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『ロビンソン』解釈 二版(後)

投稿者: yamaokikayoko 投稿日時: 2003/01/31 11:43 投稿番号: [151769 / 177456]
――片隅に捨てられて 呼吸をやめない猫も
どこか似ている 抱き上げて 無理やりに頬よせるよ


  現代医学に見捨てられた「君」。
  「君」はもう何も言えない。
  ただ息をして…近づいてくる死を待つだけ。
  そんな病床の動けない「君」を…
  どうする事もできない正宗は…思わず抱きしめ、強く頬にくちづける。


――いつもの交差点で 見上げた丸い窓は
うす汚れてる ぎりぎりの三日月も僕を見てた


  形而下での「君」との接点、その窓口は「君」の顔である。
  「君」が友人の彼女であった事もあり、二人で会う事は慎重にならざるを得ない状況があった。
  そんなんをかいくぐりながらも大切なことのために必死だったと思う。
  「君」の入院後は、「お見舞い」という大義名分が唯一、二人の恋を後押ししてくれる「交差点」となった。

  危篤状態の病床「君」の顔色はもう「死」に近い。
  「薄汚れている」と表記せず「うす」としたのは、大切な人の顔を汚い印象が強調される表現にしたくなかったから。
  ぎりぎりの三日月…儚い「君」の瞳…
  「ギリギリ」と表記しなかったのはそういうことだ。

  「君」は迫ってくる「死」への計り知れぬ恐怖と孤独の中にいて…ぎりぎりの瞳で、ただ正宗だけを信じて見つめている。


――待ちぶせた夢のほとり 驚いた君の瞳
そして僕ら今ここで 生まれ変わるよ



  なんと正宗の自転車は…
  まさに死にゆく「君」を、彼岸のあっち岸で(君の臨終より気持ちでちょっとだけ先に逝って)待伏せていた。
  一人で三途の川を渡って来る「君」を。
  そして間に合った。

  …

  『帰り道』という歌にあるように、「君」はひとりで逝ったつもりだったと思う。
  正宗の「かすんだ月」(涙でかすんだ瞳)を大切な記憶の最期として連れて。

  だから…永遠の悲しいお別れをしたはずの正宗が待っていた事に気づいた「君」はさぞかし驚き、幸福に満ち溢れたことだろう。


――誰も触れない 二人だけの国 終わらない歌ばらまいて
大きな力で 空に浮かべたら ルララ 宇宙の風に乗る


  生まれ変わったこの国でふたりはずっとずっと一緒。
  もう別れることなんてない。
  永遠に。

  よくある恋の魔法で作り上げた「二人だけの国」の二人が…
  さらに空に浮かび宇宙の風に乗ってしまうようなすごい力。

  それは正宗や「君」自身の力でもありながら、逆に彼らの力ではどうする事も出来ないような…神懸り的な作用、後押しの風をも感じたんだと思う。

  「大きな力」は全てを「普遍愛」へと繋ぐもの。
  正宗に「大きな力」をもたらす手段は「音楽ライン」。  
  心の「思い出のレコード」をぶら下げた正宗が「終わらない歌」をばらまき続けること…(「ルララ…」の意味でもある)

  その魂の…言葉の意味を超越したメッセージで…それぞれの愛の歴史を持った多くの人たちと大きな普遍愛を共有するんだ。
  それによって正宗「個」の世界観ではなしえない「大きな力」が生まれる。

  …愛に包まれるもの全てが宇宙の風に乗り溶け合う感じ。
  万物の調和、融合の域。



――大きな力で 空に浮かべたら ルララ 宇宙の風に乗る
ルララ 宇宙の風に乗る


  繰り返すことで気持ちの強さ、「永遠」を強調。
  正宗は彼の魂を表現する唯一の術である音楽に彼の全てを託しばらまいた。
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