対米全面テロ

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田中康夫氏

投稿者: enomoto0072 投稿日時: 2001/10/29 00:41 投稿番号: [107875 / 177456]
「人道的な援助責務」(長野県知事、45歳)
『北海道新聞』11月28日付

先の惨劇を、米国人は真珠湾攻撃に、日本人は原爆投下に例えたが、われわれに求められているのは、自国の体験を超えての、他者への想像力ではないだろうか。とりわけ、生まれた時から先進諸国とは比較にならないほど内戦や貧困といったつらい人生を経験し続ける第三世界の人々への。

南アフリカ共和国ではアパルトヘイト(人種隔離)を撤廃する一九九一年まで、「名誉白人」なる扱いを日本は受けていた。誇るべき待遇でなく、むしろ恥ずべき不名誉だった。自国民に語り掛けるよりも前に、米国の元首の前で「We must fight」と威勢の良い宣言をした小泉純一郎首相の行動も、その延長ではないのか。

就任直後の五月、現憲法下では集団的自衛権の行使は認められないと明言した政権が、その憲法解釈は「従来通り」と述べながら、いまだに国連の武力行使決議もない米国の「新しい戦争」に自衛隊を派遣するという。それこそは集団的自衛権の行使にほかならない。自由党の小沢一郎党首の一言を借りれば「身勝手な自衛権の発動による戦争を行ってはならないのが日本国憲法の平和の精神であり、憲法九条の意味するところ」なのだ。

食料や医療品の輸送は戦闘行為ではないとの言い訳も、まやかしにすぎない。前線での戦闘を維持するには兵たんと呼ばれる「支援」が不可欠だ。「日本の、いわば参戦」と私が長野県議会で癸言した理由でもある。

冷戦後の自由主義経済は、国家間、民族間の貧富の格差を増大させた。隣国へ逃げ込めた難民だけではなく、今でもアフガニスタン国内にとどまる千五百万人にも上る一般市民への人道的緊急援助こそは、名誉白人改め「名誉黄人」としての日本の責務だ。

八方ふさがりな状況の中で戦前の日本は無謀にも、満州事変を突破口にともくろんだ。IT(情報技術)バブルがはじけ、低支持率に苦慮していたブッシュ政権も、報復を「十字軍」のごとき「聖戦」と位置付けている。

だが、それはベトナム戦争を上回る、出口の見えぬ泥沼化にほかならない。今のわれわれに必要なのは冷静な寛容さだ。
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