志気衰退(1)
投稿者: wadatumi_voice21 投稿日時: 2012/12/25 23:31 投稿番号: [40929 / 41162]
中国戦線の
日本軍について
注意すべきことは、
軍隊の志気が 衰退していた という事実にある。
このことは、軍紀風紀頽廃の 原因の一つになり、
犯罪非行の背景となっていることから 見逃せない点だ。
戦場に送られた兵士の大部分は、突然の令状で召集された
予後備兵か 補充兵だった。
彼らは 予期しないときに、急遽 戦場に駆り出された。
その彼らに、祖国の危機に馳せ参じた志願兵にみるような、
愛国の熱情を 期待するのは 土台から無理なことだった。
そもそも 国民の愛国心に訴えるような 戦争目的、
つまり 大儀名分が、この「事変」には 存在しなかった。
近代日本が それまでに経験した戦争、日清・日露・日独の
いずれも、戦争目的は 天皇の宣戦の詔書で 明示された。
しかし 事変と称した日中戦争では、過去の どの戦争よりも
大規模な戦争となったにも関わらず、宣戦布告は なされず、
したがって 宣戦の詔書も だされなかった。
宣戦の詔勅に かわるものとして 発表されたのが、
上海への陸軍派兵を決めた際の 政府声明 だった。
この声明では、「支那軍ノ暴戻ヲ膺懲シ以テ南京政府ノ反省ヲ
促ス為今ヤ断乎タル措置ヲトルノ已ムナキニ至レリ」 として、
「暴戻支那ノ膺懲」 が、この戦争の 目的だとしている。
日本の国土が 侵略の危機に さらされているわけではなく、
国家存亡の危機ではないため、自衛の名目は成り立たなかった。
そこで「暴支膺懲」を 国家的な合言葉に したわけだが、
ふとどきな支那人を 懲らしめてやる、というだけでは
国民を奮起させるのに十分なスローガンとは 言えなかった。
国民にとって 戦争目的が明確でなかったばかりでなく、
軍の幹部でさえ それをはっきり理解できないのが実情だった。
たとえば、第十六師団 歩兵第二十聯隊長 大野宣明大佐が、
部下にあたえた訓辞でも、次のような 苦しい表現をしている。
出征ノ目的理解ニ就テ
今次事変ノ原因一ニシテ足ラズト雖、要ハ蒋介石政権ノ
長期ニ亘ル排日侮日ニ由来スルモノニシテ、之ヲ膺懲シ
抜本塞源ノ道ヲ講ズルハ実ニ我ガ皇軍ノ使命ニシテ天業
恢弘ノ一過程ナリ。
諸官ハ克ク今次出師ノ目的ヲ部下軍隊ニ徹底セシメ、
忠勇ナル下級幹部以下ニ対シ確乎不動ノ信念ヲ培養
セシムルヲ要ス。
(防衛研究所所蔵、第十六師団関係資料綴「出征ニ方リ
将校ニ与フル辞」より引用)
将校に対してさえ こういう訓示をしなければならなかった。
したがって、下士官以下の兵隊に 戦争目的を理解させ、
志気を奮い立たせることは 容易ではなかった。
しかも 兵士の大部分が、年齢の高い予備や後備の召集兵で、
当然、一般社会に馴染み 後顧の憂いを抱えた人々だった。
これでは、とても志気旺盛とはいえないのが実情だったのだ。
軍隊の志気が 衰退していた という事実にある。
このことは、軍紀風紀頽廃の 原因の一つになり、
犯罪非行の背景となっていることから 見逃せない点だ。
戦場に送られた兵士の大部分は、突然の令状で召集された
予後備兵か 補充兵だった。
彼らは 予期しないときに、急遽 戦場に駆り出された。
その彼らに、祖国の危機に馳せ参じた志願兵にみるような、
愛国の熱情を 期待するのは 土台から無理なことだった。
そもそも 国民の愛国心に訴えるような 戦争目的、
つまり 大儀名分が、この「事変」には 存在しなかった。
近代日本が それまでに経験した戦争、日清・日露・日独の
いずれも、戦争目的は 天皇の宣戦の詔書で 明示された。
しかし 事変と称した日中戦争では、過去の どの戦争よりも
大規模な戦争となったにも関わらず、宣戦布告は なされず、
したがって 宣戦の詔書も だされなかった。
宣戦の詔勅に かわるものとして 発表されたのが、
上海への陸軍派兵を決めた際の 政府声明 だった。
この声明では、「支那軍ノ暴戻ヲ膺懲シ以テ南京政府ノ反省ヲ
促ス為今ヤ断乎タル措置ヲトルノ已ムナキニ至レリ」 として、
「暴戻支那ノ膺懲」 が、この戦争の 目的だとしている。
日本の国土が 侵略の危機に さらされているわけではなく、
国家存亡の危機ではないため、自衛の名目は成り立たなかった。
そこで「暴支膺懲」を 国家的な合言葉に したわけだが、
ふとどきな支那人を 懲らしめてやる、というだけでは
国民を奮起させるのに十分なスローガンとは 言えなかった。
国民にとって 戦争目的が明確でなかったばかりでなく、
軍の幹部でさえ それをはっきり理解できないのが実情だった。
たとえば、第十六師団 歩兵第二十聯隊長 大野宣明大佐が、
部下にあたえた訓辞でも、次のような 苦しい表現をしている。
出征ノ目的理解ニ就テ
今次事変ノ原因一ニシテ足ラズト雖、要ハ蒋介石政権ノ
長期ニ亘ル排日侮日ニ由来スルモノニシテ、之ヲ膺懲シ
抜本塞源ノ道ヲ講ズルハ実ニ我ガ皇軍ノ使命ニシテ天業
恢弘ノ一過程ナリ。
諸官ハ克ク今次出師ノ目的ヲ部下軍隊ニ徹底セシメ、
忠勇ナル下級幹部以下ニ対シ確乎不動ノ信念ヲ培養
セシムルヲ要ス。
(防衛研究所所蔵、第十六師団関係資料綴「出征ニ方リ
将校ニ与フル辞」より引用)
将校に対してさえ こういう訓示をしなければならなかった。
したがって、下士官以下の兵隊に 戦争目的を理解させ、
志気を奮い立たせることは 容易ではなかった。
しかも 兵士の大部分が、年齢の高い予備や後備の召集兵で、
当然、一般社会に馴染み 後顧の憂いを抱えた人々だった。
これでは、とても志気旺盛とはいえないのが実情だったのだ。