対米全面テロ

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アナン国連事務総長へ旧友より・・1

投稿者: chottomato3 投稿日時: 2003/03/11 22:44 投稿番号: [153552 / 177456]
「ひらの人たち」の声に耳を

      片倉もとこ(中央大教授・文化人類学)


  「アフリカ青年」コフィへ

  ご多忙でしょう。体は大丈夫ですか。お邪魔でしょうと、今まで頼りもせずにいましたが、日本の外務大臣が、あなたに電話をして米英提出の安保理決議案に理解を示したと聞いて筆をとりました。彼女がコフィに話した内容は日本国民を代表するものではないからです。日本人の78%は、今度の戦争に反対です。湾岸戦争の時、日本人を人質にとったフセインに、さんざんな目にあわされた私は、フセイン打倒のブッシュに加担しているにちがいないとは、まさか思っていないでしょうね。

  イラン・イラク戦争がやっと終わった頃、いい笑顔のおばあさんが、苦労のにじんだゴツゴツの手で一針一針、縫った布袋にコーランをいれて私にプレゼントしてくれたこともありました。その緑色の袋は、私のそばに今もありますが、あのおばあさんは、どうしているでしょう。いつまた爆弾が降ってくるかもしれない恐怖におののいているにちがいありません。あのおばあさんに似た人に、つい最近アンマンで会いました。50歳くらいの息子が、つきそっていましたが、「やっぱり故郷のイラクから出たくないっていうんだ。やっと、ここまで連れだしたんんだけど・・・」と暗い表情でした。

  フセインを支持するふりをする以外、生きていけない、偶然この親父の家庭にうまれてしまった善良な人たちは、宗教をすてたバース党の党首でありながら、人心を掌握するために、あわてて国旗に「神は偉大なり」を書きこんだり、お祈りしている写真をとらせたりするフセインのような似非イスラーム教徒ではありません。敬虔な祈りを神にささげる心やさしい人たちです。フセインの相棒、副首相のようにクリスチャンもいます。ムスリムと同じように、神に祈るしかない人たちです。

  日本列島の背骨にあたる信濃に最近「無言館」という美術館が建てられました。戦争で若い命を散らせた画学生たちが描いた血のほとばしるような絵や遺品が集められています。私同様、すすり泣く人の姿が美術館のあちこちにありました。この無言館に是非あなたをご案内したい。戦争を唱える人は自らは戦線には行かないけれど、彼らは、恋人と別れ母と別れ家族と別れ、芸術への志を捨てて戦地へおもむいた。ほとんどの人が、20歳前後で人生を終えているのです。そういう悲劇が、いままた起ころうとしている。かつて、「芸術をこころざすならバグダッド」といわれた地には、繊細な神経をもった芸術家の卵が大勢います。どんなに悪い条件の中でも、若い命も老いた命も生きてさえいればチャンスがあるのです。

  湾岸戦争の折には、ひら(?)の国連職員だったコフィもバグダッドに来てくれました。あのころ私は日本にいて、当時の政財界のリーダーに会い、「イラクとの対話を、敵とも、話し合う機会を持ってほしい」と訴えていました。「話をすれば、敵にチャンスをやることになる」とか「人質は戦争捕虜みたいなもんだ。切り捨てるよりしかたない」という言葉も一部には出て私は奈落におとされた気になりました。

  捕虜も兵士も誰かの息子であり夫であり父であるのです。どんなときにも個々の人間を大事にすることは、コフィ、あなたにはできるでしょう。中央大学での名誉博士号授与式で、後ろにひそんでいた私を見つけて「モコ! 記念写真を撮ろう」と大声を出したとき、みんなの手前、私は縮みあがりましたが、公私ともに、ひとりひとりの人間を大切にする「アフリカ青年」コフィは健在でした。

(2に続く→)
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