対米全面テロ

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バックパック

投稿者: chottomato3 投稿日時: 2002/06/27 12:49 投稿番号: [144287 / 177456]
  彼女は重いバックパックを背負って歩道を歩いていた。バックパックには自爆テロのための爆弾が入っている。彼女は迷い始めていた。正しいことをしようとしているのだろうか。私を待ち受けているのは地獄なのか天国なのか。

  「私は空を見上げた。人々を見た」。そして子どものころ信じていたこと「他人の人生を遮る権利は誰も持っていない」を思い出した。そうして自爆テロを思いとどまった20歳のパレスチナ女性のことを米紙が紹介していた。

  自爆テロの志願者は訓練されたテロリストだけではなく、女性や年少者へと幅を広げている。状況の深刻さを物語っているが、彼らは実行のとき、ためらいはないのか。いつもそのことが気になっていた。一瞬のためらいがあっていいはずだ。そしてそのためらいは貴重だ。そう思ってもいた。

  ブッシュ米大統領が中東和平へ向けて提案をした。パレスチナ国家の樹立という目標を掲げながら、その前にパレスチナ自治政府を米国風に「民主化」しなさいと要求している。目の前にニンジンをぶらさげて、ウサギに変身したら食べさせてやろう、と言っているようにも聞こえる。

  また、ブッシュ演説で気になったのは「米国と世界は」という言葉が出てくることだ。たとえば「米国と世界はパレスチナの努力にこたえるだろう」などと。悪い癖だと思うが、米国と世界とを一体視している。しかし、世界は米国と一体ではないし、一枚岩でもない。

  変身の要求の前に、自爆テロを思いとどまらせるような状況をいかにつくるか、ではないか。

(↑《天声人語》06月27日より)http://www.asahi.com/paper/column.html
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