北朝鮮が保有する核爆弾⑦
投稿者: komash0427 投稿日時: 2005/03/05 09:49 投稿番号: [186933 / 232612]
最後に、それでもアメリカが北の核保有を信じている幾つかの理由を挙げておきます。
まず一つ目は、65年から稼働している小さな方の原子炉が産出したプルトニウムの問題です。この原子炉では高濃縮ウランを使っていますが、実はこの使用済み燃料からもプルトニウムを抽出することはできるのです。何しろ40年にわたって運転している原子炉ですから、少しずつ溜め込んでいけば2ないし4キログラムくらいあるのではないか、とアメリカは疑っているのです。もっとも再処理した証拠はありませんから、これも明確な話ではありません。しかし、北がソ連からこの原子炉のためにどれくらいの量の濃縮ウランを輸入し、どのくらいの出力で、どれくらい使い、その使用済み燃料をどの施設に保管しているのか、またはソ連に返還したのか−についても査察を受け入れたときに、IAEAは北朝鮮、ソ連双方に対して厳密なチェックを行っていると思います。もし不審な結果であれば、IAEAは当然更なる追及を行っていたでしょう。
もう一つの懸念材料は、その研究用原子炉で使っていた濃縮ウラン自体の問題です。どうやら北朝鮮は74年からの一時期、80%の高濃縮ウランを使っていたと見られています。もし北がこの高濃縮ウランを原子炉に使わないで核兵器製造に転用していたとすると、プルトニウム型ではなくウラン型の原爆が作れないことはありません。ウラン型の場合は93%くらいの濃縮度が必要と言われていますが、80%でもつくろうと思えばつくれるという説もあります。しかし、これもIAEAの査察がしっかりしたものであったとすれば、濃縮ウランの流れはすべて把握されますから、事実上はありえないことになります。
そしてさらにもう一つ、北が核を持っている可能性をどうしても否定しきれない懸念材料があります。これはIAEAの査察がいくら厳密だったとしても消せない懸念材料です。
要するに北朝鮮がプルトニウムをブラック・マーケット経由で仕入れたかもしれないということです。確かに80年代から90年代にかけてプルトニウムのブラック・マーケットは存在していました。一時は日本のマスメディアでも盛んに報道されたことがありますが、原爆を作るだけの大量のプルトニウムが流出したと言う証拠はないものの、サンプルを持った売人が旧ソ連〜ヨーロッパ・ルートで逮捕されると言った事件はあったのです。旧ソ連の場合、核兵器工場や原子力研究機関には大量のプルトニウムが存在していたわけですから、そのうちの数キログラムが行方不明になったとしても体制崩壊のごたごたの最中であれば気づかれなかった可能性は十分にあります。そしてそういうものがブラック・マーケットに流れて、それを北朝鮮が購入したのではないかという疑いは否定し切れません。これはアメリカにしてもIAEAにしても把握の困難な部分です。
ですから、私自身も北の核保有は絶対にないと断定することはできません。しかし、これまで検討してきたように、現在までの北の核開発の状況を冷静に見極めていくと、いまのところ持っていないと考えるほうが合理的だろうと思います。
今回、北朝鮮が核兵器の保有をあえて口にしたのは、それによってイラク戦争でアメリカが見せた先制攻撃を抑止したいという狙いがあったからでしょう。まだ核をもっていないと認めてしまえば、アメリカは安心して攻撃してくる。そうしたアメリカの攻撃を防ぐためには、自分から核保有を宣言してしまうしかない、と北は苦し紛れの決断を下可能性が高いと私は見ています。
しかし、これは北の明らかな判断ミスだったと思います。アメリカは内心では、北の言うことを完全に信じてはいないでしょうが、今回の北の発言によって、もしアメリカ自身が北の核保有を確信した場合は、躊躇せずに核施設に対する空爆を行なうことができるようになったと考えているはずです。国際社会も、北が核保有を認めてしまったことで、アメリカの先制攻撃をこぞって容認せざるを得ないでしょう。イラクの場合は査察が継続しており、大量破壊兵器を持っているかどうか分かっていませんでしたし、イラク自身も否定しつづけていました。だからこそ、査察の継続を理由に独仏露3国はアメリカのイラク攻撃に不支持を表明することができたのです。
(続く)
まず一つ目は、65年から稼働している小さな方の原子炉が産出したプルトニウムの問題です。この原子炉では高濃縮ウランを使っていますが、実はこの使用済み燃料からもプルトニウムを抽出することはできるのです。何しろ40年にわたって運転している原子炉ですから、少しずつ溜め込んでいけば2ないし4キログラムくらいあるのではないか、とアメリカは疑っているのです。もっとも再処理した証拠はありませんから、これも明確な話ではありません。しかし、北がソ連からこの原子炉のためにどれくらいの量の濃縮ウランを輸入し、どのくらいの出力で、どれくらい使い、その使用済み燃料をどの施設に保管しているのか、またはソ連に返還したのか−についても査察を受け入れたときに、IAEAは北朝鮮、ソ連双方に対して厳密なチェックを行っていると思います。もし不審な結果であれば、IAEAは当然更なる追及を行っていたでしょう。
もう一つの懸念材料は、その研究用原子炉で使っていた濃縮ウラン自体の問題です。どうやら北朝鮮は74年からの一時期、80%の高濃縮ウランを使っていたと見られています。もし北がこの高濃縮ウランを原子炉に使わないで核兵器製造に転用していたとすると、プルトニウム型ではなくウラン型の原爆が作れないことはありません。ウラン型の場合は93%くらいの濃縮度が必要と言われていますが、80%でもつくろうと思えばつくれるという説もあります。しかし、これもIAEAの査察がしっかりしたものであったとすれば、濃縮ウランの流れはすべて把握されますから、事実上はありえないことになります。
そしてさらにもう一つ、北が核を持っている可能性をどうしても否定しきれない懸念材料があります。これはIAEAの査察がいくら厳密だったとしても消せない懸念材料です。
要するに北朝鮮がプルトニウムをブラック・マーケット経由で仕入れたかもしれないということです。確かに80年代から90年代にかけてプルトニウムのブラック・マーケットは存在していました。一時は日本のマスメディアでも盛んに報道されたことがありますが、原爆を作るだけの大量のプルトニウムが流出したと言う証拠はないものの、サンプルを持った売人が旧ソ連〜ヨーロッパ・ルートで逮捕されると言った事件はあったのです。旧ソ連の場合、核兵器工場や原子力研究機関には大量のプルトニウムが存在していたわけですから、そのうちの数キログラムが行方不明になったとしても体制崩壊のごたごたの最中であれば気づかれなかった可能性は十分にあります。そしてそういうものがブラック・マーケットに流れて、それを北朝鮮が購入したのではないかという疑いは否定し切れません。これはアメリカにしてもIAEAにしても把握の困難な部分です。
ですから、私自身も北の核保有は絶対にないと断定することはできません。しかし、これまで検討してきたように、現在までの北の核開発の状況を冷静に見極めていくと、いまのところ持っていないと考えるほうが合理的だろうと思います。
今回、北朝鮮が核兵器の保有をあえて口にしたのは、それによってイラク戦争でアメリカが見せた先制攻撃を抑止したいという狙いがあったからでしょう。まだ核をもっていないと認めてしまえば、アメリカは安心して攻撃してくる。そうしたアメリカの攻撃を防ぐためには、自分から核保有を宣言してしまうしかない、と北は苦し紛れの決断を下可能性が高いと私は見ています。
しかし、これは北の明らかな判断ミスだったと思います。アメリカは内心では、北の言うことを完全に信じてはいないでしょうが、今回の北の発言によって、もしアメリカ自身が北の核保有を確信した場合は、躊躇せずに核施設に対する空爆を行なうことができるようになったと考えているはずです。国際社会も、北が核保有を認めてしまったことで、アメリカの先制攻撃をこぞって容認せざるを得ないでしょう。イラクの場合は査察が継続しており、大量破壊兵器を持っているかどうか分かっていませんでしたし、イラク自身も否定しつづけていました。だからこそ、査察の継続を理由に独仏露3国はアメリカのイラク攻撃に不支持を表明することができたのです。
(続く)
これは メッセージ 186932 (komash0427 さん)への返信です.