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土地調査事業

投稿者: monjujz 投稿日時: 2008/08/01 21:26 投稿番号: [111281 / 230347]
http://blog.livedoor.jp/tkknrak/archives/cat_1517768.html

土地調査の効果の批判
友邦シリーズ・第一号
財団法人友邦協会

「朝鮮の土地調査」
萩原彦三
元咸鏡南道知事

p17〜19

けれども土地調査本来の目的は、土地所有権の公認を前提とする近代的土地制度を確立して、土地に関する伝統的紛乱を一掃すると共に、土地の生産力を精密に調査し、これに適応する租税制度を樹立して、負担の公正を期することに在った。だから所有権所在の判定に政策的考慮を加えることは、厳に之を戒め、所有権の所在は、専ら冷厳なる事実関係のみによって判定したのである。如何に多数の農民が長年耕作し来った土地であっても、確実な公権的文書によって、土地の私有を証明し得る者があれば、その者に所有権ありと判定せざるを得なかったのである。農民が永年子孫相伝えて耕作し来った田土でも、その実、宮庄田であったり、賜牌田であったりして、農民は、単に耕作権を有するに過ぎなかった場合には、農民の所有権を認めるわけにはいかなかった。
土地調査は農地制度の改革ではないのであるから、公田の耕作農民に土地所有権を与えるというような農地解放は行われなかったのである。
土地調査によって、土地所有権が公認確定された結果、多数の農民が零細農であったり、小作農であることに定まっても、土地調査としては止むをを得ないのであって、それらの問題は、土地調査により確立安定した土地制度の基礎の上に、今後農業その他の産業の発展を図ることによって解決すべき問題である。

しかしながら、朝鮮古来の土地公有制度の残滓がまだ充分に払拭されず、農民の多くが長年の牧歌的生活をつづけている間に、近代的土地所有権が導入され、公認されたところから、農民の考え方に若干の混乱が生じたことは否めないであろう。
しかし、これを以って、・・・土地調査の結果大多数の農民が生活の基盤を奪いさられ故郷を棄てて流浪せざるをえなくなった・・・という一部の学者達の説は事実に反し、甚だしい誇張というべきである。農民の耕作する土地が国有と決定したとしても、単にそれだけの事実で、勤勉な農民が永年の正当な耕作権を取り上げられるということは無かった。

土地公有制の残滓と認められる現象の例をあげてみると、河川敷地や路傍の空き地などの公共用地に、勝手に家を建てて住居する習慣がある。これを放っておくと、いつのまにか多数の住居ができ、大きな部落になるほどである。それらの人々は、国や地方公共団体の所有権を侵している意識はないのだ。個人には土地私有権があっても、国や公共団体には個人の有するような意味の土地所有権はないのだという考えが無意識に働いている。又民有でない原野、荒蕪地、草生地、沼沢、干潟の類、勝手に開墾しても、牧場にしても、宅地にしても、差し支えないという習慣があった。韓国政府は光武十一年(1907、明治40年)法律を発布し、これらの未墾地の開墾等は、予め貸付の許可を受けたものでなければ事業成功しても所有権を与えぬことにしたけれども、なお三町歩未満未墾地については、旧慣どおり勝手に利用してもよいとしたほどである。
山林には無主公山という考え方があった。
個人の所有でない山林は、永年禁養(他人の伐採を禁じ、自ら樹木を育てる)すれば、その山林は禁養者のものになるという習慣である。
いわゆる火田民が国有の山林を焼いて開墾耕作するのも、同じような考えから来ていると思う。
鬱蒼たる広大な美林が一夜にして姿を消してしまう弊害は、北鮮で特に甚だしかった。近代的土地制度が確立してからは、こういうことは法律上認められぬことになったのである。これをもって、広大な土地が農民から取り上げられたとするならば、それは大変な誤解であると、いわなければならない。

なお最後に特記しておきたい事項は、明治43年(1910)から大正7年(1918)にわたる長期の土地調査事業が、何らの波瀾なく遂行せられたことである。
これは、旧来の土地制度の紊乱と官権の濫用との結合に基づく重圧に喘いでいた農民が、土地調査によりこの重圧の境地から離脱できることに、大きな期待を寄せていたことを意味し、一般農民は土地調査の結果について、最初は多少の危惧も合ったが、土地調査の趣旨を諒解するに及んで、概ね安堵してこれを迎えたと見るのが妥当であろう。
現に土地調査終了の翌年に勃発したいわゆる三一騒擾においても、私の記憶に誤りなければ、騒擾後総督府が、従前の施政に対する民衆の意向を調査したときには、土地調査の結果たる土地私有権の公認や、税制の整備などに関する不平不満はなかったのである。
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