきた欧州諸国は失望しただろう。
米上院の長老エドワード・ケネディ議員が先日の講演で、独立宣言を引きあいに出しつつ「米国は他国の意見を謙虚に聞かなければならない」と苦言を呈した。
ブッシュ大統領はこれで戦争に突き進むのか。世界の懸念はいよいよ深い。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
なぜいまイラクを攻撃するのか。戦後のイラクをどうするのか。ブッシュ米大統領の一般教書演説は、世界の心配や疑問に答えるにはほど遠いものだった。
ペルシャ湾岸に湾岸戦争以来の大兵力の増強が続いているさなかだ。世界はイラクに対する大統領の一言一言に注目した。
大統領は、イラクが保有していた大量の化学兵器の原料や弾頭の行方を国連の査察に対して明らかにしなかったと、フセイン大統領を激しく非難した。
来月5日の国連安保理でイラクの違法を裏付ける情報を提示するとも述べた。
イラク側は大量破壊兵器を廃棄したとしながらも具体的な証拠を示さない。査察への協力が不十分であるのは事実だ。
生物兵器などをめぐって数々のうそをついてきた前歴がある。いまも大量破壊兵器を隠している可能性がある。しかし、保有が立証されているわけでもないのに、有罪だと決めつけるわけにはいかない。
大統領は、9・11のテロまで多くの人はイラクを封じ込められると思っていたが、状況は変わったと指摘した。テロリストは化学兵器を使うこともためらわないかもしれない。そして「ハイジャック犯がサダム・フセインに武器をもらっていたら、と想像してみよう」というわけだ。
テロとの闘いは正義の戦いであり、イラク攻撃もその一環だという理屈である。しかし、これにも無理がある。
イラクとアルカイダとを明確に結び付ける事実はいまのところない。
差し迫った危険が明らかでないにもかかわらず、将来危険があるかも知れないからという理由で予防的な先制攻撃に打って出る。それが認められるはずはない。
昨年の一般教書演説で大統領は、イラクとイラン、北朝鮮の3カ国を「悪の枢軸」と決めつけた。その後は「初めにイラク攻撃あり」といわんばかりの勢いだ。湾岸周辺に展開する兵力はすでに10万人近い。
振り上げたこぶしに同盟国でさえ戸惑い、不安を募らせている。だが、この日の演説にはその国々を説得しようという積極的な意欲も感じ取れなかった。
米国が目的を達するには、アラブ・イスラム世界からの反発を抑えることが必要だ。それには、パレスチナの和平の進展が欠かせないが、イスラエルの総選挙ではシャロン政権を支えるリクードが大勝し、和平はますます難しくなっている。
それにもかかわらず、大統領は「引き続き平和を求める」の一言で片づけただけだった。中東和平の重要性を米国に説いてきた欧州諸国は失望しただろう。
米上院の長老エドワード・ケネディ議員が先日の講演で、独立宣言を引きあいに出しつつ「米国は他国の意見を謙虚に聞かなければならない」と苦言を呈した。
ブッシュ大統領はこれで戦争に突き進むのか。世界の懸念はいよいよ深い。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
これは メッセージ 1 (mitokoumon_2002 さん)への返信です.