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謎の組織「科協」に迫る (5)

投稿者: kyabaajp 投稿日時: 2006/06/09 22:11 投稿番号: [228413 / 232612]
科協の表の役割

  科協の役割の一つは、祖国=北朝鮮の科学技術発展に尽くすことである。より生々しく表現するならば、例えば科学技術資料を収集し送ることだ。これは科協自ら公言してきたことでもある。〇一年に消滅した、科協の旧ウェブサイトにはこう記されていた。
<日本を初めとして世界の先進諸国では、インターネットの普及により科学技術文献の検索が非常に便利になった。かつては、文献を入手するのに国会図書館や特許庁、あるいは大学図書館に出向いて文献を検索し、複写したものであり、その記憶もまだ新しい。数件の文献を入手するのに交通費を使い、高いコピー代を支払い、それに一日を費やしたものである。自分の研究に必要な文献なら検索するのに慣れているものの、共和国から依頼された文献などを探すとなると一苦労した会員も少なからずいたであろう。それが近年、自分のコンピュータから必要とする豊富な情報が得られ、印刷せずとも保存しておくことが可能な時代になった。今まで文献の収集に苦労した者にとってはその便利さに驚くばかりである>(科協の旧ウェブサイト上の記事「共和国における科学技術情報検索ネットワークの構築」より引用)。
「北朝鮮本国から依頼された文献探し」の苦労は想像にあまりある。ここでは文献の入手だけで「一日を費やした」とあるが、実際の苦労はこれだけではない。文献の種類によっては、翻訳作業がここに加わるからである。必ずしも民族学校の卒業者ばかりではない科協会員が、辞書を片手に訳したであろう、ぎこちない朝鮮語の翻訳文献を筆者は眼にしたことがある。
  だがほとんどの文献は、朝鮮総聯傘下企業の「九月書房」等を通じて日本語のまま送られる。北の科学者や理工系学生の多くは、日本語が読めるのだ。
  九十三年に朝鮮人民軍の核化学防衛局から亡命した李忠国氏の回想によれば八十年代後半、「理科大学」の学生であった彼や他の学生たちは、日本やアメリカから持ち込まれた多くの科学ジャーナルや書籍を自由に閲覧することができたという。これらを読むため学生たちは自ら進んで外国語を学ぶのだが、李忠国氏によれば、「日本語は非常に人気のある言語だったので、日本語をマスターしなければ科学者にはなれないという考えがあった」という。
  北朝鮮の諜報工作世界においてはロシア語が、自然科学世界においては日本語が事実上の第一外国語である。これは大阪経法大系列の「大阪情報コンピュータ専門学校」が過去、平壌外国語大学日本語学科の学生を研修生として受け入れたり、現在、北朝鮮で使用されているパソコンの多くに日本語OSが使用されていることとも、無関係ではない。
  科協により北に送られた文献の数がどれほどになるのかは正確にはわからない。だが朝鮮新報は〇一年六月、「にぎわう『愛国』閲覧室」なる記事で、次のような数字を記している。
<八二年、人民大学習堂のオープンに際し、在日本朝鮮人科学者協会が中心となって約十万部の書籍を寄贈した。(中略)現在まで寄贈されたのは数学、物理学、生物学をはじめとした基礎科学と電力、金属、機械、電子をはじめとした運営工学の各種専門図書と雑誌類、五十余万部にのぼる。以前は、人民大学習堂が所蔵する他の書籍に混じって分野別に棚に収められていたが、八八年に『愛国図書閲覧室』が新たに設けられ、海外同胞が寄贈した書籍が一ヶ所に集められた>(朝鮮新報〇一年六月十一日の記事より引用)
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