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怒りが五輪を包囲する

投稿者: sayyesser01 投稿日時: 2005/08/03 16:09 投稿番号: [210400 / 232612]
激化する強制立ち退き

北京市の雅宝路が騒然としていた。五輪準備の再開発に伴う古い商店街の取り壊しを行おうとしている業者・警察と、それに抵抗する店子(たなこ)たちがにらみ合っていた。

じりじり太陽が照りつける中、武装した警官らが商店街をぐるりと取り囲み、戦争でも始まりそうな雰囲気。住人たちは殺気だって「立ち退き料払え!」「店を返せ!」と叫んでいる。やがて取り壊しの作業員が、はしごでショーウインドーをガシャーンと割ったのを合図に、まだ商品の残る商店街が壊されていった。一カ月前に立ち退き勧告があった後、立ち退き料や借家人が先払いした四カ月分の賃貸料を大家が持ち逃げしたのだという。

再開発による強制立ち退きや農地収用をめぐるトラブルは中国ではありふれているせいか、ニュースにもならない。人々は、当局への陳情があてにならないので、私たち外国人記者を頼ってくることも多い。こちらの反応が鈍いと、「それなら死ねばいいのか?   なら、あす(自分のアパートの上から)飛び降りてやるから取材に来てくれ」。

物騒な話だが実際、人々はこの無念を伝えるためなら命など惜しくない、というところまできている。

都市・農村を問わず暮らしを奪われる人々の抵抗というものは、九〇年代からあった。ただ最近、特にそれが目立つようになったのは、やはり抵抗する側の“死ぬ気”度がヒートアップしているからだと思う。六、七月の二カ月だけでも死者六人、負傷者四十八人を出した河北省定州市の事件をはじめ、広東省仏山市、河南省商丘市などで土地収用がらみの騒乱が香港紙などで報道された。

遼寧省瀋陽市近郊では再開発に伴う立ち退きに、住人一人が火炎瓶やガスボンベで武装し徹底抗戦した。ブルドーザーで強制排除をせまる役人ら二人を火だるまにした揚げ句、逃走中だ。強制立ち退きにここまで命がけで抵抗する庶民が出現したことは驚くべきことかもしれない。

工場排水や排ガス汚染に苦しむ農民が工場を襲撃する事件も多発している。都市の発展のために農村が犠牲になるという点では、公害問題も土地収用問題も似ている。浙江省長興県では、電池製造工場の排ガスで風下の村の児童二百人が鉛中毒になったことに怒った農民が、工場を襲い従業員千人を人質にとって工場側に問題解決を迫った。また同省新昌県の医薬品工場の排水で村民の80%ががんに侵されるなど、深刻な環境汚染に怒った農民らが工場を破壊しようと襲撃、一万人以上の農民と警察数百人が衝突する事件が発生した(香港紙蘋果日報など)。

中国社会科学院の調査では土地収用などで土地を失った農民は四千万人以上で、毎年二百万人ペースで増加している。工場による汚染や都市部の再開発で土地を奪われる人も加えればもっと多いだろう。その中には「命がけでこの悔しさを訴えたい」と火のような怒りを抱える人も、確かにいる。

そういう人たちから直接話を聞くとき正直、怖くなる。彼らの怒りの対象は単に地方政府の汚職幹部や開発業者や工場主だけでない。その犠牲の上に発展を遂げる都市そのものを敵視している。都市の豊かな生活を享受する私も敵だろう。

北京五輪はこんな人々の怒りに包囲された大都市で行われるのだ。それは、反日感情などよりも大きなリスクじゃないか?   だから「北京五輪、大丈夫?」と嫌みではなく、本気で心配してしまうのだ。   産経新聞   2005年7月29日


いずれ、こういう人たちが「反日」を隠れ蓑に、政府に対して暴動や打ち壊しを起こす。
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