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「爺の剣」 - (9)by直子

投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2008/06/22 01:03 投稿番号: [165782 / 196466]
この間合いでは、一瞬の迷いが命取りになります。私は全神経を集中させて、思い切って、さらに間合いを詰めてみました。すると、爺の竹刀がすうっと上がってきて、私の竹刀にすりよってきます。「あっ!」私は打ち込む絶好の機会を逃しました。でも、爺の手の内を探ることが目的ですから、かまわずさらに間合いをジリッと詰めようとすると、逆に爺が私の竹刀を捉えてすっと出てきました。竹刀が絡み、私も爺も打てません。そしてつばぜり合いになった瞬間、私は引き面から引き小手を出して一足飛びに後退し、すぐに正眼に構えました。私の引き技は、爺にはまったく通用しません。でも、爺は昨夜のようには出てきませんでした。その代わり、爺は正眼に構えたのです。

正眼に構えた爺からは、鋭い気が一瞬でしたが飛んできました。私は、遠間から一足一刀の間合いに詰めようとしましたが、詰められません。わずかに剣先が触れ合う間合いで爺の様子をうかがいました。爺は「なぜこぬ?」といった風体です。気を取り直して、機を見てすっと入って見ました。爺から鋭い気が飛んできました。「あっ!」と思って一足飛びに後退し、体制を建て直しましたが、爺は打ってきません。何事もなかったような、私の手の内はすべて分かっている、といった感じでただ飄々と構えているだけでした。
「私の錯覚?」
そう思い、今度は鋭く払ってみましたが、やはり打ち込めません。爺の心の動きが見えないのです。昨夜の爺の反応から、この間合いから打ち込むのは自殺行為に思いました。普通なら、相手は必ずいつか打ってきます。打ってくればそこにスキが見えます。でも爺は、正眼に構えたまま微動だにしません。昨夜は、不用意に面に行ったところを、逆に爺の両拳で突き上げられ、床にひっくり返ってしまいましたから、スキだと思っても要注意です。

今度は爺の演武のような足さばきで、斜め左前方と右前方にわずかに移動して見ました。するとどうでしょう、爺の剣先が私の中心を追いかけるようにかすかに左右に動きます。いわゆる心の起こり、動作の起こりです。爺の起こりが見えました。

今度は、爺の面を見ながら左足を斜め左前方にすうっと出して見ました。その時です、爺の剣先が私の中心をとらえようと動く気配を感じました。瞬間、私は右足から鋭く突っ込み、爺の竹刀を右に鋭く払い上げ、一気に右小手に行きました。爺は、かろうじて鍔もとでしのぎました。私はかまわずそのまま突き、爺がのけぞった瞬間、さらに面に行きました。でも、私の打ちは爺の面がねをかすっただけでした。勢いのあまり、私は道場の羽目板にいやというほど激突してしまいました。爺はと見ると、右手に竹刀をダラリと下げて私を見ています。

「ほう..」
爺がそうつぶやいたように聞こえました。

でも、同じ手は二度と通用しませんでした。「なんて強いの!」と思いました。思ったその瞬間、爺は剣先を私の心に突き刺すようにすうっと出て、面を打ってきました。まるでスローモーションでも見ているかのような面でしたが、思わず身を引いていた、いいえ、心が背中に逃げてしまった瞬間の私にはどうすることもできません。一瞬、金縛りあったように身動きが取れないのです。かろうじて竹刀でいなしていました。高木師範は一本を宣告しませんでした。

「いけない!」
と思い、気を取り直して集中しました。するとどうでしょう、不思議なことに、爺のことも、爺の圧迫も感じなくなりました。大学の時、武道館でここ一番の決定戦をしている、そんな気持ちになりました。

どのくらい経ったのでしょうか、10分以上は経っていたと思います。爺の心が一瞬迷っているように見えたのです。瞬間、無意識に爺の面に飛び込んでおりました。でも、喉に激痛が走り、道場の床にいやというほど後頭部を強打し、そして息が出来なくなりました。

<続く>

これは、中国の方に日本の剣道を知ってもらう、興味をもっていただけるのではとの思いで、僭越ながら孫娘の心の成長の実例を投稿するものである。お嫌いな方は、読まずに無視されるとよい(苦笑

では御免。
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