小泉首相の訪朝と課題について☆☆☆☆☆

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小泉首相の姿勢を批判する理由②

投稿者: komash0427 投稿日時: 2004/09/23 11:47 投稿番号: [152107 / 232612]
では、北朝鮮にこうした道を歩ませるための条件は何だろうか。社会学者、橋爪大三郎氏は、その著書、『こんなに困った北朝鮮』(メタローグ、2000年)の「数学ふろく編」において、ゲーム理論を応用して、北朝鮮をソフト・ランディングに導く条件について考察している。安全保証が果す役割を、理論的な次元で捉えた点で意義深い。以下、著者なりに理解した橋爪氏の議論のポイントを紹介する。*

*ゲーム理論は、状況の論理的な構造を捉える手段であり、複雑な事態を単純化せざるを得ない。橋爪氏の議論は、北朝鮮と「外国」(米国、韓国、日本を指す)の関係を、考察している。

北朝鮮の選択肢としては、
「外国の要求に屈して門戸を開き、柔軟な対応をする」(柔軟路線)か、
「頑なに自らの体制を維持する」(強硬路線)か
の二つだ。

外国の選択肢は、
「北朝鮮の主張に妥協して、融和的な政策をとる」(柔軟路線)か、
「断固とした姿勢を貫いて北朝鮮が折れて出るのを待つ」(強硬路線)
の二つだ。

ここから四つのケースが想定できる。

(1)北朝鮮が強硬、外国が強硬 ⇒ 戦争の危機を招く
(2)北朝鮮が強硬、外国が柔軟 ⇒ 現状維持(すなわち、金正日政権存続)
(3)北朝鮮が柔軟、外国が強硬 ⇒ 金正日政権の崩壊
(4)北朝鮮が柔軟、外国が柔軟 ⇒ ソフト・ランディングを可能にするケース

北朝鮮は、金正日体制の維持を最高の目的としている。「ソフト・ランディング」とは、戦争や国内の混乱なしに北朝鮮が国際社会の一員となることを意味するが、民主化、市場経済導入を伴うので、体制の転換につながる。

そこで北朝鮮はソフト・ランディングを拒否する。
北朝鮮にとっての好ましさの順は、次の通りだと考えられる。

①金正日政権存続>②外国との戦争>③ソフト・ランディング>④金正日政権崩壊

もし、外国にとっての好ましさの順が、次のようだとすると、

①ソフト・ランディング>②金正日政権存続>③金正日政権崩壊>④北朝鮮との戦争

この場合、外国にとっては、北朝鮮が強硬路線をとろうと、柔軟路線をとろうと、外国自身は柔軟路線をとった方が望ましい結果となる。

北朝鮮としては、外国が強硬路線をとろうと、柔軟路線をとろうと、強硬路線を選んだほうがよい結果を得られる。

結論的には、外国は柔軟路線をとり、北朝鮮は強硬路線をとるので、金正日体制が維持される。ソフト・ランディングは実現できない。

そこで、外国にとっての好ましさの順を次のように設定する。

①ソフト・ランディング>②金正日政権崩壊>③北朝鮮との戦争>④金正日政権存続

この設定では、金正日政権存続こそ、最悪の事態だ。外国は、そうした事態を避けるためには戦争をも覚悟している。

さらに、北朝鮮は、ソフト・ランディングの方が戦争よりましだと理解したとする。

この場合、北朝鮮が強硬路線をとるとしたら、外国も、強硬路線で応じる。戦争が起こりうる。北朝鮮が柔軟路線ならば、外国はソフト・ランディングに誘導しようとする。北朝鮮は、強硬路線と柔軟路線のどちらかを選ぶか考えて、戦争につながる強硬路線ではなく、ソフト・ランディングにつながる柔軟路線を選択すると期待できる。

結論として、北朝鮮のソフト・ランディングが現実的となるための条件を次のようにまとめることができる。

ひとつは、外国が「柔軟路線を絶対視しないで、北朝鮮の強硬路線に対しては強硬路線でのぞむこと」であり、
もうひとつは、北朝鮮が「戦争よりもソフト・ランディングの方がましだ」と考えることである。

北朝鮮をめぐる国際情勢は複雑であり、ゲーム理論をもって割りきることはできない。橋爪氏自ら、「ゲーム理論は、たくさんの単純化を含んでいる」として、「ゲーム理論に頼りすぎるのは危険かもしれない」と留保をつけている。

だが、筆者としては、この結論は示唆的だと思う。北朝鮮を柔軟姿勢に転じさせるためには、安全保証と対話の組み合わせが必要だという認識を、理論的に補強するからだ。
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(続く)
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