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天声人語3

投稿者: isashi1243 投稿日時: 2003/02/22 09:54 投稿番号: [27 / 52541]
2003,02,03
日本でテレビが誕生して50年のその日に、衝撃的なテレビ映像が米国から送られてきた。真っ青な空を背景に白い航跡が分裂し、落下していく。スペースシャトル・コロンビアの空中分解である。乗組員7人が犠牲になった。
その一人イラン・ラモンさんはイスラエル人としては初めての宇宙飛行士だった。彼は「月の風景」という小さな絵をイスラエルの博物館から借りて飛び立った。ナチスの強制収容所アウシュビッツで犠牲になった14歳の少年が描いた絵だ。少年の宇宙への憧れが込められていた。
ラモンさんの母親もアウシュビッツに収容されたが、何とか生き残った。そうした思いを背負っての宇宙飛行だった。出発前、彼は「事故についてはまったく心配していない」と繰り返し語っていたそうだ。「シャトルはバックアップの上にバックアップ、その上にさらにバックアップがある」と。
実はそうでもなかった。米国議会でもたびたび安全性が議論になってきた。全体が60〜70年代の技術に所産で、部品を取り換えながらしのいできた。しかし予算の制約もあって完璧とはいえなかったようだ。
そもそも宇宙飛行がシャトルにかける負荷は膨大で、小さな故障が致命的な事故につながる怖さが常にある。81年以来113回の飛行のうち、86年のチャレンジャーの事故に続いて今回が2度目の惨事だ。一説では、旅客機の事故に比べ1万倍以上といえる頻度である。
巨大技術が抱えるもろさへの警戒を怠ることができないことを痛感するが、宇宙への夢はしぼんでほしくない。
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