テポドン発射とブッシュ政権の実情 (1)
投稿者: komash0427 投稿日時: 2006/07/07 23:31 投稿番号: [228657 / 232612]
太平洋の対岸で米国中が恒例の独立記念日を祝っていた4日(日本時間5日未明)、北朝鮮が断続的に7発の弾道ミサイルを発射した。ミサイルの多くは近距離、あるいは中距離型の「スカッド」「ノドン」だったが、1発は米ハワイ州やアラスカ州、さらにはロサンゼルスなど西海岸の大都市にも到達可能と見られる長距離弾道ミサイル「テポドン2号」だった。
7発のミサイル
防衛庁などによると、発射時間は日本時間で5日午前3時30分ごろ、同4時ごろ、同5時ごろ、同7時10分ごろ、同7時30分ごろ、同8時20分ごろと午後5時20分ごろの7回とされている。
発射場所は「テポドン2号」とみられる3発目が日本海側の咸鏡北道花台郡にある舞水端里(ムスダンリ)の発射実験場。残る全弾は南東部の江原道安辺郡キテリョンとみられる。不幸中の幸いだが、全ての弾頭は1998年時のテポドンのように日本列島上空を通過せず、いずれも日本海に着弾。落下推定地点は「ロシア沿海州南方の日本海」と見られており、日本領海内への落下も確認されていない。
日米両国政府はかねて、北朝鮮によるミサイル発射準備の動きを「大変、重大な問題」としてけん制し、断続的に警告を発していた。先に訪米した小泉純一郎首相とブッシュ米大統領による首脳会談でも「東アジアの安定に対する現実的な脅威」(小泉首相)との認識で一致し、警戒感を強めていた矢先の出来事だった。
日米両国をはじめとする国際社会の度重なる自制要求にもかかわらず、なぜ北朝鮮の金正日政権は米国を必要以上に刺激する形で大陸間弾道弾に値する「テポドン」を含む7発ものミサイルを発射したのだろうか。一見すると、常識的には不合理に見える行動だが、これも北朝鮮独自の「瀬戸際外交」という公式にあてはめて、現状を観察してみると、あながち不合理とも言い切れない側面があることに気がつく。
「直接交渉拒否」に風当たり強まる
ブッシュ政権の北朝鮮政策は、①米朝直接交渉はしない、②6カ国協議という枠組みを使って、中国の影響力行使を促す、③その結果、金正日政権が自然崩壊への道を辿るのを待つ――という長期戦の構えでいることはこのコラムで何度か紹介している。
ところが、ここにきてワシントンでは、そのブッシュ政権による「直接交渉拒否」という路線に対する風当たりが急速に強まっている。クリントン前政権で北朝鮮問題の担当調整官として活躍したペリー元国防長官は最近、米ワシントン・ポスト紙に寄稿し、「北朝鮮がミサイル発射を強行したら、ミサイル防衛システムを実戦稼動させる」としていたブッシュ政権に対して、「あてにならないミサイル防衛システムに頼るより、ミサイル発射場への先制攻撃をしたらどうか」と挑発した。
それに対して、チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官ら「北朝鮮強硬派」が「ペリー氏は私人であり、『ご忠告ありがとう』と言いたい」と含み笑いでいなすと、翌日、これもブッシュ政権の北朝鮮政策に批判的なプリチャード元大統領補佐官が同じポスト紙に「ペリー氏の助言は正しい。最終的には米朝2国間対話が望ましい」と反論した。完全な連携プレーであり、ペリー、プリチャード両氏の真の狙いは「2国間対話」の再開と見るのが自然だろう。
その数日前には国務省で朝鮮部長、日本部長を歴任し、このほど30年以上にも及ぶ外交官生活に別れを告げたデビッド・ストラウブ氏がワシントン市内での「お別れ講演」で、ブッシュ政権の北朝鮮政策を徹底的にこきおろし、「無策の典型」と批判した。それ以前にもブッシュ政権の1期目に6カ国協議の米側首席代表を務めたケリー前国務次官補(東アジア・太平洋担当)がワシントン、東京での講演で「米国は2国間対話に応じるべきだ」と主張。1994年の朝鮮半島危機の際、北朝鮮側とぎりぎりの交渉に臨んだハバード元駐韓米大使も東京で同様の発言を残して、ワシントンに帰還している。
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7発のミサイル
防衛庁などによると、発射時間は日本時間で5日午前3時30分ごろ、同4時ごろ、同5時ごろ、同7時10分ごろ、同7時30分ごろ、同8時20分ごろと午後5時20分ごろの7回とされている。
発射場所は「テポドン2号」とみられる3発目が日本海側の咸鏡北道花台郡にある舞水端里(ムスダンリ)の発射実験場。残る全弾は南東部の江原道安辺郡キテリョンとみられる。不幸中の幸いだが、全ての弾頭は1998年時のテポドンのように日本列島上空を通過せず、いずれも日本海に着弾。落下推定地点は「ロシア沿海州南方の日本海」と見られており、日本領海内への落下も確認されていない。
日米両国政府はかねて、北朝鮮によるミサイル発射準備の動きを「大変、重大な問題」としてけん制し、断続的に警告を発していた。先に訪米した小泉純一郎首相とブッシュ米大統領による首脳会談でも「東アジアの安定に対する現実的な脅威」(小泉首相)との認識で一致し、警戒感を強めていた矢先の出来事だった。
日米両国をはじめとする国際社会の度重なる自制要求にもかかわらず、なぜ北朝鮮の金正日政権は米国を必要以上に刺激する形で大陸間弾道弾に値する「テポドン」を含む7発ものミサイルを発射したのだろうか。一見すると、常識的には不合理に見える行動だが、これも北朝鮮独自の「瀬戸際外交」という公式にあてはめて、現状を観察してみると、あながち不合理とも言い切れない側面があることに気がつく。
「直接交渉拒否」に風当たり強まる
ブッシュ政権の北朝鮮政策は、①米朝直接交渉はしない、②6カ国協議という枠組みを使って、中国の影響力行使を促す、③その結果、金正日政権が自然崩壊への道を辿るのを待つ――という長期戦の構えでいることはこのコラムで何度か紹介している。
ところが、ここにきてワシントンでは、そのブッシュ政権による「直接交渉拒否」という路線に対する風当たりが急速に強まっている。クリントン前政権で北朝鮮問題の担当調整官として活躍したペリー元国防長官は最近、米ワシントン・ポスト紙に寄稿し、「北朝鮮がミサイル発射を強行したら、ミサイル防衛システムを実戦稼動させる」としていたブッシュ政権に対して、「あてにならないミサイル防衛システムに頼るより、ミサイル発射場への先制攻撃をしたらどうか」と挑発した。
それに対して、チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官ら「北朝鮮強硬派」が「ペリー氏は私人であり、『ご忠告ありがとう』と言いたい」と含み笑いでいなすと、翌日、これもブッシュ政権の北朝鮮政策に批判的なプリチャード元大統領補佐官が同じポスト紙に「ペリー氏の助言は正しい。最終的には米朝2国間対話が望ましい」と反論した。完全な連携プレーであり、ペリー、プリチャード両氏の真の狙いは「2国間対話」の再開と見るのが自然だろう。
その数日前には国務省で朝鮮部長、日本部長を歴任し、このほど30年以上にも及ぶ外交官生活に別れを告げたデビッド・ストラウブ氏がワシントン市内での「お別れ講演」で、ブッシュ政権の北朝鮮政策を徹底的にこきおろし、「無策の典型」と批判した。それ以前にもブッシュ政権の1期目に6カ国協議の米側首席代表を務めたケリー前国務次官補(東アジア・太平洋担当)がワシントン、東京での講演で「米国は2国間対話に応じるべきだ」と主張。1994年の朝鮮半島危機の際、北朝鮮側とぎりぎりの交渉に臨んだハバード元駐韓米大使も東京で同様の発言を残して、ワシントンに帰還している。
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