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「爺の剣」 - (7)by直子

投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2008/06/21 23:13 投稿番号: [165775 / 196466]
今度は、突きに集中して突っ込み、ハッとしました。爺は私の竹刀巻くようにして拳を振り上げながらわずかに私の右前方に体を移動すると、そのまま私の右面に振り下ろす気配を感じました。「あっ!」と思ってすかさず爺に体当たりし、間髪を入れず引き面を出しました。でもいなされました。私の引き面をいなすとき爺の右小手がわずかに上がるのがわかりましたから、すかさず気で攻めて接近して体当たりし、引き面からすぐに右小手を打とうとしたのですが、私の竹刀は爺の竹刀に払い落とされ、逆に爺に間合いを詰められてしまいました。ここで心や気が後向きになったり、退くと危険です。ですから、すかさず爺の竹刀を割って前に出て攻めたのですが、いなされて一本になりません。

爺はすうっと前に出てきます。突然ものすごい圧迫感に襲われました。一足飛びに後退してしては、間合いを取って気を立て直そうとしても、爺はかまわず前に出てきます。だらーっとした爺の下段にスキを見つけることができないのです。突きに行っても、面に行ってもいなされてしまいます。逆に爺の打ちを誘おうとしても、爺は打ち込んできません。また、前に出てくるばかりです。爺に打ち込んでくる気配が見えれば、必ずそこにスキが出ます。でも、爺はただ前に出てくるだけでした。私の心の動揺を誘って、鋭く打ち込んで来るに違いありません。私が誘っても打ってきません。爺の圧迫に負け、私ばかりが先に打ち込んでしまいます。

その内、試合というより、まるで掛かり稽古のようになってしまうのがわかりました。でも、どうすることもできません。掛かり稽古は、一気にやると30秒もしないうちにへとへとになります。爺は、これでもか、これでもかといったぐあいに前へ前へと出てきます。集中力が乱れて行くのがわかりました。体当たりしても爺はびくともしません。息が苦しくなり、身体も思うように動かなくなりました。爺の息もつかせぬ圧迫感の連続で、もう気を取り直す余裕もない自分がわかりました。そんなとき、無意識の中で爺の面が一瞬空いたように思ったのです。瞬間、私は一気に爺の面に行ってました。

爺の面が急接近すると、喉元に鋭い衝撃を受け、次の瞬間、私の身体は宙に舞い、ガーンという耳音とともに後頭部に鋭い痛みを感じました。気を失っていたとは思いません。高木師範の「それまで!、勝負なし!」という声が聞こえていましたから..。高木師範が私を覗き込んでいます。私は床に仰向けにひっくり返っておりました。

頭がふらふらしましたが、思い直して上体を起こすと、高木師範が私の面をすぐにはずしてくださって、私の目を覗き込んでいます。
「どやら、大丈夫のようだな..」
そう言うなり、苦笑いを浮かべてます。

私は、軽い脳震盪を起こしていたようです。まだぼーっとする頭で爺を探しましたが、どこにもいません。
「今夜は、勝負なしとする」
高木師範は、私の後頭部をさすりながらそう言いました。
「どうだ、明日も来れるか?」
「ええ..」
私は、くやし涙を流していたようです。爺は試合というより、私をまるで子供扱いしたのです。試合の内容は、私の惨敗でした。「どうして?   どうしたら..?」

「明日まで時間がある。今夜の試合をよくよく考えなさい」
普段は鬼のような高木師範が、そう言ってくださいました。まだ、頭がズキズキします。「きっと、たんこぶができる」と思いました。そう思いながら、なさけなくなる自分に腹が立ち、高木師範をまともに見ることも出来ませんでした。


「二日目」

昨夜、高木師範は「勝負なし」といいましたが、私の惨敗です。すっかり爺に手玉にとられたのです。くやしくて、夜うなされてしまいました。今夜は、2時間前に道場へ行きました。

不思議です、道場にはたった今まで誰かがいたかのように明かりが点いていて、床も雑巾がけしたばかりという感じでうっすらと濡れております。

さっそく稽古着に着替えて防具を着けました。

<続く>
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