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投稿者: dd_qq_d 投稿日時: 2004/11/21 08:02 投稿番号: [8482 / 52541]
■APEC――実のあるFTAを


  チリのサンティアゴで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)が、二国間の自由貿易協定(FTA)の拡大を通じて世界貿易機関(WTO)の貿易自由化交渉を後押しする、との閣僚声明を発表した。いまやFTAは貿易自由化の推進エンジンだ。

  閣僚会議と並行して、日本はフィリピンとのFTA交渉を進め、最後に残っていた鉄鋼製品の関税撤廃で折り合った。今月末の小泉首相とアロヨ大統領との会談で最終合意する見通しだ。

  WTOの新ラウンドは、先進国間ばかりでなく先進国と途上国の間の亀裂が深まり、交渉期限は延期された。手っ取り早いFTAがもてはやされるゆえんである。とりわけFTA戦略で後れをとった日本の焦りは深い。

  だからといって、合意相手国の数を増やしたいあまり、安易なFTAを積み重ねてはなるまい。フィリピンとの合意も合格点すれすれ、といった評価にとどまるのではないか。

  日本が輸入する農水産物では、関税撤廃に抵抗が強い砂糖とマグロを例外品目にして協議を棚上げした。砂糖は生産地の沖縄や北海道の経済力が弱く、マグロは漁獲量が落ちているからだという。

  看護師や介護士の受け入れでは、日本の国家試験に合格することを条件にした。この分野で「開国」へ一歩を踏み出したのは評価できるが、受け入れ人数を最小限にとどめたい日本側と、外貨獲得のため制限を受けたくないフィリピン側との協議は持ち越された。

  日本のFTA戦略は、関税の撤廃や引き下げにとどまらず、投資の自由化や人材育成などの経済協力も含めた包括的な協定づくりを目指している。

  しかし、こうした経済協力も、関税の壁を取り除いてモノの往来を自由にしてこそ効果を発揮する。フィリピンとの交渉で、日本が望んだサービス貿易や投資の自由化に大きな成果が得られなかったのは、農産物と労働市場の開放で思い切った譲歩を示せなかったからだ。

  APECの閣僚声明には、よりよいFTAのガイドラインとなる「好例集」が盛り込まれた。国内の政治的な調整がすぐにはできないため、関税撤廃を段階的に進める場合でも、なるべく短期間に行うべきだ、とうたわれている。

  日本は、フィリピンに続いてタイ、マレーシア、韓国とのFTA締結を目指して交渉を重ねている。東南アジア諸国連合(ASEAN)全体との交渉も来春始まる。中身の濃い協定に向け、国内の農業改革や外国人労働者の受け入れ態勢の整備を急がなければならない。

  閣僚声明はまた、FTA拡大を重視しながらも、WTOの補完と位置づけ、貿易のブロック化を招かないようくぎを刺した。

  アジアでのFTA推進は、世界に開かれた自由貿易体制をつくるという目標を失わずに進めてこそ、大きな果実が実ることを忘れてはならない。
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