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完成する前から悪化する三峡ダム汚染

投稿者: harunoarasi02 投稿日時: 2007/05/17 08:08 投稿番号: [5499 / 9280]
【中国】世界最大級の三峡ダム、懸念される環境悪化
5月16日15時6分配信 サーチナ・中国情報局


21世紀の中国を見極めるセンス(12)−藤村幸義(拓殖大学教授)

  中国・長江(揚子江)中流域で建設が進められている世界最大級の三峡ダムが、いよいよ完成間近となっている。これまで工事は極めて順調と伝えられていたが、このほど中国科学院が世界自然保護基金(WWF)などと合同で作成した報告書「長江の保護と発展2007」では、建設に伴って長江の水質悪化が進んでいると警告している。なんと全長約6300キロに及ぶ長江本流の約10分の1で環境悪化が深刻化しているというのだ。


■映画『三峡好人』が映し出す取り壊しの現場

  そんな時に映画『三峡好人』(賈樟柯監督)が第63回ベネチア映画祭で「金獅子賞」を受賞したとのニュースが入ってきた。2006年9月のことである。同映画は今年夏に日本でも公開される(日本での映画名は「長江哀歌」)が、それに先だって試写会で見る機会があった。


  映画は四川省の古い街、奉節県で撮影された。奉節といえば、三峡下りの入り口にある町で、観光地として知られる「白帝城」もすぐそばにある。三峡ダムの工事により、この地に暮らした多くの人々が外地への移住を強いられ立ち去っていった。「白帝城」も水位の上昇によりすでにかつての景観を失っている。

  映画は冒頭から立ち退きを迫られ、長江河口の崇明島行きの船を待つ港の光景から始まる。このあたり一帯はほとんどの建物が取り壊しの対象とされ、発破、崩落の爆音とほこりが飛び交っている。賈樟柯監督はこんな絶望的な街を背景に、それでも生き抜いていこうとする庶民を暖かく描き出している。

  それにしてもこの映画を見れば、三峡の建設現場がこんなにもすさまじい状態になっているのかと、驚くであろう。取り壊された瓦礫や取り残された生ゴミなどは、全て長江に投げ出され、汚染をひどくしている。

  三峡の移民は全体で120万人、うち重慶地区で103万人に上る。2006年5月段階ですでに94万人余りを移住させたというが、移住を強いられた人々は満足な生活をしているのだろうか。映画では地元政府からの補償が少ないとして、役人に抗議する場面も登場してくる。

■中国科学院報告書が汚染悪化を指摘

  この4月に発表された「長江の保護と発展2007」(全270ページ)と題された報告書の内容も衝撃的である。ダム周辺では水流が停止して自浄機能が失われ、窒素やリンなどによる汚染が悪化している。また、長江流域の工場や住宅などから年間260億トンの排水が流れ込み、アンモニアやリンなどによる水質汚染が深刻化している。

  このほか、ヨウスコウカワイルカや約10種類の魚も絶滅の危機にひんしているという。報告書は「早急に長江全体を総括する組織をつくり、環境保護に当たる必要がある」と提言している。

  局地地震が起こる可能性も当初から指摘されていた。香港の中国人権情報センターは昨年、三峡ダムで向こう3年間に強い地震が起きる可能性が極めて高いと警告した。中国当局が三峡ダムの重要な地質資料を秘密にしているため、地震が起きる可能性を外部の者が精査することができないという。

  三峡ダムは完成すれば終わりというものではない。むしろ完成してから様々な問題が起こってくることを忘れてはならない。(執筆者:藤村幸義・拓殖大学教授)



藤村幸義のHP - 公式サイト藤村幸義 - 拓殖大学の教員紹介

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