「爺の剣」 - (13)
投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2008/06/22 22:49 投稿番号: [165828 / 196466]
投稿者:直子
まだ未完なのに、爺が勝手に投稿しちゃったんだから..(−−;
「爺の剣」 - (13)
「タイム!!」
私は、思わず叫びました。
「ん、どうした?」
「ええ、ちょっと..」
高木師範がすぐにそばに来て、私を覗き込んでいます。不安と緊張が疑心暗鬼を生み、おじけついたのです。そんなこと言えません。なんとかごまかしてタイムをもらって、心を落ち着けよう、集中しなければと思いました。一分だけ許可してくれました。大きく深呼吸しました。
「どうしよう..?」
瞬く間に時間が過ぎてしまいました。「とにかく集中しなきゃ..」と思いながら、また爺と道場の中央で対峙しました。遠間です。「爺から間合いを詰められたら?」 また、不安がよぎりました。竹刀の試合では、このように弱気になることは決してありません。爺は、そんな私の弱気を見透かしたように、今度はすーっと出てきました。私は、爺の出てくる流れに合わせてすーっと下がりながら、左横に移動しました。爺は一瞬意外な表情を見せましたが、私は構わずすり足で爺の周りを左へ左へと回ろうとしました。これは昨夜、爺に会心の打ち込みをした動きです。爺のように変則的な歩み足を使いました。そうそう、日本舞踊で使う足取りです。爺は一瞬私の足元に視線を落としましたが、すぐに私の動きに合わせて横に移動します。前に出てくる爺の流れを止めたかったのですが、無駄でした。すぐに道場の羽目板に行く手をふさがれたのです。私が一瞬躊躇したその時、爺が大小の木刀を両手にダラリと下げたまま、すっと前に出る気配を感じました。その圧迫に私は思わず、「エエイィ!」と掛け声をかけながら前に出ている右足をすっと下げ、無意識に左上段に振りかぶっておりました。
すると、爺の出足は止まり、私の振り上げた拳を見ています。一瞬でしたが爺が「ほう」とした表情を見せたような気がいたしました。
「あっ、この構えは有効だ!」
とっさに悟りました。
上段の構えは、下段に対して有利です。私は、上段が得意とは言えませんが、試合で上段の名手相手に上段で勝ったことがあります。上段からなら寸止めにも自信があります。上段は火の構え、捨て身の構え、たった一撃にすべてを賭けます。勝つか負けるか、すべて私の一撃で決まります。そう思うと心が澄んできました。しかも、左側は羽目板に接近しています。爺は私の左側には変化できません。
今度は私からジリジリと間合いを詰めて行きました。爺は、そのままの位置で微動だにしません。機を見て一気に振り下ろせば、爺の構えからでは対応できないと思いました。だから、さらに間をつめようと機会をうかがいました。私が気で振り下ろす仕草をしても、爺は動きません。もし私の打ちをかわすとしても、受けて返すか、後方か右に抜くしかできないと思いました。さらに間をつめれば、私が有利なはずです。
ジリッ、ジリッと足の親指で間をつめていきました。爺が間を切ろうと思えば、いくらでもできたはずです。それでも爺は動きません。木刀をダラリと下げたままです。どのくらいたったのでしょうか、いえほんの数十秒であったかもしれません、この間合いなら爺はかわすことも変化することも出来ないと思った瞬間、爺がゆらっと動きました。いえゆらっと前にでようとしている気配を感じたのです。私は、間髪を入れず、前に出ている左足を滑らせるようにしてさらに大きく踏み出し、「ヤァァ!」という掛け声とともに爺の頭上めがけて木刀を振り下ろしていました。
<続く>
まだ未完なのに、爺が勝手に投稿しちゃったんだから..(−−;
「爺の剣」 - (13)
「タイム!!」
私は、思わず叫びました。
「ん、どうした?」
「ええ、ちょっと..」
高木師範がすぐにそばに来て、私を覗き込んでいます。不安と緊張が疑心暗鬼を生み、おじけついたのです。そんなこと言えません。なんとかごまかしてタイムをもらって、心を落ち着けよう、集中しなければと思いました。一分だけ許可してくれました。大きく深呼吸しました。
「どうしよう..?」
瞬く間に時間が過ぎてしまいました。「とにかく集中しなきゃ..」と思いながら、また爺と道場の中央で対峙しました。遠間です。「爺から間合いを詰められたら?」 また、不安がよぎりました。竹刀の試合では、このように弱気になることは決してありません。爺は、そんな私の弱気を見透かしたように、今度はすーっと出てきました。私は、爺の出てくる流れに合わせてすーっと下がりながら、左横に移動しました。爺は一瞬意外な表情を見せましたが、私は構わずすり足で爺の周りを左へ左へと回ろうとしました。これは昨夜、爺に会心の打ち込みをした動きです。爺のように変則的な歩み足を使いました。そうそう、日本舞踊で使う足取りです。爺は一瞬私の足元に視線を落としましたが、すぐに私の動きに合わせて横に移動します。前に出てくる爺の流れを止めたかったのですが、無駄でした。すぐに道場の羽目板に行く手をふさがれたのです。私が一瞬躊躇したその時、爺が大小の木刀を両手にダラリと下げたまま、すっと前に出る気配を感じました。その圧迫に私は思わず、「エエイィ!」と掛け声をかけながら前に出ている右足をすっと下げ、無意識に左上段に振りかぶっておりました。
すると、爺の出足は止まり、私の振り上げた拳を見ています。一瞬でしたが爺が「ほう」とした表情を見せたような気がいたしました。
「あっ、この構えは有効だ!」
とっさに悟りました。
上段の構えは、下段に対して有利です。私は、上段が得意とは言えませんが、試合で上段の名手相手に上段で勝ったことがあります。上段からなら寸止めにも自信があります。上段は火の構え、捨て身の構え、たった一撃にすべてを賭けます。勝つか負けるか、すべて私の一撃で決まります。そう思うと心が澄んできました。しかも、左側は羽目板に接近しています。爺は私の左側には変化できません。
今度は私からジリジリと間合いを詰めて行きました。爺は、そのままの位置で微動だにしません。機を見て一気に振り下ろせば、爺の構えからでは対応できないと思いました。だから、さらに間をつめようと機会をうかがいました。私が気で振り下ろす仕草をしても、爺は動きません。もし私の打ちをかわすとしても、受けて返すか、後方か右に抜くしかできないと思いました。さらに間をつめれば、私が有利なはずです。
ジリッ、ジリッと足の親指で間をつめていきました。爺が間を切ろうと思えば、いくらでもできたはずです。それでも爺は動きません。木刀をダラリと下げたままです。どのくらいたったのでしょうか、いえほんの数十秒であったかもしれません、この間合いなら爺はかわすことも変化することも出来ないと思った瞬間、爺がゆらっと動きました。いえゆらっと前にでようとしている気配を感じたのです。私は、間髪を入れず、前に出ている左足を滑らせるようにしてさらに大きく踏み出し、「ヤァァ!」という掛け声とともに爺の頭上めがけて木刀を振り下ろしていました。
<続く>
これは メッセージ 1 (messages_admin さん)への返信です.
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