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早速難問が持ち上がる

投稿者: dumjj 投稿日時: 2002/05/24 19:02 投稿番号: [23785 / 196466]
不審船揚がるか   瀋陽事件余波…日中協議に入れず
2002 年 5月 24日

鹿児島県・奄美大島沖で昨年12月に起きた不審船事件で、引き揚げに向けたスケジュールの調整が難航している。中国・瀋陽の日本総領事館での亡命者連行事件が中国側との折衝に大きく影を落としているうえ、引き揚げ前の準備にも予想以上の時間がかかることがわかったからだ。台風シーズン前の引き揚げはおろか、年内引き揚げに向けても残り時間は少なくなってきている。

◆「台風前」目算狂う◆

24日の閣議後、扇国土交通相は福田官房長官に、「早く引き揚げた方がいい」と切り出した。前日、海上保安庁から引き揚げ日程のシミュレーションについて説明を受け、“決断”までにあまり余裕がないことを進言したのだ。

今月初めの有人潜水調査で、同庁は引き揚げは技術的に可能と判断。当初は、〈1〉中国側の理解を得た上で5月末に引き揚げを政府決定〈2〉数十億円と見込まれる費用の予算措置について6月上旬までに閣議で決定〈3〉サルベージ会社と契約を結び作業に着手――と計画を進める見通しだった。

ところが、最初のステップでまずつまずいた。沈没海域は中国の排他的経済水域(EEZ)内にあるため、中国側はEEZ内の主権的権利を強く主張しているが、瀋陽の事件が起こったことで相手の出方が全く予想できない状況に陥った。

扇国土交通相は、「それとこれとは別問題。粛々と予定通りやっていく」と強調したが、実際の交渉に当たる外務省は瀋陽事件の対応に追われ、引き揚げ問題を持ち出せるような状況ではなくなった。瀋陽事件でもさらけ出した同省の“交渉下手”も手伝ってか、引き揚げ問題はまだ交渉のテーブルにさえ載せられていない。

◆準備に技術的問題も◆

技術上の問題も浮上した。ダイバーが船体にワイヤなどを取り付け引き揚げる作業では、「飽和潜水システム」という方法が採用されることになった。水深約90メートルの高圧下で長時間、潜水しても「窒素酔い」にならないよう、ヘリウム混合ガスをダイバーに吸収させ、高圧下に保たれた密閉空間の中で生活させながら作業を続けるという方法。

ところが、このヘリウム混合ガスの製造は作業を請け負ってから3週間かかる。「今から作っておいてくれとも言えない。予算も付くか分からないのにフライングになる」(関係者)。絶対に引き揚げるという政府の決断が示されないことが、事前準備に二の足を踏ませている。

結局、全工程に約50日が必要で、仮に今月末に政府決定しても不審船がつり上げられて台船の上に姿を見せるのは最速で7月下旬。この時期、現場海域は台風シーズンを迎えるため関係者の1人は、「台風が連続的に来て最も激しくなる9月まで作業がずれ込むのなら最初から断念するほかない。台風に見舞われれば作業は中断、数十億円の国費が無駄になる可能性もある」と漏らす。

海保は現在、沈没海域の過去の気象状況を分析し、着手のタイムリミットを測っているが、引き揚げ決定が遅れれば遅れるほど悪天候による作業断念のリスクが大きくなることだけは確か。事件解明に不可欠な引き揚げを実現させるためには、早期着手の政治決断が必要といえそうだ。
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