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日の丸衛星を上げろ

投稿者: komash0427 投稿日時: 2004/11/09 22:41 投稿番号: [157651 / 232612]
日の丸衛星を上げろ

6回目(11/9日経夕刊)

米国発情報の「縛り」

「サードパーティルール(第三者への情報秘匿の原則)」−−世界の有力国が抱える諜報組織に共通するしきたり、おきてのたぐいは数多い。時に自らの生命を含め、ぎりぎりのやり取りを強いられる風習がそうしたルールを生み出してきた。

  「別の諜報組織から教えてもらった情報を第三者に決して伝達してはならない」とするこのルールはその最たる例である。「米国から得た情報を外務省が他国、たとえば韓国の情報組織に流してはならない、といったようなことだ」。米中央情報局(CIA)で対日オペレーションを担当していた、ある米政府OBはその神髄をこう説明する。

  だが、実際にはこうしたルールの存在が日本の安全保障政策に関する情報の「流通市場」を著しくいびつなものにしていた面は否めない。たとえば、北朝鮮の核開発情報に関する高度の機密情報について、CIAはこのルールを名目に使って、時に外務省、防衛庁、内閣情報室、警察庁と「配布先を使い分け、あるいは配布時間を微妙にずらす」(元日本政府高官)ことで、日本の諜報組織を巧みに誘導、操ってきたフシがある。

  外務省の対CIA窓口である国際情報局がある特定の情報を米国から入手した場合、国際情報局はこの第三者ルールによって、外務次官にまで伝達できても政治家である外務大臣には即座に上げられない場合もある。米側から(Need to know)(知る必要がある)」というお墨付きをもらったときだけ、日本の外務省は「米国製情報」に生身で触れることができたとある外務省OBは明かす。

  世界各国の「情報のプロ」たちによって作り上げられた厳密な縛りはもちろん、情報衛星によって得られる情報も例外ではない。

  日の丸衛星打ち上げを決定した小渕内閣で官房長官を務めた野中広務はこうした状況に強い不満を抱いていた。1998年8月の北朝鮮による弾道ミサイル「テポドン」の発射実験後、野中は関係省庁に迅速な対応と情報の提供を求めた。しかし、肝心の防衛庁の腰は重かった。少なくとも野中にはそう思えた。後の99年3月、能登半島東方沖と佐渡島沖の領海に二隻の不審船が侵入、逃走した問題でも状況は同じだった。

  「テポドンの時など、関係する(衛星)写真は1ヶ月もたってから僕のところへ持ってきた。あの防衛庁の秘匿体質に僕は不信感を持った」。野中はそう振り返る。「確かにあの頃、先生は防衛庁に厳しかった・・・・」。野中を間近で見てきた自民党関係者もそう証言する。

  以来、機密情報の流通実態に疑問を抱きつづけている野中は後に自民党参議院の実力者、青木幹雄にこう尋ねている。「あんたには(防衛庁は)きちんと見せたか?」。青木の答えは野中の疑念を強めこそすれ、弱めるものではなかった。

  この野中が官房長官として日の丸衛星実現に向けて大きな役割を果たすことになるのは、単なる「めぐり合わせ」という言葉だけでは片付けられない何かがあった。
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