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>叔父の予言 (日本人と技術)

投稿者: uumin3 投稿日時: 2002/08/26 10:28 投稿番号: [994 / 230347]
  これは呉善花さんの『攘夷の韓国   開国の日本』(文春文庫)からの引用です。日本人が
なぜ技術重視なのか、についての一つのおもしろい着想だと思いますので、ご紹介します。
(本文は、彼女が友人と中国山地を越えて米子自動車道を大山の方へ向かう車中からのものです)

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  …ポツポツとかいま見える小さな谷間の小さな集落。たわわに実った稲穂の小集団が山麓に
点在するわずかな平坦地にへばりついている。こんなにも高いところで、傾斜の激しいところ
を均してまで田んぼを作っている。
「畑ならわかるけど、なぜこんな難しいところに苦労して田んぼをつくるの?   なにもそこまで
しなくても、日本ではたくさんお米がとれるのに」
  私が不思議そうな顔をすると友だちが言う。
「一種の信仰なのかもしれないわね。柳田國男という人は、なぜこれだけ日本列島に米作りが広
まったかを考えると、米作りそのものを信仰とする人たちが信仰をひろめるようにして広めたの
だと考えるしかない、みたいなことをいっている。米をつくるのが一級の農民だという自負もあ
ったでしょうし、収穫量の問題よりも、とにかく自分の手で作りたい気持ちが強いのね」
  信仰を広めるようにして稲作を広めた−。そこに、現在に至る日本人と技術との抜き差しなら
ない関係を解く鍵があると思った。敗戦によっていったんは国家潰滅に近い打撃を受けながら、
再び経済大国として復活した理由もそこにあるに違いない。

  韓国人はよく日本人を技術民だと言う。その言葉は、政治と詩文を事とする文人こそを「人間」
とみなす伝統をもつ韓国人にとっては、技術を事とする者は卑しい存在だというニュアンスを含
んでいる。技術者には理念も考えもない、ただ物を作るだけだという意識が韓国人には根強い。
そこで日本人が見えなくなる。

  スサノオには技術神の性格もあるが、私は以前から、日本人が技術に向かう姿勢に、一種信仰
のようなものを感じてきた。かつて信仰を広めるようにして稲作を広めた精神と姿勢が、現代日
本人の心の奥底にいまだ流れているのかもしれない。

(pp.224-5より引用)
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