星の時間と
投稿者: balladrain 投稿日時: 2007/02/25 23:50 投稿番号: [176418 / 177456]
僕の時間は違う。
僕の時間と粒子の時間も違う。
固体の時間があり、
液化された時間があり、
気化された時間もある。
いつだったか人間の姿をした時間と、
小さなテーブルを挟んで食事をしたことがある。
みんな私の姿が見えないなんて言うけれど、
時間は赤ワインを一口やってから口元に苦笑を浮かべる。
ほんとに存在するのは私だけなのさ。
なにしろいっさいは過ぎていくんだ。
そうかもしれないね、
と僕も赤ワインを一口やってから言う。
なにもかも消える。
時間に勝てるものはない。
君は世界を紡ぐ糸車だね。
そうなんだ、
と糸車はまた笑う。
糸車、糸車、しずかにもだす手の紡ぎ、
その物思いやわらかに、
めぐる夕べぞわりなけれ。
明治四十二年四月、石川啄木は電車賃がなくて会社を休んでいた。
すると北原白秋のおばさんが、出来たばかりの「邪宗門」を持ってやって来た。
啄木は夜の二時までそれを読んだ。
僕も何だか詩が書きたくなったと、啄木は日記に書いて寝た。
それから三年のあいだに、彼はたくさんの詩と歌を書いて死んだ。
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