ガザ混乱――内紛/抗争なのか?1
投稿者: jyonnconner 投稿日時: 2007/06/14 00:38 投稿番号: [13572 / 20008]
2007.05.19
http://palestine-heiwa.org/note2/200705190948.htm
ガザ地区でのハマスとファタハによる「抗争/内紛」は、この数日だけで死者が50人にも到達しようとしている。同時にその一方で、イスラエル軍は、カッサム・ロケットがガザ地区からイスラエル側に打ち込まれたとして、陸軍・空軍の両方でガザのハマス組織を主な標的とした攻撃を行なっており、それによるパレスチナ人の死者は10数人に及ぶ(追記:その後の数日でさらにイスラエル軍によるガザ空爆が続き、市民も含めて30人以上が殺害されている)。「内紛」と「停戦崩壊」によって事態は深刻さと錯綜を極め、文字どおりの「カオス」となっている。
こうした状況に対して、マスコミの報道は概して弱い。大手新聞では、「ハマス対ファタハ」という形での勢力争いによる「内紛」というニュアンスでしか描かれない。これまでも、「イスラエル対パレスチナ」という「紛争」図式でしか描けなかったわけだから、それも仕方のないことかもしれない。だが、そうした紛争図式では何ら説明にはなっていない。
ここでは、いくつかの注目すべき論点を挙げておきたい。
1、「停戦崩壊」とは?
そもそも「停戦」とは何かというところから考え直す必要がある。というのも、「停戦合意」というものは、紛争関係にある当事者双方が武力行使を停止する、ということを意味するのだが、イスラエル/パレスチナの場合、イスラエル側が軍事活動を「停止」したためしなどないのだから、事実上、「停戦」など最初から存在しない。「テロリスト掃討」の名目で、占領地での軍事活動は続き、それに付随して次から次へと無関係な一般市民が(しかも未成年や学童が)殺されていく現実。アミーラ・ハスはこうも言う、「1967年の占領から40年間、イスラエル側が攻撃を停止したことなど一度たりともない」。
2、抗争/内紛なのか?
この事態は、ハマスとファタハが勢力争いのために内部抗争をしているということなのだろうか? そもそもどうしてハマスが昨年の選挙で政権に押し上げられたのかというところを忘れるべきではない。つまりは、ハマスが政権をとる以前はどうだったのか、ということでもあるのだが。
それを考えたときに、アラファト大統領(マスコミ用語では議長)という偉大なリーダーの死去は大きな転換点であった。この独裁権力の「功罪」はともにひじょうに大きいものであった。パレスチナ解放闘争の象徴的・伝説的存在であったがため、党派利害を封じ込めてしまえるほどの存在感があった(批判があろうとも「パレスチナ」という抵抗主体がバラバラになることを抑えることができた)。だが他方で、ファタハ、とりわけその幹部や親族らによる権力、利権の独占。その維持を優先するがゆえの腐敗と、大義の蹂躙。
イスラエルだけでなく、欧米を中心とした国際社会もまた、このアラファト独裁の構図を好都合なものとして利用しながら、「和平」を探っていったこともまた、この利権構造を強化するという悪循環をつくりだした。しかも、あまりにそれに依存し切っていたため、アラファトを失った後の混乱は、予想できても対処できなかった。
ファタハ権力の腐敗に対する批判票が急にハマスを押し上げはしたが、当のハマス自身は政権担当の用意ができておらず、他方で、アラファトの後継をめぐって、世代対立・路線対立・利権対立などでファタハ内部が重層的な抗争状態にある。
こうして見ると、「ハマス対ファタハ」の勢力争いがこの混乱の原因や背景などでもなければ、また、「ハマス対ファタハ」という二項対立図式で現在の情勢が正確に描けるわけでもないことがわかる。
3、イスラエルとアメリカのアッバース派支援
これに対して、イスラエルとアメリカ、そしてその他国際社会は、アラファト独裁の構図を取り戻すべく、アッバース大統領を中心としたファタハ支配の再来に望みを託すことにしか「解決」を見いだすことができず、異様なまでにアッバースとファタハの武装組織に対する支援に走ってきた。各国政府は、民主的選挙で選ばれたハマス内閣を無視して、アッバース大統領に対する、つまりファタハという一党派に対する支援という形に切り替えて、資金援助を行なうようになった。
もっとひどいのでは、2月にはイスラエルがパレスチナ自治政府に送金を凍結していた代理徴収租税を、ハマス内閣にではなく、アッバース大統領に渡したことや、4月にはアメリカ政府がファタハの武装組織に資金援助を行なったことが報じられている。
http://palestine-heiwa.org/note2/200705190948.htm
ガザ地区でのハマスとファタハによる「抗争/内紛」は、この数日だけで死者が50人にも到達しようとしている。同時にその一方で、イスラエル軍は、カッサム・ロケットがガザ地区からイスラエル側に打ち込まれたとして、陸軍・空軍の両方でガザのハマス組織を主な標的とした攻撃を行なっており、それによるパレスチナ人の死者は10数人に及ぶ(追記:その後の数日でさらにイスラエル軍によるガザ空爆が続き、市民も含めて30人以上が殺害されている)。「内紛」と「停戦崩壊」によって事態は深刻さと錯綜を極め、文字どおりの「カオス」となっている。
こうした状況に対して、マスコミの報道は概して弱い。大手新聞では、「ハマス対ファタハ」という形での勢力争いによる「内紛」というニュアンスでしか描かれない。これまでも、「イスラエル対パレスチナ」という「紛争」図式でしか描けなかったわけだから、それも仕方のないことかもしれない。だが、そうした紛争図式では何ら説明にはなっていない。
ここでは、いくつかの注目すべき論点を挙げておきたい。
1、「停戦崩壊」とは?
そもそも「停戦」とは何かというところから考え直す必要がある。というのも、「停戦合意」というものは、紛争関係にある当事者双方が武力行使を停止する、ということを意味するのだが、イスラエル/パレスチナの場合、イスラエル側が軍事活動を「停止」したためしなどないのだから、事実上、「停戦」など最初から存在しない。「テロリスト掃討」の名目で、占領地での軍事活動は続き、それに付随して次から次へと無関係な一般市民が(しかも未成年や学童が)殺されていく現実。アミーラ・ハスはこうも言う、「1967年の占領から40年間、イスラエル側が攻撃を停止したことなど一度たりともない」。
2、抗争/内紛なのか?
この事態は、ハマスとファタハが勢力争いのために内部抗争をしているということなのだろうか? そもそもどうしてハマスが昨年の選挙で政権に押し上げられたのかというところを忘れるべきではない。つまりは、ハマスが政権をとる以前はどうだったのか、ということでもあるのだが。
それを考えたときに、アラファト大統領(マスコミ用語では議長)という偉大なリーダーの死去は大きな転換点であった。この独裁権力の「功罪」はともにひじょうに大きいものであった。パレスチナ解放闘争の象徴的・伝説的存在であったがため、党派利害を封じ込めてしまえるほどの存在感があった(批判があろうとも「パレスチナ」という抵抗主体がバラバラになることを抑えることができた)。だが他方で、ファタハ、とりわけその幹部や親族らによる権力、利権の独占。その維持を優先するがゆえの腐敗と、大義の蹂躙。
イスラエルだけでなく、欧米を中心とした国際社会もまた、このアラファト独裁の構図を好都合なものとして利用しながら、「和平」を探っていったこともまた、この利権構造を強化するという悪循環をつくりだした。しかも、あまりにそれに依存し切っていたため、アラファトを失った後の混乱は、予想できても対処できなかった。
ファタハ権力の腐敗に対する批判票が急にハマスを押し上げはしたが、当のハマス自身は政権担当の用意ができておらず、他方で、アラファトの後継をめぐって、世代対立・路線対立・利権対立などでファタハ内部が重層的な抗争状態にある。
こうして見ると、「ハマス対ファタハ」の勢力争いがこの混乱の原因や背景などでもなければ、また、「ハマス対ファタハ」という二項対立図式で現在の情勢が正確に描けるわけでもないことがわかる。
3、イスラエルとアメリカのアッバース派支援
これに対して、イスラエルとアメリカ、そしてその他国際社会は、アラファト独裁の構図を取り戻すべく、アッバース大統領を中心としたファタハ支配の再来に望みを託すことにしか「解決」を見いだすことができず、異様なまでにアッバースとファタハの武装組織に対する支援に走ってきた。各国政府は、民主的選挙で選ばれたハマス内閣を無視して、アッバース大統領に対する、つまりファタハという一党派に対する支援という形に切り替えて、資金援助を行なうようになった。
もっとひどいのでは、2月にはイスラエルがパレスチナ自治政府に送金を凍結していた代理徴収租税を、ハマス内閣にではなく、アッバース大統領に渡したことや、4月にはアメリカ政府がファタハの武装組織に資金援助を行なったことが報じられている。
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