SECURITARIAN-2 (3/3)
投稿者: koukotsuNoHito 投稿日時: 2001/10/26 09:36 投稿番号: [105998 / 177456]
現代の戦争法
ここで、現代の戦争法について,注意すべき点を述べてみよう(すべての武力行使に適用される).
まず、戦争法は戦争とならない武力行使に対しても適用されるということである。この点はすでに述べたが,たとえば,1949年のジュネーブ諸条約の共通2条1項も、「この条約は、二以上の締約国の間に生ずるすべての宣言された戦争又はその他の武力紛争の場合について、当該締約国の一が戦争状態を承認するとしないとを問わず、適用する」と規定する。
...
『憲章違反の武力行使』
それでは,違法なやり方で戦争に訴えた国家に対しても無差別に戦争法の適用が認められるのか。違法な戦争を行う国には戦争法の適用はないとの極端な見解もあるが,実際に違法な戦争を行う国に戦争法の適用を否定することは,困難であり、場合によっては,不当な結果を招きかねない.実際に,第二次世界大戦のドイツや湾岸戦争のイラクに対しても,国際法の適用が排除されることはなかった.
第二次世界大戦中と戦後の紛争当事国の戦争法をめぐる国家実行(注)と国際軍事裁判の判例では、戦争法の平等適用が認められた.戦後の武力紛争においても,紛争当事国は,相手の侵略性や憲章違反を非難しても,戦争法を自国だけに有利に差別的に適用することを主張した例はない。つまり、国際法上いくら戦争を禁したところで,実際に戦争は起こりうるのであるから,戦争法が無視されることはありえないのである.
かくして,侵略または違法な戦争の場合にも,戦争法が侵略国と非侵略国に平等に適用されなければならないのかの問いの答えは自明であろう.
(注)国家機関の司法,立法,行政に関する行為,たとえば,国内法,国内判決,外交書簡,宣言などをいう.
自衛隊と戦争法
わが国は,1956年の国連加盟のさいに、国連が軍事的措置を決定したときに,これに応じられるかが議論された.つまり,海外派兵の合憲性の問題である.
海外派兵とは,武力行使の目的で武装部隊を他国の領域などに派遣することをいう.従来自衛隊の海外派兵は,違憲とされてきた.たとえば、1980年10月28日の政府答弁で憲法上許されないとしている。
しかし、東西冷戦終結後の湾岸戦争にさいし,わが国は多額の戦費を負担したにもかかわらず,強い批判があった.また、安保理常任理事国入りといった環境の変化もあって,92年6月にPKO協力法が成立した.同法は,憲法と自衛隊法との整合性の他,国連のPKOガイドラインなどを参考にして慎重に作成されたものである.
同法を切掛けに,わが国も国連平和維持活動に人的貢献ができるようになり,同年カンボジア(UNTAC)へ延べ1216人,93年にはモザンビーク(ONUMOZ)へ延べ154人、96年にシリアのゴラン高原の国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)へ延べ485人が派遣された。もっとも、PKF(国連平和維持軍)への参加は凍結されたままであるが。
1995年より、新しい日米防衛協力の指針、いわゆるガイドライン問題が議論されてきた。自衛隊が周辺事態のさい米軍の後方支援を行うとの約束は,船舶検査に関する部分を除いて99年5月に周辺事態関連法として成立した。
このように,自衛隊が内外で戦闘行為に参加することは予想されないわけではない.その際,法的には何に基づくのか.国内法が適用されない状況下では、戦争法の適用は理論的帰結である。そうした場合をそうていすれば、もう少し国際法、なかんづく戦争法に注意を払うべき時が来ているといってもよいのではないか。
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図表等については、オンライン化困難な為、本誌を参照されたい。
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島田征夫 しまだゆきお
早稲田大学法学部教授 1941年生まれ
早稲田大学法学部卒
主用著書等
「庇護権の研究」(成文堂/1983年)
「ブラウンリー・国際法学」(共訳・成文堂/1989年)
「国際法」(新版・引文堂/1997年)他
# 一部思わず閉口してしまうほどの原始的議論が含まれている事に戦慄を覚えなかっただろうか。しかし、これが、国際社会の現実、すなわち、いまだ原始状態の中を模索している最中であるということなのである。後半の、PKO、PKF への触れ方はあっさりしすぎていてちょっと不満を感じた。PKO にせよ、PKF にせよ、真の問題は、問題を論ずる人間と派遣される人間とが異なるということなのだが、そのあたりは十分意識した文章なのだろうか。などと疑問が残った。全文必要な方は koukotsuNoHito@hotmail.com まで。
ここで、現代の戦争法について,注意すべき点を述べてみよう(すべての武力行使に適用される).
まず、戦争法は戦争とならない武力行使に対しても適用されるということである。この点はすでに述べたが,たとえば,1949年のジュネーブ諸条約の共通2条1項も、「この条約は、二以上の締約国の間に生ずるすべての宣言された戦争又はその他の武力紛争の場合について、当該締約国の一が戦争状態を承認するとしないとを問わず、適用する」と規定する。
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『憲章違反の武力行使』
それでは,違法なやり方で戦争に訴えた国家に対しても無差別に戦争法の適用が認められるのか。違法な戦争を行う国には戦争法の適用はないとの極端な見解もあるが,実際に違法な戦争を行う国に戦争法の適用を否定することは,困難であり、場合によっては,不当な結果を招きかねない.実際に,第二次世界大戦のドイツや湾岸戦争のイラクに対しても,国際法の適用が排除されることはなかった.
第二次世界大戦中と戦後の紛争当事国の戦争法をめぐる国家実行(注)と国際軍事裁判の判例では、戦争法の平等適用が認められた.戦後の武力紛争においても,紛争当事国は,相手の侵略性や憲章違反を非難しても,戦争法を自国だけに有利に差別的に適用することを主張した例はない。つまり、国際法上いくら戦争を禁したところで,実際に戦争は起こりうるのであるから,戦争法が無視されることはありえないのである.
かくして,侵略または違法な戦争の場合にも,戦争法が侵略国と非侵略国に平等に適用されなければならないのかの問いの答えは自明であろう.
(注)国家機関の司法,立法,行政に関する行為,たとえば,国内法,国内判決,外交書簡,宣言などをいう.
自衛隊と戦争法
わが国は,1956年の国連加盟のさいに、国連が軍事的措置を決定したときに,これに応じられるかが議論された.つまり,海外派兵の合憲性の問題である.
海外派兵とは,武力行使の目的で武装部隊を他国の領域などに派遣することをいう.従来自衛隊の海外派兵は,違憲とされてきた.たとえば、1980年10月28日の政府答弁で憲法上許されないとしている。
しかし、東西冷戦終結後の湾岸戦争にさいし,わが国は多額の戦費を負担したにもかかわらず,強い批判があった.また、安保理常任理事国入りといった環境の変化もあって,92年6月にPKO協力法が成立した.同法は,憲法と自衛隊法との整合性の他,国連のPKOガイドラインなどを参考にして慎重に作成されたものである.
同法を切掛けに,わが国も国連平和維持活動に人的貢献ができるようになり,同年カンボジア(UNTAC)へ延べ1216人,93年にはモザンビーク(ONUMOZ)へ延べ154人、96年にシリアのゴラン高原の国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)へ延べ485人が派遣された。もっとも、PKF(国連平和維持軍)への参加は凍結されたままであるが。
1995年より、新しい日米防衛協力の指針、いわゆるガイドライン問題が議論されてきた。自衛隊が周辺事態のさい米軍の後方支援を行うとの約束は,船舶検査に関する部分を除いて99年5月に周辺事態関連法として成立した。
このように,自衛隊が内外で戦闘行為に参加することは予想されないわけではない.その際,法的には何に基づくのか.国内法が適用されない状況下では、戦争法の適用は理論的帰結である。そうした場合をそうていすれば、もう少し国際法、なかんづく戦争法に注意を払うべき時が来ているといってもよいのではないか。
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図表等については、オンライン化困難な為、本誌を参照されたい。
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島田征夫 しまだゆきお
早稲田大学法学部教授 1941年生まれ
早稲田大学法学部卒
主用著書等
「庇護権の研究」(成文堂/1983年)
「ブラウンリー・国際法学」(共訳・成文堂/1989年)
「国際法」(新版・引文堂/1997年)他
# 一部思わず閉口してしまうほどの原始的議論が含まれている事に戦慄を覚えなかっただろうか。しかし、これが、国際社会の現実、すなわち、いまだ原始状態の中を模索している最中であるということなのである。後半の、PKO、PKF への触れ方はあっさりしすぎていてちょっと不満を感じた。PKO にせよ、PKF にせよ、真の問題は、問題を論ずる人間と派遣される人間とが異なるということなのだが、そのあたりは十分意識した文章なのだろうか。などと疑問が残った。全文必要な方は koukotsuNoHito@hotmail.com まで。
これは メッセージ 105997 (koukotsuNoHito さん)への返信です.
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