ロシアと北朝鮮3
投稿者: sofiansky2003 投稿日時: 2005/03/13 15:00 投稿番号: [191793 / 232612]
それでは、ロシアは朝鮮半島の問題をどのような視点からみているのか。基本的には、1990年代前半の西側志向、韓国重視派がやや後退、90年代は後半は、南北のバランスを重視することで、極東での国益外交を図る潮流が擡頭し、これがプーチンの対北朝鮮政策を支えてきた。
いうまでもなく朝鮮半島とは特殊な関係を続けただけに、専門家や関係利害は限られている。外交官や元共産党職員、あるいは専門家、ジャーナリストとして北朝鮮問題を担当してきた人々であるが、中国や日本を専門とする研究者と比べても少なく、むしろその関係者が片手間に行うというのが実情であろう。また、彼らも北朝鮮とのコンタクトは制限され、多くは隔靴掻痒の感がある、という。
ロシアの代表的識者たちは、北朝鮮をめぐる問題、とくに核にはたやすい解決法はない、と見る。しかし軍事力を背景とした強制によって問題が解決するとは考えない。ロシア政府が提案しているのは、核不拡散、非核化、枠組み合意の遵守、各方面での交流を北朝鮮の安全保障と抱き合わせて一括して解決しようという方策である。また、通常兵器や化学兵器問題は後回しにして、とりあえず核問題だけを先行するという考え方もある。
なかでもモスクワ国際関係大学学長のトルクノフは、朝鮮問題の解決には長期間かかり、この間、二つの国家による長期の併存という事態を覚悟すべきであるともいう。彼らが強調する点は、半世紀の分断により、南北の政治的あるいは経済的だけではない心理的障害があり、そして文化的差異も拡大しているとのことだ。トルクノフによれば、分断による南北の言語の差異はことのほか大きく、すでに7万語もが別の語義になっている、トカチェンコも同様な南北の経済格差を指摘する。したがって彼らは、共存から接近、そして統一という比較的長いシナリオを描いている。彼ら二人に共通しているのは北朝鮮があまりに弱体化しているので、その安全を保障しつつ、次第に中国、ベトナム型の改革にもっていく、という斬進的解決が望ましい、という考えである。その場合、中ロが安全の保証人となる。同時に、経済でも安全保障を行いつつ、韓国と北朝鮮、ロシアとの分業体制に引き入れるという方策もある。
しかし極東研究所の副所長でもあるワシリー・ミヘーエフは、彼らとはやや異なった観点から朝鮮問題を論じている。彼は1980年代前半に平壌での外交官勤務体験を持ち、同時にグローバル化について著作を有する専門家であるが、現在の南北バランス論には批判的で、親欧米、市場志向を主張する。とくに2001年の9・11事件以降は、反テロ連合の一員として行動すべきあると説き、あまり国際経済を無視した北朝鮮への政治的接近は国益にならないと見ている。北朝鮮と同じ船に乗るべきでない、とバランス論に批判的でもあった。対米関係の観点から、北朝鮮問題で発言するボガトゥーロフらは、イデオロギーは好まなくても、体制崩壊による混乱は好まない。核問題も平和的に解決すべきとして、金正日体制護持連合を作るべきだと提言している。
こうした観点の存在にもかかわらず、ロシアにとって北朝鮮問題は、経済合理性より、一義的に政治的問題である。プーチン政権は、一方で極東国境地域での平和と安全を求め、そして経済的利益や投資を促すという関心が朝鮮半島問題への関与を強めている。韓国や日本、中国が北朝鮮体制の早期の崩壊を望んでいないこともあって、ロシアのこの路線は維持されるのではないだろうか。イデオロギーよりも地政学的な実利主義から、そして将来の見返り利益から、プーチンのロシアは北朝鮮への関与を続ける公算が大きい。
(以上、下斗米伸夫「アジア冷戦史」(中公新書04.9)
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
ロシアの現実的な政策として、南北バランス論で韓国には経済的に関与し、北朝鮮には以前と変わらず、<経済的>ではなく<政治的>に関与路線で対応している。
<地政学的な実利主義>??
ロシアはソ連の時代から、西側には密接な関係はあったものの、東側の北朝鮮はずっと異質の国であり続けた。
同じ社会主義国といえども、熱く深い関係ではなかった。
中国との関係、米国との関係で、”適当”に付き合っていた。
これが<地政学的な実利主義>?でしょうか。
取りあえず金正日政権が崩壊したら困る。かといって積極的に援助するような力量も意志もない。
これまた”適当”に付き合ってやっておけ。
基本的にはこれからも変わらないのか。そういえば6カ国協議でもロシアの影は薄い。
北朝鮮が崩壊すれば、日本海時代との概念もあるが、
金正日政権が存続する限りそのような見通しは立たない。
いうまでもなく朝鮮半島とは特殊な関係を続けただけに、専門家や関係利害は限られている。外交官や元共産党職員、あるいは専門家、ジャーナリストとして北朝鮮問題を担当してきた人々であるが、中国や日本を専門とする研究者と比べても少なく、むしろその関係者が片手間に行うというのが実情であろう。また、彼らも北朝鮮とのコンタクトは制限され、多くは隔靴掻痒の感がある、という。
ロシアの代表的識者たちは、北朝鮮をめぐる問題、とくに核にはたやすい解決法はない、と見る。しかし軍事力を背景とした強制によって問題が解決するとは考えない。ロシア政府が提案しているのは、核不拡散、非核化、枠組み合意の遵守、各方面での交流を北朝鮮の安全保障と抱き合わせて一括して解決しようという方策である。また、通常兵器や化学兵器問題は後回しにして、とりあえず核問題だけを先行するという考え方もある。
なかでもモスクワ国際関係大学学長のトルクノフは、朝鮮問題の解決には長期間かかり、この間、二つの国家による長期の併存という事態を覚悟すべきであるともいう。彼らが強調する点は、半世紀の分断により、南北の政治的あるいは経済的だけではない心理的障害があり、そして文化的差異も拡大しているとのことだ。トルクノフによれば、分断による南北の言語の差異はことのほか大きく、すでに7万語もが別の語義になっている、トカチェンコも同様な南北の経済格差を指摘する。したがって彼らは、共存から接近、そして統一という比較的長いシナリオを描いている。彼ら二人に共通しているのは北朝鮮があまりに弱体化しているので、その安全を保障しつつ、次第に中国、ベトナム型の改革にもっていく、という斬進的解決が望ましい、という考えである。その場合、中ロが安全の保証人となる。同時に、経済でも安全保障を行いつつ、韓国と北朝鮮、ロシアとの分業体制に引き入れるという方策もある。
しかし極東研究所の副所長でもあるワシリー・ミヘーエフは、彼らとはやや異なった観点から朝鮮問題を論じている。彼は1980年代前半に平壌での外交官勤務体験を持ち、同時にグローバル化について著作を有する専門家であるが、現在の南北バランス論には批判的で、親欧米、市場志向を主張する。とくに2001年の9・11事件以降は、反テロ連合の一員として行動すべきあると説き、あまり国際経済を無視した北朝鮮への政治的接近は国益にならないと見ている。北朝鮮と同じ船に乗るべきでない、とバランス論に批判的でもあった。対米関係の観点から、北朝鮮問題で発言するボガトゥーロフらは、イデオロギーは好まなくても、体制崩壊による混乱は好まない。核問題も平和的に解決すべきとして、金正日体制護持連合を作るべきだと提言している。
こうした観点の存在にもかかわらず、ロシアにとって北朝鮮問題は、経済合理性より、一義的に政治的問題である。プーチン政権は、一方で極東国境地域での平和と安全を求め、そして経済的利益や投資を促すという関心が朝鮮半島問題への関与を強めている。韓国や日本、中国が北朝鮮体制の早期の崩壊を望んでいないこともあって、ロシアのこの路線は維持されるのではないだろうか。イデオロギーよりも地政学的な実利主義から、そして将来の見返り利益から、プーチンのロシアは北朝鮮への関与を続ける公算が大きい。
(以上、下斗米伸夫「アジア冷戦史」(中公新書04.9)
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
ロシアの現実的な政策として、南北バランス論で韓国には経済的に関与し、北朝鮮には以前と変わらず、<経済的>ではなく<政治的>に関与路線で対応している。
<地政学的な実利主義>??
ロシアはソ連の時代から、西側には密接な関係はあったものの、東側の北朝鮮はずっと異質の国であり続けた。
同じ社会主義国といえども、熱く深い関係ではなかった。
中国との関係、米国との関係で、”適当”に付き合っていた。
これが<地政学的な実利主義>?でしょうか。
取りあえず金正日政権が崩壊したら困る。かといって積極的に援助するような力量も意志もない。
これまた”適当”に付き合ってやっておけ。
基本的にはこれからも変わらないのか。そういえば6カ国協議でもロシアの影は薄い。
北朝鮮が崩壊すれば、日本海時代との概念もあるが、
金正日政権が存続する限りそのような見通しは立たない。
これは メッセージ 191792 (sofiansky2003 さん)への返信です.